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2012年7月15日 (日)

雪の結晶番外編/江戸時代の顕微鏡シリーズ(7) (21)~(25)まで

ダイジェスト年表で挙げた(21)~(25)の詳細です。

ネットで原文を読めるところも挙げています。
<本で閲覧できる資料>はみつけにくいものを中心に挙げました。〔挙げていない=本の形態では出版されていない〕ではありません。

青文字=原文。
オレンジ=顕微鏡画像や顕微鏡で観察したスケッチ画がみられるURL。

ただし書きはこちらをご覧ください。

今回の特におすすめ
(22)北斎の描いた顕微鏡。美しいフォルムです。

追記/国立国会図書館から画像掲載許可をいただけましたものをアップしました。このブログ内に画像載せられるのはうれしいことです

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(21)1800年(寛政12年)頃。遠藤高璟(たかのり)作顕微鏡
加賀藩主前田家旧蔵。東京大学教養学部保管。
(『世界の顕微鏡の歴史』小林義雄著 p45、48より)
※この本で写真と共に紹介されています。私自身は東大教養学部を訪ねておらず、現物未見。
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(22)1800年~1805年
(寛政12年~文化2年)か。
北斎が顕微鏡を描く
私メモ/顕微鏡に蝶、ピンセットが描かれています。 日本での作品タイトルわからず。
Microscope_22_hokusai
※絵の中に書かれている言葉は

浅瀬庵永喜  めのさめたようなる花の菜に遊ふ 蝶は大かた 生酔の夢

作品の所蔵/アメリカ・カンサス大学スペンサー美術館。「Microscope」のタイトルで所蔵。
ネットで閲覧/
「Spencer Museum of Art」(ttp://collection.spencerart.ku.edu/)→「search the collection」の窓で「microscope hokusai」で検索。
直接のURLは
ttp://collection.spencerart.ku.edu/eMuseumPlus?service=ExternalInterface&module=collection&objectId=1455&viewType=detailView (2012.7.14現在)

※私メモ/北斎が顕微鏡のフォルムを描いた作品はこの(22)と(26)、少なくとも2つあります。ところが北斎が顕微鏡で何かを覗いてその姿を描いた作品はみつけられていません。北斎とあろう人物が、顕微鏡を手にしながら覗かない、それを描かないとは思えないのですが。
ちなみに、顕微鏡観察したのではないでしょうが、北斎が昆虫の細部を観察して描いたと思われる作品はいくつもあります。
たとえば『北斎漫画1編』や『北斎漫画2編』の虫のスケッチ。
ネットで閲覧/
国立国会図書館デジタル化資料】 
直接のURLは
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/851646/19と
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/851647/31
また、顕微鏡ではなく「天眼鏡」(いわゆる拡大鏡、虫めがね。占い師が手相を見る時に使うようなもの)も北斎は描いています。男性が女性の顔に天眼鏡をあて、目鼻が拡大して見える様子をユーモラスに描いています。

022microscope_hokusaimanga_tenganky
国立国会図書館デジタル化資料より

ネットで閲覧/

【国立国会図書館デジタル化資料】→『北斎漫画12編』 
直接のURLは
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/851657/14
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(23)1802年(享和2年)
桂川甫周(国瑞くにあきら)、江戸城にて将軍家斉に顕微鏡用法を語る

⑯の『北槎聞略』で大黒屋光太夫がロシアから日本に帰国する時にもらった顕微鏡を紹介した桂川甫周(国瑞)が顕微鏡について将軍に語ったことが『[桂川]家譜略伝』に記されています。
※あくまでもこの日、将軍に述べたのであって、顕微鏡の用法についての本を出版したわけではないようです。
原文/
享和二壬戌年二月廿六日顕微鏡学術巨 細言上ニ及フ
ネットで閲覧/現物
【早稲田古典籍総合データベース】ttp://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/
→「[桂川]家譜略伝 / [桂川国興] [筆] 」で検索→ No6の左ページ。
直接のURLは ttp://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_j0146/bunko08_j0146_p0006.jpg
※私メモ/国興も桂川甫周を名乗っています。

関連資料を本で閲覧/
桂川国興の孫である今泉源吉著『蘭学の家 桂川の人々』で以下のように書かれています。
◎【桂川家譜】四代目国瑞の項で

享和二年二月二十六日阿蘭陀出目鏡見分可致旨被仰付 御表へ罷出 於天井之間 大通詞大橋助右衛門へ相見候上仕掛方之儀申上候(『蘭学の家 桂川の人々』p527)とあります。
※大橋助右衛門は石橋助左衛門の誤字か。
◎【桂川年表】 享和二年の項で

国瑞、大槻、宇田川諸氏と共にオランダ人と対談。国瑞内命を帯びて顕微鏡のことを聞く。二月二十六日国瑞、江戸城天井の間において大通詞大橋助左衛門立会の上将軍家斉に顕微鏡用法を学術的に巨細言上する(『蘭学の家 桂川の人々』p517)
※大橋助左衛門は石橋助左衛門の誤字か。
- - - - - - - - - - - - - 
(23)-② 参考資料『新撰洋学年表』大槻如電(じょでん)著
享和二年の項で以下の記載あり。

二月、和蘭甲必丹例参桂川大槻宇田川諸氏客舘対話 外科医レツツク質問は鉛糖水其他数條なり 桂川は内命を帯び顕微鏡の事を問ひ巨細上申せしと云ふ
ネットで閲覧/
【近代デジタルライブラリー】→「新撰洋学年表」54/92左ページ。
直接のURLは ttp://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1124200/54。
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(24)1802年(享和2年)
『長崎オランダ商館日記 一』ウィレム・ワルデナール著/日蘭交渉史研究会訳
1802年9月18日の日記に顕微鏡が出てきます。原文microscoop。

会所において脇荷物の値組みが行なわれたので、私はその際、本方荷物すなわち大茴香・水牛角および顕微鏡のための委員に筆者頭マックと上外科レツケを任命した。
本で閲覧/『長崎オランダ商館日記 一』p261 
私メモ/ここに出てくるレツケは(23)-② の外科医レツツクと同一でしょう。
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(25)1803年~1805年(享和3年~文化2年)『本草綱目啓蒙』 小野蘭山著
蚊の説明のところで顕微鏡の記述あり。
原文/
顕微鏡ニテ見レバ、大ニシテ鳥ノ羽ノ如シ。
ネットで閲覧/
【国立国会図書館デジタル化資料】→「本草項目啓蒙48巻[22]」→31/84と32/84
直接のURLは
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2555466/31 と
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2555466/32
本で閲覧/『本草綱目啓蒙 三』東洋文庫 p169

【江戸時代の顕微鏡シリーズ】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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