百花堂さんの雪花の生地は科学技術とアートの賜物
雪の結晶カテゴリーの2012年10月9日で
京都の百花堂さんの雪花柄の生地をご紹介しました。
ネットで偶然みつけたのですが、
グレーの生地に雪の結晶がちりばめられている様子がとても美しく一目ぼれ。
コンタクトをとってこの生地をブログでご紹介させていただいたわけです。
↑百花堂さんの雪花柄の生地。雪の結晶の繊細な産毛のような質感、光沢にうっとり
この百花堂さんが日本橋三越に2012年12月26日~31日出店されるとのこと。
この雪花柄を使ったボストンも展示されることをうかがいました。
私のお財布は寒風が吹くどころかシベリア寒気団が居座る超倹約月間(^_^.)
ボストンを購入できなくても、ぜひこの生地と百花堂の高橋美和さんにお会いしたい~と思い、
三越にうかがいました。
グレーに白の雪花柄、本当に素敵でした~~~~。
墨色の生地のシックさも素敵ですが、雪の結晶!
まるで霜柱のように立体的に浮かび上がっていて、そして光沢があるのです。
その光沢というのは、角度によって青っぽくみえます。
決してラメやスパンコールのようなわかりやすい派手さではなく、
まさに霜や氷が朝陽でプリズムのようにきらめくような奥深い輝き。
そして、墨色の生地の所々には白い小さなドットのようなものがあります。
それが、雪の小さな粒にもみえます。
立体的にみえる雪華と小さな粒の対比が雪が舞っている冬の空を見ているような遠近感を感じさせます。
高橋さんはご自身のブログにも書いていらっしゃいますが、
グレーのセーターの上に雪の結晶が舞い降りたのを体験したのがこのモチーフの素となっているそうです。
そして、この繊細な輝きを放つ雪華はモルフォテックスという特殊繊維によるものだそうです。
百花堂さんのブログから引用させていただきます。
「雪の結晶を拡大したかのようなリアルな表現を実現したのは、
真っ白の繊維にモルフォテックスという繊維を織り込んで、ネップツイード地に植毛しているからです。
モルフォテックスとはモルフォ蝶(ブラジル原産の七色に光るブルーの蝶)と同じ光を屈折させる構造を研究して開発された特殊繊維。
私はこの繊維が開発されたと聞いて氷のきらめきを感じ、あの感動を再現しようとひらめきました。」
モルフォテックスというのは帝人さんが開発された繊維だそうです。
帝人さんのHPでこんな風に紹介されていました。
「最先端のナノテクノロジーが生んだ構造発色繊維」
アマゾン河流域に生息するモルフォ蝶はメタリックブルーに輝く羽を持つ「世界でもっとも美しい蝶」と呼ばれていること。
その蝶の「構造発色」を再現してこの画期的な繊維が開発されたこと。
このモルフォテックスの繊維の用途はアパレル業界他にひろがっていることなどが書かれていました。
早速ネットでみてみると。。。
その奥深く上品な光沢は、ウエディングドレスやタキシード、ネクタイなどに使われてのがわかりました。
でも、あくまでも光沢を作り出す織物として使用しているものが多いようです。
ですが百花堂さんは、この繊維の光沢をそのまま雪の結晶の輝きに見立てるような活かし方をされています。
その発想が素晴らしいと思いました。
江戸時代、「顕微鏡」という科学技術が土井利位に雪の結晶のフォルムを観察させ、
それが「雪華文様」というアートになりました。
平成時代、科学技術が「モルフォテックス」という繊維を生み、
それを百花堂さんが「雪花柄のツイード」というアート性溢れるファブリックに仕上げました。
いつの時代も、科学技術と、アートな感覚、その2つがコラボすると魅力的なものがうまれる。
そんなことを感じました。
雪花柄で三越に出店されていたのはボストン1点でしたが、
その他昔の着物の柄を使ったバッグや帯を使ったテーブルランナーも素敵でした。
落ち着いた色合い、だけど上質な素材が放つ光沢が奥深い華やかさを醸し出していました。
ご興味がある方はどうぞ美しい作品をご覧なってみてください。
百花堂さんのHPで
雪花柄ツイードの生地に関しては
ttp://www.hyakkado.com/blog/fabric/original-fabric/398
雪花柄ボストンに関しては
ttp://www.hyakkado.com/blog/items/prtaporter/dress/3628
今回の日本橋三越の出店に関しては
ttp://www.hyakkado.com/blog/event/4990
(2022.8.20追記。残念ながら百花堂さんはお店を閉じてしまったようで、上記のHPは見られません。
雪花柄のボストン、ほしかった~。ぜひあらためて活動を復活されてほしいです)
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土井利位が『雪華図説』『続雪華図説』で発表した雪華の数々は、
デザインモチーフとして江戸の天保時代に流行します。
その一役を鈴木牧之(ぼくし)が担っています。
牧之の書いた『北越雪譜』は今なお岩波文庫で出版されていますが、
江戸時代に大ベストセラーとなりました。
この『北越雪譜』に土井利位の雪華が35種掲載されています。
明治時代にも『北越雪譜』は再販されるのですが、
「この表紙を手掛けた人はアートディレクターと呼べる最初の人では!!」と思うくらい表紙がいいんです。
土井利位の雪華を墨色のグラデーションの中にちりばめて、完全にアートとなっています。
(新潟県立文書館の許可を得て掲載させていただきます)。
(新潟県立文書館所蔵)
百花堂の高橋さんはこの北越雪譜の表紙はご覧になっていないのです。
版を重ね出版されている『北越雪譜』ですが、この表紙のものはネットではまずみつからないでしょうし、
図書館・資料館で閲覧できるものもほとんどないでしょう。
<グレーのセーターに舞い降りた雪の結晶>から着想を得て雪花柄ツイード生地を創られた高橋さんと、
明治時代のこの表紙を手掛けた人が、
時を越え同じ感性を持っていらっしゃるというのが第三者ながらうれしくなります!
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