雪の結晶番外編/江戸時代の顕微鏡シリーズ(16)ノミやシラミに森羅万象を感じます
虫が嫌いな人はこの記事はすっとばしてくださいね。
江戸時代の顕微鏡について調べていると虫のスケッチがいくつもでてきます。 当時、「顕微鏡」と書いて「ムシメガネ」とルビがふってある文献が多いだけあって、目に見えないほどの小さなものを見られる魔法の装置(顕微鏡)を手にしたら、まっさきに見てみたいものが「虫」だったのでしょうね。
江戸時代の顕微鏡シリーズでご紹介したノミ、シラミ、ボウフリ、赤ボウフリの画像を一同に並べてみます。この4つに特に魅せられたので。
パブリックドメイン以外のものは、いずれも所蔵館から画像掲載許可をいただいたものです。転載、二次利用はご遠慮ください。数字をクリックいただくと詳細ページにリンクします。
【ノミ】
(14)『紅毛雑話』森島中良(国立国会図書館)
(30)『千虫譜』栗本丹州 (国立国会図書館)
(30)-2『本草図説』岩崎灌園(東京国立博物館)
『ミクログラフィア』ロバート・フック
どのスケッチのノミも小さな頭、カエルの足のように見える口器、
毛が生えた長い脚、胡麻のような丸みのある胴体が描かれていますね。
※画像は掲載できていませんが
(55)『顕微鏡虫之図』のノミもぜひご覧いただきたいです。
【シラミ】
(14)『紅毛雑話』森島中良(国立国会図書館)
(27)『虫鑑』高玄竜 (国立国会図書館)
(30)『千虫譜』栗本丹州(国立国会図書館)
(30)『千虫譜』栗本丹州(国立国会図書館)
『ミクログラフィア』ロバート・フック
『自然の聖書』スワンメルダム
※画像は掲載できていませんが、
(55)『顕微鏡虫之図』のノミもぜひご覧いただきたいです。
ノミとシラミ。全然違う姿をしています。
顕微鏡で見ないと違いがわからないくらいの小さな存在なのに
こんなに違う造形をしている必要はあるのでしょうか。
誰にこの造形の違いに気づいてほしくて存在しているのでしょうか。
「誰も見るわけじゃないから、どんな姿だっていいんだ~」
ってバラバラな姿じゃなくて、ノ
ミはノミ同士、シラミはシラミ同士、同じ姿であることにも感動。
造物主はこんな小さな生き物でさえ手抜きしないで造っているんですね。
どんなに小さなものにも特有の形があって、この地球に生きている。
「森羅万象」をノミやシラミのスケッチから感じます。
極小だからどんな姿だっていいじゃない、なんて不遜なことをいう私ですが、
もっと大きな存在がいたら、地上でうごめく人間を同じように思っているのかもしれません。
「人間はあんなに小さい存在なのに、顔立ちがどうの、太ってる痩せてるだのって言ってるよ」って。
「俺たちから観たら、みんないっしょくたなのにね」なんて笑っているかもしれません。
次にぼうふり、赤ぼうふりを並べてみましょう。
SF映画に出てくるエイリアンのような不気味な造形、でも、なんだか引き込まれます。
【孑孒(ぼうふり/ぼうふら)】
(14)『紅毛雑話』森島中良(国立国会図書館)
『自然の聖書』スワンメルダム
※画像は掲載できていませんが、
(55)『顕微鏡虫之図』の孑孒もぜひご覧いただきたいです。
【赤ぼうふり(ユスリカ)】
(14)『紅毛雑話』森島中良(国立国会図書館)
(52)『本草図説』高木春山(西尾市岩瀬文庫)
描いた人たちの「どんな姿をしているのかみたい」という好奇心。
覗いた時の、「げげ!なんじゃこりゃ」という驚き。察せられます。
江戸時代は光学機器の発達で、顕微鏡で虫や雪を眺め、
望遠鏡で月や惑星を眺めるというミクロからマクロまで視野が広がってきた時代。
西洋文明の風もどんどんやってきて。
吸収力ある人々にとって画期的な時代だったのでしょうね。
さて、虫に関する面白い本をみつけました。
『わが家の虫図鑑』という本です。
ノミ(p87)もシラミ(p81)もユスリカ(p116)もいます。
顕微鏡で撮影したと思われる写真あり。
江戸時代のスケッチとほとんどかわらない姿が掲載されています。
江戸時代にスケッチされた虫の何世代後の子孫なんだろうか。
時代は変わってもやっぱり蚤は蚤か~と思うと感慨深いものがあります。
お父さんと子供が、一緒にカブトムシを捕ったとか、育てている、とか
そういう和気藹々とした本では決してありません。
黄色く長いコウガイビル(p124)も登場。
コウガイビルがミミズに巻き付いて食べる写真(p125)も掲載されています。
私は虫が大の苦手なのに、気持ち悪い~~~~と言いながら
ついついこの本は見入ってしまいました
いやよいやよも好きのうち、といいますか
<怖い物みたさ>というか
<気持ち悪いものみたさ>というのが人間の本能にあるのでしょうか。
コウガイビルに興味のある方は2006.7.25の記事もご覧いただけたら。
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