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2012年8月15日 (水)

雪の結晶番外編/江戸時代の顕微鏡シリーズ(9) (31)~(35)

ダイジェスト年表で挙げた(31)~(35)の詳細です。

ネットで原文を読めるところも挙げています。
<本で閲覧できる資料>はみつけにくいものを中心に挙げました。〔挙げていない=本の形態では出版されていない〕ではありません。


青文字=原文。
オレンジ=顕微鏡画像や顕微鏡で観察したスケッチ画がみられるURL。

ただし書きはこちらをご覧ください。

今回の特におすすめ eye

(31)司馬江漢が虫を顕微鏡で観察した詳細を生々しく記述しています。

(33)『解剖存真図』南小柿寧一著
人体の解剖図の中で、皮膚、血管、毛髪を顕微鏡で観察し図を描いています。

(このブログではその画像は掲載していません。画像が見られる博物館のURLのみご紹介。ですので、解剖図等が苦手な人も安心して「続きを読む」をクリックください)
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(31)1813年(文化10年)頃。
土井利位(どいとしつら)、顕微鏡で雪の結晶を観察開始か
土井利位は㊺の『雪華図説』を1832年(天保3年)に発表した人物。(土井利位が古河藩主の養子に迎え入れられ、鷹見泉石と出会った頃からと私が推測)

『雪華図説』に
余文化年間ヨリ雪下ノ時、 毎ニ黒色ノ髹器(きゅうき)ニ承テ、之ヲ審視シ以テコノ図ヲ 作ル(私は文化年間より、雪が降る時は、そのたびに黒い漆器に雪を受けてこれを顕微鏡で観察してこの図を作った)という記述がある。
ネットで閲覧/ 【国立国会図書館デジタル化資料】→「雪華図説」→「雪華図説」古典籍資料(刊, 天保3)→4/22(左頁)
直接のURLはttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2536975/4


(31)-2。1816年(文化13年)『天地理譚』司馬江漢(しばこうかん)著
顕微鏡で湯気、虫を観察。記述は顕微鏡(ムシメガネ)。<雲>湯気ヲ以顕微鏡ヲ照シ之ヲ視ハ泡ノ如シ
『司馬江漢全集 三』p300
<望遠鏡制作>(略)泉州貝塚ト云所、岩橋善兵衛ナルモノ之ヲ製ス、今死ス、大坂高麗橋筋二丁目小林喜左エ門之ヲ作ル、浅田氏ノ医者亦能クス、望遠鏡ト星眼鏡其製別ナリ(略)顕微鏡(ムシメガネ)ハ口ノ玉一寸七分、二ノ玉四寸。三ノ玉九寸或ハ一尺、一尺二寸『司馬江漢全集 三』p302
<以顕微鏡観小虫> 或トキ針ノ先ニテ突タル穴ホト有虫ヲ一視シニ、目鼻アキラカニ視ヱ角アリ、惣身毛ヲ生シ、色白シ、不死コト二十一日、竟ニ糞ヲシテ死ニケリ、此虫ノ為ニハ一時十年ニ当ルヘシ、二百三十年絶食シテ活タル如シ、亦虱ヲ視シニ全身白ク透通リ、足六ツ各其先蟹ノ爪ノ如シ、白毛ヲ生シ、血動ヒテ呼吸ノ如シ、六日絶食シテ糞ツキ竟ニ死ス、生類大小其理ヲ同フス、将ニ食ノ為ニ生活ス、荘子ニ云フ、蝸牛ノ角之上有国、左曰変(触)氏、右曰触(蛮)氏、争地而戦。天ノ高遠ナル際ヲ思ヒ議スベカラス、是ヲ考ヱ思ヱハ、人ハ顕微鏡ヲ以視ル小虫ヨリ亦複微小ナリ、小モ大ノ如ク限リヲ不知、焦螟ト云小虫ハ一時ヲ一生涯トスト云如シ、曾テ蝸牛ノ角ニ国アルニ非ス、大小限リヲ不可知ノ譬ナリ『司馬江漢全集 三』p310
ネットで閲覧/未発見
本で閲覧/『司馬江漢全集 三』(八坂書房)
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(32)1818年(文政元年)成立。『花月草紙(かげつそうし)』松平定信著
顕微鏡でハエを観察。記述はけみきゃう

「とりもちをもて、はいといふ蟲をおほくとりたるを、ふとけみきやう(※右側に 顕微鏡の記述)とて、目もおよばぬものをみるめがねのあれば、それもてみしに、そのもちにつきたるはいが、にげんとして羽を動かすが、はてはその羽ももちにつきて、うごきえず。かうべうごかして苦むもあり、又久しくつきしは、飢にのぞみてよはり死するけしきもあり。たゞに羽をならす音のみきさしが、よくみれば、いとかなしきさまなしり」とかたるを、「さあらんよ」など、人のこたへしを、「みしとききしはいとたがふものぞかし。みしごとくきき給はば、『さあらん』などと斗はいひ給はじ。まいて目の及ばぬあたりのことは、猶心にてみ給へかし」といひしものありけり。

ネットで閲覧/【慶応義塾大学所蔵の資料をGoogle ブックスで閲覧可能】→「花月草紙 第四巻」
直接のURLは
ttp://books.google.co.jp/books?vid=KEIO10811602648&redir_esc=y
先頭が最後のページになっていますのでページを下に送っていきます。百、九十九・・・とさかのぼって八十三が上記に挙げた顕微鏡に関するくだりになります。「けみきょう」の脇に顕微鏡と記されているのが目印です。

ネットで翻刻版を閲覧/【近代デジタルライブラリー】で何種類か閲覧可能。
【近代デジタルライブラリー】→「花月草紙(富山書房)」
直接の
URLはttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/888900/71
本で閲覧/『花月草紙』松平定信(岩波文庫 昭和14年)p85 
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(32)-2。1818年(文政元年)
滝沢馬琴が鈴木牧之にあてた手紙の中で顕微鏡について触れる
記述は蘭製めがね、蘭製のむしめがね。

1818年に滝沢馬琴が鈴木牧之((50)『北越雪譜』を出版)にあてた手紙の中で顕微鏡について触れています。(50)『北越雪譜』には雪蛆を顕微鏡で観察したスケッチが掲載されていますが、それを馬琴は渡辺崋山に描かせたらどうかと提案していました。しかし、『北越雪譜』は最終的には馬琴とのコラボではなく、山東京山とのコラボとなったので、崋山が描く話は立ち消えになってしまったのだと私は推測しています。
以下、馬琴から牧之宛ての4つの書簡を抜粋で引用。
文政元年2月卅日(※30日のこと)雪蛆についてのくだりで。
幸ひ倅入懇の武家、画の同門にて此仁又蘭学者と懇意也。此度被遣候雪蛆をこの仁へたのみ、蘭製めがねにて見わけ写真にうつさせ可申候。
ネットで閲覧/未発見
本で閲覧/『鈴木牧之全集 下巻・資料編』宮栄二〔ほか〕編(中央公論社) p198
文政元年5月17日 
崋山と申唐絵かき、倅同門にて、ことの外画執心の仁也。玄同放言にも、右の仁の絵二丁加入仕候。雪蜉も此仁にうつさせ候つもりたのみおき申候。
ネットで閲覧/未発見
本で閲覧/『同書』p208
文政元年7月晦日 雪虫に関するくだりで
右写真花(崋)山子へたのみ起き候処、めかねいまだ手に入り不申哉埒明不申候。拙者いとこ間宮筑州御近習にて、此度長崎へ罷越候。来年十一月は帰府仕候。このものへ申付け、蘭製のむしめかねとりよせ候つもりに御座候。雪虫の入用のみなれど、めかね求め可申と存候。
ネットで閲覧/未発見
本で閲覧/『同書』p219
文政元年10月28日 
雪虫来春は亦復被遣可被下よし、忝存候。先達て花山子へうつしをたのみ置候へ共、今以沙汰なし。目かねに入不申故歟。
ネットで閲覧/未発見
本で閲覧/『同書』p230

私メモ/崋山がなかなか顕微鏡を調達できずにいる様子がわかります。(43)にあるように、1831年には崋山が顕微鏡を調達できたことがわかります。
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(33)1819年(文政2年)
『解剖存真図(かいぼうぞうしんず)』南小柿寧一(みながきやすかず)著
『解剖存真図』は「乾(けん)」「坤(こん)」二巻からなっています。記述は顕微鏡

「乾」の巻
⇒冒頭に桂川甫賢(ほけん)が序文を寄せています。甫賢は土井利位の『雪華図説』で跋文(後書)を書いた人物ですね。
⇒南小柿寧一自身の言葉で、顕微鏡で観察した旨が書かれています。
ネットで閲覧/【東北大学総合学術博物館】
直接のURLは
ttp://www.museum.tohoku.ac.jp/brain/exhibition/image/ken1.swf

「坤」の巻

⇒第46図顕微鏡で人体の表皮、毛髪などを観察。スケッチあり。


第四十六 以顕微鏡見表皮及腺毛髪の見出しのもと、(イ)表皮 (ロ)腺 (ハ)血絡支末 (ニ)毛 この4つを顕微鏡で見たスケッチが描かれています。
ネットで閲覧/下記の2か所で閲覧可能。
1)【東北大学総合学術博物館】
直接のURLは
ttp://www.museum.tohoku.ac.jp/brain/exhibition/kon03.html
↑人体を解剖したスケッチ図なので、気持ち悪いと思う方がいるかも。苦手と思う人は開かないように。

2)【慶応医学】2005年9月号(82巻3号)のp111
直接のURLはttp://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=20824
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(34)1820年(文政3年)4月、名古屋で顕微鏡でノミ、虱等を見せる見世物がおこなわれる。 
『見世物雜志』小寺玉晃著 巻一(出版は天保元年~)に記録あり。
顕微鏡本体のスケッチあり。記述は阿蘭陀渡りの蟲眼鏡


四月より大須山門外ニおゐて おらんだ眼鏡にて諸虫をみする のみ 虱 しゃくし 蜘 蚊皆々てのひらほどつゝに見え、至ておそろしきものなり

ネットで閲覧/【早稲田大学古典籍総合データベース】→「見世物雜志」→第一巻→No.17
直接のURLは
ttp://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i04/i04_00696/i04_00696_0001/i04_00696_0001_p0017.jpg

本で閲覧/『見世物雜志』小寺 玉晁著 郡司正勝、関山和夫編(三一書房)p17

参考資料/『見世物研究』朝倉亀三著p256でこの顕微鏡の見世物について紹介されています。

文化3年4月から名古屋大須で、阿蘭陀渡りの蟲眼鏡の見世物があった。是は現今の顕微鏡の事で、看客に蚤や蟻を覘かしたのであるが、何人も微細の蟲が廓大に見えるのに仰天して、蚤虱等皆掌ほどに見え、至って恐ろしき物なり(見世物雜志)と歎聲をもらした。
この『見世物研究』もネットで閲覧可能/グーグルブックス→「見世物研究」→p256
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(35)1825年(文政8年)『結夏随筆(けつげずいひつ)』鎌田昌長著
顕微鏡でしらみ、ノミ、灯心、人髪などを観察。記述は顕微鏡

以下、句読点、濁点(ex.云ヘハ→云ヘバ)などのアレンジは『世界の顕微鏡の歴史』小林義雄著p24を参考にさせていただきました。
【巻三 顕微鏡奇観の項】
今並乙酉(私メモ/文政八年のこと)秋七月、長谷川兵助所蔵一種奇製顕微鏡ヲ観ル。其製ノ如キハ筆摸スベカラズ。但其見ルモノニテ云ヘバ、虱の鏡外ニ映写スル大サ凡長キコト六尺、幅二尺、手足左右各三、其未死モノ活動苦悶ノ状可痛、可憐。蚤蟲ノ最小ナル者ヲ見、身長三尺許、四足アリ、前短、後長、跳躍、回旋又其苦状不可言。燈心ノ輪切ニセシモノ径凡二尺余、外輪不円絵ケル雪輪ノ形ノ如ク、其中孔穴無数通透ス、宜ナリ水ヲ利スルノ能アルコト。其他羽二重絹、縮緬、人髪尚種々コレヲ見ル。ミナ意量ノ外ニ出ツ。嗚呼和蘭ノ奇功妙技実ニ不可思議ト謂ツベシ。因ニ託(話?)ス、今ヨリ三十年許ノ前、予嘗テ橋本十郎右衛門ガ家ニテ、船来之顕微鏡ヲ見タリ。時方ニ夏日ナリ。十郎ガ曰ク、仏説ニ蚊蟲之睫毛中蟭螟ト云モノ住ムト云コトヲ聞タリ、是眞トセンヤ妄トセンヤ、長答フ、仏説ハ予未知、況ヤ眞妄ヲヤ。十郎云ク、此コト不妄、請之ヲ證セント。便チ顕微鏡ヲ出シ、園中竹樹中ヨリ蚊蟲五六ヲ取シメ、鏡ニ移映シ以テ之ヲ示ス。予之ヲ視ルニ蚊睫毛中極少活蟲二箇蠢動、往来ス。不思シテ襟領、為之冷然タリ。嗚呼偉仏言、是斯細件、尚且如此眞実也。以之則一代所説宣夫可謂之妄哉。尓後於仏説閉啄 云云。


ネットで閲覧/【国立国会図書館デジタル化資料】→「結夏随筆」→30/59と31/59
直接のURLは

ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2536479/30 と
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2536479/31

【江戸時代の顕微鏡シリーズ】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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