星のささやき---その19.英語の本『IN SIBERIA』を読みました
「星のささやき」シリーズ。
英語編を2009年2月1日に取り上げましたが、その後、閲覧した本をご紹介します。
『IN SIBERIA』Colin Thubron著。(Harper Perennial /2000年)
The Planetという章のp169~170に星のささやき現象のこまやかな記述があります。
日本語訳はこの本の翻訳本『シベリアの旅』コリン・サブロン著。
鈴木主税・小田切勝子訳(共同通信社/2001)のp196から引用します。
Now far west of where I slept next night is the coldest inhabited place on earth. At Oimyakon a temperature has been recorded of -97.8゜F. In far lesser cold, steel splits, tyres explode and larch trees shower sparks at the touch of an axe. As the thermometer drops, your breath freezes into crystals, and tinkles ot the ground with a noise they call ' the whispering of the stars'. 次の日の夜、私が泊まった場所から西にそう遠くないところに、地球上で最も寒い町がある。オイミャコンというその町では、マイナス七二.一度を記録している。そこまで低い気温でなくても、鋼鉄は割れ、タイヤは破裂し、カラマツの木に斧が触れると火花が飛び散る。寒暖計が下がると、息は凍って結晶になり、土地の人が「星のささやき」と呼ぶ音をたてて地面にちりんと落ちる。 |
このあとの言い伝えの記述も面白いです。
Among the native peoples a myth exists that in the extremest cold words themselves freeze an fall to earth. In spring they stir again and start to speak, and suddenly the air fills with out-of-date gossip, unheard jokes, cries of forgotten pain, words of long-disowned love. 土地の人々のあいだでは昔から、寒さがあまりにも厳しいときには言葉そのものが凍って地面に落ちると信じられている。春になると、その言葉がふたたび動き出して話はじめるので、にわかに、古くなったうわさ話、聞いてもらえなかった上段、もう忘れてしまった痛みの叫び声、ずっと前に別れた合いの言葉で、あたりはいっぱいになるという。 |
冬に凍った言葉が春に溶けて動き出すなんてありえないませんが、面白い発想ですね。
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