2012年10月27日今日は「後の月」
今日は旧暦9月13日。
十三夜。「後(のち)の月」です。
日本では、旧暦8月15日の
十五夜、「中秋の名月」がお月見として有名ですが、
同じように「後の月」を愛でる風習があります。
『南総里見八犬伝』などで知られる江戸時代の作家、
曲亭馬琴(滝沢馬琴)も「後の月」を愉しみにしていた一人。
彼の日記や手紙には「中秋の名月」とともに「後の月」を祝った記録が数多く残されています。
↑携帯で撮ったのでボヤッとしか写っていませんが、今晩の「後の月」
たとえば文政10年(1828年)。
8月15日の日記では
今夕月見、如例年、家内一統祝之
(拙訳で)
今晩は月見。例年どおり、家族全員でこれを祝う
と書かれています。
『曲亭馬琴日記 第一巻』新訂増補 柴田光彦(中央公論社 2009)p191より。
同年9月13日の日記では
月見祝儀之団子、如例年之製之、家廟に献之、家門一統祝之、賞玩
(拙訳で)
月見の祝団子を例年どおりに作り、神棚に供え、家族全員で月見を祝って観賞する。
同書 p207より
と書かれています。天保2年(1831年)。
8月15日の日記では
如例、月見赤豆団子を製し、きぬかつぎ芋・枝豆等、家庿へ供、家内一統、祝之畢
(拙訳で)
例年のように、月見の赤豆団子をつくり、きぬかつぎ芋、枝豆などを神棚に供え、家族全員で月見を祝う。
『曲亭馬琴日記 第二巻』新訂増補 柴田光彦(中央公論社 2009)p435より。
同年9月13日の日記では
薄晴 無程全晴 今夜名月 白昼の如し。今日、後の月見に付、如例、赤豆団子製造、いも・栗・枝豆等、一式家庿へ供し、其後、家内一同、祝之。今夕、四時就寝。明月なれども冷気に付、賞月に及ざる也
(拙訳で)
薄晴れだったがほどなく雲のない空。今夜は名月。白昼のようである。
「後の月見」につき、例のごとく、赤豆団子をつくり、芋、栗、枝豆など一式をご先祖様の仏壇に供え、その後家族全員で祝う。
今晩は四つ時(現代の22時前後でしょうか)就寝。明月だが冷気につき、観賞するには及ばない。
同書p459より
と書かれています。
【後の月」は栗や豆を供えるところから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれている】と言われていますが、
馬琴がきちんと栗や豆を供えている様子に、「言い伝えられている通りだ!」とうれしくなります。
ハロウィンがない江戸時代では、お月見は秋にわくわくする一大行事だっだのかもしれませんね。
今年の9月30日は天候が悪く、中秋の名月を観られなかった方が多いと思います。
私も観られたのは日付をまたがった翌朝、西の空に沈む間際の月でした。
幸い、今日の「後の月」は観られる方も多いのでは。
今南東の空に昇っています。うさぎの腰からもものあたりが欠けている月齢12の月。
どうぞ今日このブログをご覧になった方は夜空を見上げてみてくださいね。
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コメント
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お久しぶりです。
「後の月」なんて素敵な響きでしょう。
栗名月良いなぁ・・・。
最近忙しくて、毎日バタバタしています。
そういえばお月さま最近見ていないです。
早速今から外に出てお月さま見てきたいです。
昔の人は風情があっていいですね。
お月さまを見て一句素敵!
投稿: ジジ | 2012年10月29日 (月) 19:40
ジジさん。おひさしぶりです。お訪ねくださりありがとうございます。
「後の月」に日本人の風流さを感じますね。
今月の満月は明日30日。厳密にいえば、30日の明け方4:49。早起きされるようでしたらぜひ西の空を!
投稿: emi | 2012年10月29日 (月) 23:30