星のささやき---その12.レスコフの小説『ナ・クラーユ・スヴィエタ』に星のささやきを発見
シベリアのマイナス40度ぐらいの厳寒の中での現象「星のささやき」について調べ、
何回かにわけて記事をアップしていました。
その後、調べ途中だったパソコンのデータが消えてしまったりで、
記事の更新を中断していました。
思いたって再開。
あらためて「まとめ一覧表」もつくる予定ですが、
今日はその1で少し触れた『ナ・クラーユ・スヴィエタ』レスコフ著(1875年出版)の本を取り上げます。
(「星のささやき」の概略はINDEXをご覧ください)
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『ナ・クラーユ・スヴィエタ』を知ったのは、
1973年にロシアで出版された『単純な水のなぞ』フセボロド・アラバジ著の中です。
(詳細はその3を)。
星のささやきの現象についてこの小説が鮮やかな描写をしていると書かれていたのです。
『ナ・クラーユ・スヴィエタ』。
ありがたいことにネットで原文を読めます。
私が目を通したところ、шёпот звёзд(ロシア語で「星のささやき」の意味)という言葉は発見できなかった。
ですが、確かにこれは星のささやき現象を述べていると思われるくだりがありました!
第十章です。
Настала такая невозмутимая тишина, что я слышал и свой собственный пульс внутри себя и свое дыхание:
оно как-то шумит, как сено, а если сильно вздохнуть, то точно электрическая искра тихо пощелкивает в невыносимо разреженном морозном воздухе
(以下、私による略)
ロシア語も勉強中の身で100%の精度では訳せないのですが拙訳で。
あまりに森閑とした静けさなので、私自身の脈や息の音が聞こえた。
呼吸は干し草のようにざわざわ音がした。
激しく呼吸をすれば、堪えがたい厳寒の空気の中で
息は電気のスパークのようにパチパチと音を立てる。
「星のささやき」とはでてきませんが、まさにこの現象は「星のささやき」ですね。
音のニュアンスは。
呼吸が干し草のようにざわざわというくだり。
動詞はшуметь(シュミエチ)。
辞書によるとザワザワ、シューシュー。
サモワールがシュンシュンと沸く音、海鳴り、
風が枝を揺らして立てる葉ずれの音、耳鳴りもシュミエチを使うようです。
電気スパークのようにパチパチを音を立てるというくだり。
пощелкивать(パショールキバチ)。
辞書によると、きつつきが木をこんこん叩く音、歯をガチガチ鳴らす音も使うようです。
♪メモ♪
ニコライ・セミョノヴィッチ・レスコフ(1831-1895)/Nikolai Semyonovich Leskov/Николай Семёнович Лесков
『На краю света(ナ・クラーユ・スヴィエタ)』
(世界の果てでの意味)。
1875年出版。
ネットで閲覧(ttp://az.lib.ru/l/leskow_n_s/text_0030.shtml)他で閲覧可能。
※英語版は『on the Edge of the World』。日本語版は無し。
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あくまでも私自身が文献を調べ、私自身による訳でご紹介しています。
今後、加筆修正もありますので、無断転載はご遠慮ください。
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