雪の結晶番外編/江戸時代の顕微鏡シリーズ(3)①~⑤まで
ダイジェスト年表で挙げた①~⑤の詳細です。
ネットで原文を読めるところも挙げています。
本で閲覧できる資料はみつけにくいものを中心に挙げました。
青文字=原文。
オレンジ=顕微鏡画像がみられるURL。
ただし書きはこちらをご覧ください。
顕微鏡にご興味がない方も多いと思いますが、
江戸時代の顕微鏡ってフォルムがすごく美しいんです。
画像が見られるリンク先もご紹介していますので、ご興味あったらぜひご覧ください。
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①1568年(永禄11年)『南蛮寺興廃記』作者不詳
凸レンズの虫眼鏡の日本伝来の記述あり。※室町時代
②1720年(享保5年)『長崎夜話草(ながさきやわそう)』西川如見・西川正休著
五之巻【長崎土産物】の項で虫目鏡の記載あり。
原文/眼鏡細工 鼻目鏡 遠目鏡 虫目鏡 数目鏡 磯目鏡 透間目鏡 近視(きんし)目鏡
長崎住人濱田彌兵衛といふもの壮年の比蠻國へ渡り眼鏡造り様を習ひ傳へ来りて生嶋藤七といふ者に教へて造らしめたるより今にその傳なりこの彌兵衛は武藝の達者細工の上手なりし弟を濱田新蔵といふ共に蠻舶に乗て世界を周覧せし折節日本の東南海なる大人國に到りて見たる者也両人共に台湾にて武勇の働ありしに依て諸國より高禄にて招かれしが共志の事ありて仕官もせて有しが其後兄の彌兵衛死して弟新蔵へ五百石にて行しなり
(私メモ/浜田彌兵衛が長崎でレンズ制作したことが書かれているが顕微鏡をつくっていたかは確認できず)
ネットで閲覧/現物
【富山大学学術情報リポジトリ】ttp://utomir.lib.u-toyama.ac.jp/dspace/handle/10110/2556→「2193長崎夜話草(巻5).pdf」をクリック。
「長崎夜話草五 附録」 の最初のページに〇眼鏡細工~虫目鏡~がでてきます。
ネットで閲覧/翻刻
【近代デジタルライブラリー】
(ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/766709/79)と(ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/766709/80)
③1732年(享保17年)『万金産業袋(ばんきんすぎわいぶくろ)』三宅也来著
【眼鏡類】の項で虫目がねの記述あり。顕微鏡のことかは不明。
原文/虫目かね、これももりたま、筒のうちに仕入れる
※遠目鏡(いわゆる望遠鏡)のところでは、鏡にむかふ鏡の面、上にぶくらあれは、物をちいさく間遠に見せ、又しやくみて凹(なかくぼ)なれは物を広大に見する事、ちかくは世に有髭鏡(ひげかがみ)にてしんぬへし。
として精妙な望遠鏡の絵が描かれています。
ネットで閲覧/現物
【国立国会図書館デジタルアーカイブ】万金産業袋6巻[3] ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2556697/15
本で閲覧/翻刻
『万金産業袋』三宅也来著(生活の古典双書5)p82
④1744~1754年。海外からの顕微鏡納品記録
1744年(延享元年)11月10日
長崎奉行田村阿波守又四郎のため、菱型模様ガラス付きの顕微鏡一体の納品 。
1746年(延享3年)田村阿波守、顕微鏡2体受け取る 1752年(宝暦2年)作右衛門が顕微鏡2体受け取る。
1754年(宝暦4年)8月長崎奉行が出島商館長にイギリス製の顕微鏡(engelse microscopium)を陛下及び皇太子に献上することを伝える。 イギリスの顕微鏡は木、厚紙と皮を利用し三脚付の顕微鏡。
↑④に関してはミヒヤル・ヴォルフガンク著゙「江戸初期の光学製品輸入について」『洋学』(洋学史学会研究年報 )第12巻 2004年より。
ネットで閲覧/http://wolfgangmichel.web.fc2.com/publ/aufs/71/071.htm
④-2
年代不詳だが、この頃のものと思われるカルペパー型顕微鏡
ネットで閲覧/
国立科学博物館所蔵の18世紀の顕微鏡。ニュルンベルグ・ババリア製(和田医学史資料館旧蔵品)とスカーレット作(和田医学史資料館旧蔵品)
国立科学博物館(ttp://www.kahaku.go.jp/)→「1F南自然をみる技」→「9. 好奇心から学問へ」
ttp://shinkan.kahaku.go.jp/kiosk/nihon_con/S1/KA4-1/japanese/TAB1/index.html
⑤1765年(明和2年)『紅毛談(おらんだばなし)』後藤光生著
顕微鏡で蜘蛛、人髪を観察。記述は虫目がね。
原文/目がね類。かけ目がね・水品目がね・ 硝子目がね・緣目がね・うのほね・ 千里(とを)目鏡・近目目がね・内障(そこひ)目がね・磯目がね・火とり目がね・五色目がね・ 数目がね・虫目がね 近年虫目がね に甚珍敷を持来れり。少き蜘蛛 の足を見けるに、二三歳の小児のひ じほどに見えたり。また人髪を入れ 見けるにふとさ母指(おやゆび)ほどに見せ、人 髪もつねには節見えざるが、是にて見 れば竹のふしのごとくこまかにふし あり。少年のかみはふし合遠く、老人 の髪は其年ほどつゝふしつまりしけく 見ゆる、奇異なる細工なり。
ネットで閲覧/原文
【早稲田古典籍総合データベース】紅毛談 下
ttp://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_c0200/ →2をクリック→No,27とNo28
【江戸時代の顕微鏡シリーズ】INDEXはこちら
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