鷹見泉石日記シリーズ(その3)細川家に贈答された雪華文蒔絵印籠に関して
『鷹見泉石日記』(その1)で雪花文蒔絵印籠についてご紹介しましたが、もう少し詳しく。
↑鷹見泉石像(国宝) 渡辺崋山筆
土井利位侯が贈答品として原羊遊斎(原更山)につくらせた「雪華文蒔絵印籠」。
現在、私たちは、古河歴史博物館と静嘉堂文庫に所蔵されている印籠を見ることができます。
それぞれ所蔵館のHPでも閲覧できます。
古河歴史博物館所蔵の印籠はこちら(ttp://www.city.koga.ibaraki.jp/rekihaku/sekka/4-2.htm)
静嘉堂文庫所蔵の印籠はこちら(ttp://www.seikado.or.jp/040302.html)
(2013.8.29現在)
このうち、静嘉堂文庫に所蔵されているものは古河藩から細川氏に贈答されたもののようです。
古河歴史博物館の図録『雪の華』に細川家に贈答された印籠について解説されています。抜粋で。
流行の最先端となった「雪の華」を名工原羊遊斎が蒔絵に仕立てたこの印籠は、
贈答された先々で大いに珍重されたようである。
当時、財政難の状態にあった古河藩は、財源確保のための借金をやむなく行なっているが、
その借用交渉や返礼の贈答品などにもこの印籠が利用されたことが想像される。
羊遊斎の製作にかかる雪華文の印籠は、現在、本品のほか永青文庫(旧熊本藩主細川家資料を所蔵)に
架蔵されていることが知られている。これは、土井家と姻戚関係にあった細川家への贈答品で、
天保11年5月に贈られていることが泉石日記によって確認される。
(古河歴史博物館 図録『雪の華』p29より)
私なりに『鷹見泉石日記』から細川家に雪華文蒔絵印籠贈答に関するくだりをピックアップしてみます。
(表記のただし書きはその1をご覧ください)
下に出てくる「細川越中様」は肥後国熊本藩10代藩主「細川斉護(なりもり/改名前は立政)」のことです。
天保11年1月16日
今朝、細川越中様、御同氏雅之進様御同道、御逢有之候付、
旧臘之御挨拶被遊候申上、御談有之済。(4巻p223)
(私メモ/雅之進は斉護の長男、細川慶前の幼名)
天保11年2月21日
今日、細川雅之進様、初て御目見に付、別段中村善左衛門御使者にて
鮮鯛一折被進之儀申上、申渡候。(4巻p234)
天保11年2月23日
善左衛門、昨日細川様へ料千疋持参候付、今朝加悦栄七より御挨拶手紙来。(4巻p235)
天保11年3月9日
細川様より、雅之進様御目見済御歓被進御答礼千疋、加悦栄七来。善左衛門出、
善左へ銀一枚被下候付、明日御挨拶勤、栄七へも金一枚被下候様申渡。(4巻p241)
天保11年3月23日
善左衛門参。細川様罷越候処、二千両御用立可被進候由。(4巻p245 )
(私メモ/善左衛門=中村善左衛門(4巻p192)
天保11年 3月25日
細川様、御調達金之内可差上、申上置。(4巻p246)
天保11年4月6日
細川様へ御印籠可被進儀(以下私による略)。
細川様、二千両之証文調印。(以下私による略) 夕、更山へ、御下之印籠三持参。(2巻p251)
天保11年4月9日
細川様より、二千両受取。(4巻p252)
天保11年5月4日
昨日更山より印籠二出来、都合印籠六ツ根附六ツ箱服紗共出来、
廿(私メモ/廿のあとスペースあり)両今日払、元方へ申渡。(4巻p262)
天保11年5月6日
御印籠、明日善会衛門勤候筈。(4巻p263)
天保11年5月8日
細川様より、昨朝善左衛門勤候御印籠二被進、御餞別御袴地五反被進、
御家老御用人以下へ御印籠銀子被下候御挨拶、中松弥助と申者罷越候。
善左衛門取次申聞申上。(4巻p264)
(弥助は4巻p192に京屋弥助とでてきます)
土井利位と細川斉護が姻戚関係にあると上記ご紹介した図録『雪の華』に書かれています。
どんな姻戚関係を調べてみました。
家系図を書かないと頭に入らないため、自分で作ってみました。
ただし書き。
◆兄弟が何人かいても主要人物だけ取り上げました。
◆慎重に仕上げましたが、何かあれば加筆修正します。無断転載はご遠慮ください。
この家系図はクリックしていただくと若干大きく表示されます。
水色の吹き出しに③と記しましたが、右下部分が土井利位と細川斉護の関係ですね。
土井利位からみると細川斉護は、義理の姉妹の子。
細川斉護からみると土井利位は、母の義理の兄弟となります。
鷹見泉石日記(その2)はこちら
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