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2013年5月31日 (金)

星のささやき---その20.星のささやきに関する英語文献一覧

「星のささやき」は英語で「whisper of the stars(the はあったりなかったり)」。

「星のささやき」現象について書かれた英語語文献を時系列でまとめてみました。
(丸数字のあとは出版年です)

注)添えた日本語訳は明記がないものは私によるものです。
注)あくまでも私が把握できた本だけを取り上げています。今後、資料をみつけたら加筆修正もあります。


①1958年
  論文『ON THE LOWEST TEMPERATURES ON EARTH』Nina A.STEPANOVA著。

私たちは摂氏マイナス39.4度以下の気温は計測できなかったのです。(マイナス39.4度が水銀の氷点でありこれ以下の温度では凍ってしまうからです)私たちは客観的な目安になるものを活用しなければなりませんでした。すなわち、凍った息よって生じるさらさらカサカサいう音です。それは穀物を注ぐ音にとてもよく似ています。この現象は、ヤクートの人々によって「星のささやき(whisper of stars)」と呼ばれています。
このくだりはセルゲイ・オブルチェフの論文からの引用ですので、「私」というのはオブルチェフのことです。
詳細は その2を。

Siberia_george ②1969年
  随筆『Siberia : The New Frontier』George St. George著。

1月と2月に、気温が華氏マイナス70度(摂氏マイナス56度)を示すことはヤクートでは珍しくありません。この寒さのために人の息は瞬時にパチパチ音をたてて凍ります。それは地元では「星のささやき(the whispering of the stars)」という詩的な名前で知られています。
詳細は その2を。

The_climate_of_the_earth ③1985年
  『The Climate of the Earth』Paul E. Lydolph著。

ソビエト連邦の北東部、星が輝く極夜(24時間夜が続く)の寒さの中で、現地のヤクートの人たちはこのさらさらという音を「星のささやき(whisper of the stars)」と呼んでいます。
詳細は その2を。


The_whisper_of_stars ④1988年
 随筆『The whisper of stars : a Siberian journey 』Stan Grossfeld著。

気温は(マイナス)56度になる必要がある。その時には息を吐く時、Shhhhhhhhhhという音を聞くことができる。これが星のささやき(the whisper of stars)だ。 (私による略)
そしてその時、星のささやきを聞いた。なぜなら気温は華氏マイナス69度(摂氏マイナス56度)を下回ったからだ。詳細は その18を。

⑤1997年
 NASAのサイトより。

静かな夜、かすかにそれらのさらさらカサカサという音をきくことができます。それはヤクートの人々に「星のささやき(the whisper of the stars)」として知られている音です。
詳細は その2を。

In_siberia ⑥2000年
 随筆『IN SIBERIA』Colin Thubron著。
 訳はこの本の日本語訳『シベリアの旅』鈴木主税・小田切勝子訳より。

息は凍って結晶になり、土地の人が「星のささやき(the whispering of the stars)」と呼ぶ音をたてて地面にちりんと落ちる。
詳細は その19を。

2013年5月30日 (木)

星のささやき---その19.英語の本『IN SIBERIA』を読みました

「星のささやき」シリーズ。英語編を2009年2月1日に取り上げましたが、その後、閲覧した本をご紹介します。
『IN SIBERIA』Colin Thubron著。(Harper Perennial /2000年)

The Planetという章のp169~170に星のささやき現象のこまやかな記述があります。
日本語訳はこの本の翻訳本『シベリアの旅』コリン・サブロン著。鈴木主税・小田切勝子訳(共同通信社/2001)のp196から引用します。


Now far west of where I slept next night is the coldest inhabited place on earth. At Oimyakon a temperature has been recorded of -97.8゜F. In far lesser cold, steel splits, tyres explode and larch trees shower sparks at the touch of an axe. As the thermometer drops, your breath freezes into crystals, and tinkles ot the ground with a noise they call ' the whispering of the stars'.
次の日の夜、私が泊まった場所から西にそう遠くないところに、地球上で最も寒い町がある。オイミャコンというその町では、マイナス七二.一度を記録している。そこまで低い気温でなくても、鋼鉄は割れ、タイヤは破裂し、カラマツの木に斧が触れると火花が飛び散る。寒暖計が下がると、息は凍って結晶になり、土地の人が「星のささやき」と呼ぶ音をたてて地面にちりんと落ちる。

このあとの言い伝えの記述も面白いです。


Among the native peoples a myth exists that in the extremest cold words themselves freeze an fall to earth. In spring they stir again and start to speak, and suddenly the air fills with out-of-date gossip, unheard jokes, cries of forgotten pain, words of long-disowned love.

土地の人々のあいだでは昔から、寒さがあまりにも厳しいときには言葉そのものが凍って地面に落ちると信じられている。春になると、その言葉がふたたび動き出して話はじめるので、にわかに、古くなったうわさ話、聞いてもらえなかった上段、もう忘れてしまった痛みの叫び声、ずっと前に別れた合いの言葉で、あたりはいっぱいになるという。

冬に凍った言葉が春に溶けて動き出すなんてありえないませんが、面白い発想ですね。

In Siberia

シベリアの旅

2013年5月28日 (火)

星のささやき---その18.英語の本『The whisper of stars : a Siberian journey』を読みました

「星のささやき」シリーズ。英語編を2009年2月1日に取り上げましたが、その時未見だった
『The whisper of stars : a Siberian journey 』Stan Grossfeld著(GLOBE PEQUOT PRESS/1988年)
を読むことができました。

A Whisper of Stars

この本はアメリカ人ジャーナリストのスタン・グラスフェルド氏が、シベリアで星のささやきを体験しようと、
まだ制限の多かったソビエト時代(ゴルバチョフ政権時代)にシベリアを訪ね、自らの写真と文で綴った
本のようです。

私の読解力によれば、彼は結局自分自身では星のささやきを聴いていないと思うのですが、
この本で一番興味深いのは
・「星のささやき」がきこえるのは摂氏マイナス56度以下と記述していること
・「星のささやき」の音を英語で擬音化する際、「Shhhhh」と表現していること 
  です。

主に2か所に星のささやき(whisper of stars)がでてきます。
引用部分は青文字、拙訳はオリーブ色でご紹介します。

①p14~15 〔LENINGRAD, February 2〕の項で。

The search for the whisper of stars begins on a cold February night in Leningrad.
星のささやきを探す旅はレニングラードで2月の寒い夜にはじまった。 
"It's too warm for the whisper of stars, " says Arkady I, Kudrya, squinting under his fur hat to keep the snow out of his eyes. "The temperature has to be 56. Then when you breathe out you hear 'Shhhhhhhhhh' . That's the whisper of stars. The breath instantly freezes into crystals of ice. Perhaps we will see this in Siberia. It's called habitation fog, and it can be a problem.  (以下私による略)
星のささやきにはあたたかすぎる」とアルカージー・クドゥリャ氏が雪を眼に入れないため毛皮の帽子の下で目を細めながら言った。「気温は56度になる必要がある。その時には息を吐く時、Shhhhhhhhhhという音を聞くことができる。これが星のささやきだ。息はすぐに氷結する。おそらく私たちはシベリアでこれを見られるだろう。それは居住霧と呼ばれる現象で、問題になるのだ。 (以下私による略)。

Kudrya, my Soviet-appointed escort and translator, means minus 56 degrees Celsius(minus 69 degrees Fahrenheit). But in Siberia―where we would spend nearly a month―nobody bothers saying "minus".
ソビエト連邦が指定した護衛かつ通訳者のクドゥリャ氏の56度というのは摂氏マイナス56度(華氏マイナス69度)の意味である。私たちが一か月近く過ごしたシベリアでは誰も氷点下の気温に「マイナス」をつけていなかった。

私メモ/私たち日本人は普段、今日はプラス20度だとわざわざ言いません。20度といえばプラスが当たり前だから。同じように冬のシベリアでは氷点下が当たり前だからわざわざ今日はマイナス40度だ、と言わず、「40度だ」となってしまうのですね。

②p143~144  〔OMYAKON, March 20〕の項で。

私メモ/ここで出てくる星のささやきは、グランフェルド氏自身の体験ではなく、1986年3月8日にヴァレンチナさん18才とニーナさん25才が体験した話をきいて書きとめたもののようです。
極寒での彼女たちの体験談の中に「星のささやき」がでてきます。
華氏マイナス40度の中でヴァレンチノさんとニーナさんは道に迷います。心臓に持病のあるヴァレンチナさんをニーナさんは背負いながら歩きます。

They were lost, and now they could hear the whisper of stars because the temperathre had dipped to minus 69 degrees F. (私による略) All they could hear was the Shhhh, Shhhhh, Shhhushing of the whisper of stars. The noise got louder as Nina labored harder with her friend's life on her shoulders.
彼女たちは道に迷った。そしてその時、星のささやきを聞いた。なぜなら気温は華氏マイナス69度(摂氏マイナス56度)を下回ったからだ。(私による略)彼女たちはShhhh, Shhhhhと星がささやく音を聞いた。そのノイズは ニーナがヴァレンチナさんを背負うのがつらくなるにつれ、大きくなっていった。

私メモ/このあと、ヴァレンチナさんはニーナさんに、<このままでは2人とも死ぬ。自分を降ろして1人で行くように。あなたには2人の子供がいるのだから。あなたが助けを連れてもう一度戻ってくるまで私は生きているから>と言います。このあとまた、「星のささやき」という言葉が出てくるのですが、ここではグロスフェルド氏は「星のささやき」を自然現象としてではなく、詩的な表現として用いている気がします。

As she trudged through the snow, her thoughts turned to her two children; and now, in the whisper of stars, she saw their faces. A boy and a girl, ages three and four. Shhhhh, Shhhh, Shhhhh.With every breath she saw them in the icy crystals. The whisper of stars guided her safely back to the camp.
彼女は雪の中を重い足取りで歩きながら、2人の子供たちのことを考えた。そして星のささやきの中に、子供たちの顔を見た。3歳の息子と4歳の娘のの顔を。Shhhhh, Shhhh。
星のささやき( 自分の吐く息が立てる音)がする。 呼吸のたびに氷結する息のもやの中に子供たちを見た。星のささやきはキャンプへ彼女を無事に導いた。

Shhhhhh はうるさい時に「シーッ!」という時の音にも使うようですね。
ロシアで「シュルシャーチ」、日本語でサラサラと表現される「星のささやき」。どの国の人も S系の音を感じるものでしょう。

2013年5月12日 (日)

シベリア・サハの不思議な音楽

星のささやきシリーズをもう少し続けていきますが、今日はその番外編。

20130512ayarkhaan サハのことを調べている中で出会った印象的な楽曲をご紹介します。
口琴(хомус/ホムス)を演奏するサハ(ヤクート)の女性3人グループ
Айархаан(Ayarkhaan/アヤルハーン)」の1曲です。

口琴ではなくて3人の声だけのアカペラ曲だと思うのですが
タイトルは「Kyyray Hallaan Kyrgyttara (Devine Young Ladies )」
YouTubeで聴くことができます。 (ttp://www.youtube.com/watch?v=e8JIqcNYyAI)

わずか1分59秒の曲ですけれど、妙に耳に残ります。
ザ・ピーナッツが歌う「♪モスラーよ。モスラー」の歌を思い出させます。
とてもシャーマニック。呪術の時に唱える詠唱みたいな雰囲気。
ブルガリアンボイスにも少し似たハーモニー、発声法です。

20130512ayarkhaan2この曲は 「Звуки древней земли Олонхо(The Sounds of the Olonkho Land)」というアルバムの収録曲。
タイトルは「いにしえのオロンホの大地の響き」というような意味でしょう。
ちなみにオロンホとはヤクートに伝わる英雄叙事詩のことです。

このアルバムにはさらに不思議な、別次元に導かれるような曲があります。
「Deybiir Yryata(Daybir's Song)」2分56秒。
あまり抑揚のない同じフレーズの繰り返しなのですが、少しずつ音階が上がっていきます。
バックにはどーんどーんと一定リズムの太鼓のようなものが聞こえてきます。最後はブルガリアンボイスのポリフォニーのような明るさで終る曲です。
YouTubeではこちら。
(ttp://www.youtube.com/watch?v=6zfYIIFuvKw)


YouTubeのアヤルハーン関連の動画では
Хамус (Варган) - "Айархаан"- Sayan Ring- клип 3(ttp://www.youtube.com/watch?v=84iN6x_GSJ0)もおすすめ。

民族衣装、日本人に似た顔立ちも興味深いです。

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emi (秋田恵美)

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