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2013年3月25日 (月)

星のささやき---その14.セルゲイ・オブルチェフの1954年の本に星のささやき発見

「星のささやき」シリーズその14です。
なるべく時系列に記事を更新していこうと思っていたのですが、
あとから資料がみつかったりで、いろいろ前後しています。

今回は「星のささやき」が出てくるロシア語の本(1954年出版)をご紹介します。
B_neizbedannye_kraya

その13に続き、「星のささやき」を広めた立役者(私が勝手に認定)である地理学者セルゲイ・オブルチェフの著書
В неизведанные края: путешествия на Север 1917-1930 гг』です。
タイトルの意味は「未踏査の地方。北方の旅 1917-1930年」です。

その中から引用。
Когда я открываю уши, то слышу странный шум: как будто пересыпают зерно или ветер стряхивает с деревьев сухой снег. Куда ни обернусь — всюду этот шум, а между тем ветра нет и деревья не шелохнутся. Наконец догадываюсь, что это шур шат кристаллики льда, образующиеся из влаги выдыхаемого мною воздуха. Черский уже описывал этот характерный шум, он появляется при морозе ниже 50 градусов. Якуты называют его "шопотом звезд".

拙訳で。

耳当てから耳を出すと、奇妙なざわめきが聞える。
それはまるで穀粒をばらまくような音、あるいは風が木々から乾いた雪を払い落とすような音だ。
どこを振り返ってもこの音がした。ところが、風はなく、木々は揺れていなかった。
ようやくわかった。これは私自身の吐く息の水分が凍ることで生じた氷の結晶がさらさら音を立てているのだと。
チェルスキーはすでにこの特異なざわめきについて、
これは氷点下50度のマロース(私メモ、氷点下の厳寒のこと)の時に起きることを述べている。
ヤクートの人たちはこれを「星のささやき」と呼んでいる。


この文章はどこかで見たことがあるようなと思うと、星のささやきその3で取り上げた
К неведомым горам : путешествия С. В. Обручева 』リディヤ・グリシナ著(1974年出版)の中です。
グリシナは、オブルチェフの遠征について以下のように書いています。
原文など詳細はその3をご覧いただくことにして、拙訳で抜粋。

<まるで、穀物の粒を注ぐ(ばらまく)か、風が木の枝から乾いた雪を払い落とすような音だ。
どこをふりかえってもいたるところでこの音がする。
けれど風はなく、枝はかすかにも揺れていない>と
後に彼は書いている。
とうとう探検家は気づいた。これは自分の凍った息の音だと。
チェルスキーは<この独特なざわめきはマイナス50度を下回るマロースの時に現れる。
ヤクートの人たちはこのざわめきを「星のささやき」と呼んでいる>
と書いている。

赤字部分をご覧ください。
グリシナは、オブルチェフが書いている、と記していますが、
「なんという本に」書いているかは明記していません。
その答えがこの記事「星のささやきその14」で取り上げた
В неизведанные края: путешествия на Север 1917-1930 гг』だったのですね。

♪メモ♪
タイトル/『В неизведанные края: путешествия на Север 1917-1930 гг/ブ・ニイズベダンヌィエ・クラヤ
著者/セルゲイ・ウラジーミロビッチ・オブルチェフ/Sergei Vladimirovich Obruchev/Сергей Владимирович Обручев
出版社/Молодая гвардия
出版年/1954
ネットで閲覧/ЭЛЕКТРОННАЯ БИБЛИОТЕКА ModernLib.Ruで閲覧可能。 ttp://www.modernlib.ru/books/obruchev_vladimir_afanasevich/v_neizvedannie_kraya_puteshestviya_na_sever_1917_1930_gg/read_1/ (海外のサイトです。だかというわけではありませんが、セキュリティなど万全にしてご覧ください)

ロシア語の達人ではない私による訳でご紹介しています。
できる限り精度を高めるよう心がけておりますが、100%とは言えません。
今後も何かありましたら加筆修正していきます。

星のささやきシリーズINDEXはこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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