フィギュアスケート、アメリカ、カナダ大会について
スケアメ、スケカナ、テレビでみました。
浅田真央については前述ですのでその他のスケーターについて。
<スケート・アメリカ>
【アイスダンス】
リード姉弟/姉弟なのにロマンティックな雰囲気を醸し出して素敵。
ツイズル、近い距離でのステップ他、二人の絆と日々の鍛練が現れた演技だと思いました。
【男子シングル】
町田樹/なんといっても町田樹が快挙!文句なしの優勝の滑りでしたね。
ショート「エデンの東」、鳥肌が立ちました。
ゆったりとスケールの大きな、そして高らかな生命力を感じさせる曲とぴったり。
出だしですぐに引き込まれました。ゆっくりしたテンポにあわせ、体を大きく動かし、 空気を大きく
かきまぜるような動き。そして4-3も他のジャンプもすべて見事。
体のコンディションもいいのでしょう。
ジャンプがミスしそうになってキキキっとエッジでブレ―キをかけなければいけないとか、
無理にバランスをとらなければいけないとかそういう不測の事態がなく、どんな場面でも体と心がきちんと
コントロール下にあり、芸術を作り上げようとしている気迫が伝わってきました。
どの瞬間でも体がしなり、指先や足先まで<神経が行き届いている>ではなくて
<生命力が行き届いて>いて、ほとばしるエネルギーを感じます。
決して大柄の選手ではないのに、存在感で圧倒しました。
こんなにも、人はわずか3分ほどに思いをこめられるのか、そののために日々を打ちこんでこれるのかと
感動し、何度も魅入ってしまう名プログラム、名演技!!
フリー「火の鳥」は冒頭のお腹がぺこんとするところが好き。4回転見事。こまかな音楽と動きが
ぴったり合って、飽きさせないですね。
途中、ゆっくりした曲調の中で鳥のようにはばたいてす~と滑るやわらかさが印象的でした。
高橋大輔と小塚崇彦/故障もあり万全ではない身体を覚悟で臨んでいる気迫を感じました。
小塚のショートのステップも圧巻。
高橋のショート。音を体で表現したい。それがひしひしと伝わってきました。
バイオリンの甘美な、せつないメロディーと動きがぴったりでした。
苦悩しているようにみえるポジションのスピンetc。
最後のスピンで明るくなったメロディーと天を仰ぐようなポジションののリンクが素敵です。
フリーのビートルズナンバーではやわらかなギターのパートが好きです。
演技後、「やってしまった」という表情ではなかったので、身体の状況からこのくらいのミスは
想定内なのかなと。
このコンディションを承知でソチに挑む覚悟が見えた気がしました。
「見せたいものがあるから滑る」という確固たる意思がステップやスピンから伝わってきました。
ベテランになればなるほど、表現力や選手の「味」が楽しみになるのに、故障を抱え、4回転のジャンプのリスクが増えてきます。
4回転をフリーで2回入れなければ勝てなくなる時代になるとどんどん選手生命が短くなりそうで、
ベテランがでてこれなくなりそうで少しさみしい気が。
ブラウン/キミー・マイズナーに似た面影が。
【女子シングル】
ラジオノワ/ショートの最後のスピン凄いですね。独創的な形から2段階経たビールマンスピンの
鋭角的なこと!
シザリオ/腕の動きが綺麗ですね。フリーでは、スピン中にポジションと黒いコスチュームの効果で、
黒いチューリップの花がくるくる回っているように見えるところが面白かったです。
<スケートカナダ>
【男子シングル】
パトリック・チャン/ショート「エレジー」に魅了されました。
冒頭から最初のジャンプになるまでの動きがすごく素敵です。この曲調とぴったり。
スピンのときに掲げた手のゆらゆら加減もツボ。
奇をてらった振付はないのですが、ピアノの音の間や曲調に振付がこまやかに連動して、
しっとりとしみいる素晴らしいプログラム。
羽生結弦/ミスもありましたが、ショートの4回転をあのバランスで保てるところもすごいですし、
ジャンプ、スピン、ステップなどの技術力と、表現力。男性的でダイナミックなところと、中性的な柔らかさ。
二つを高いレベルであわせもち、若いけれど世界トップスケーターの位置にいますね。
これからの仕上がりが楽しみです。
【女子シングル】
グランプリシリーズのファイナルをみているのかと思うほどハイレベルでしたね!
鈴木明子のフリー、リプニツカヤのショートとフリー、ゴールドとガオのショートが特に魅せられました。
鈴木明子/フリー「オペラ座の怪人」。とにかく素晴らしかったです。
絞られた身体、キレのある動き、少しミスがあってもまったく崩れない様子に、
いかに練習を積んで、そこから根拠のある自信を身につけてこの試合に臨んだのかが感じられました。
ステップも深く、軽く。ひらひら。くるくる。時々心地いいタメがあって、花びらが舞うような華やかさ。
ガオ/ショートはとにかく優美。甲から指先に至る形、左手と右手が作り出す空間etc
.どの一瞬も、そしてその「一瞬」から移行するすべての「動線」が美しいですね。
荒川静香似なのを意識してかのイナバウアーもエッジの軌跡がすごく綺麗で
氷上に優雅なリボンを描くみたい。
背中の曲線、首から肩甲骨、腰にいたる姿勢、動かし方が魅力的です。
ゴールド/ショートはとにかく小粋であでやか。
かろやかでつややかなバイオリンの音そのものになって自在にリンクを舞うみたい。
後半のバレエジャンプやものすごいスピードのスパイラルで見せるお辞儀のような動き、
スピンで曲げた腕の肘が作り出すフォルムほか、細部が凝っていて美しいです。
普通に腕を振って滑っているようなところでも、手の甲が前に向く形で振るなど、
技以外の「素」の動き一つ一つが一味工夫されていて、密度が濃いです。
フィニッシュで挙げた手もこのプログラムにぴったりの開き方。
素晴らしかったです。
リプニツカヤ/おそるべし15歳。ショート、フリーとも少女である今の体型、あどけなさ、ピュアさ
すべてが生かされた素晴らしいプログラム。そしてそれをこなせる力もあっぱれ。
ショートでは、氷上に指で描くような仕草からはじまり、同じ仕草で終える、短編小説みたいな雰囲気が
素敵。
フリーは赤いコートを着ているかのようなコスチュームからしてドラマになっていますね。
「他の選手より暖かそう」ではなく、かえって「寒さ」とか「冬の情景」を感じさせます。
豊潤ではない体型であのコートを着て、あんな出だしのせつない表情。
それだけでせつなく胸をしめつけます。
「シンドラーのリスト」の映画をどれだけ再現してしまうか。抵抗感のある方もいることでしょうけれど。
キレ、重みを感じさえないジャンプ、ステップすべてが見事。足を挙げてのツイズル。キャンドルスピンも圧巻。スピンで軸がまったくぶれないのも素晴らしいですね。
リプニツカヤはまるでガラスのよう。透明で、繊細で、はかなくて。
でも決して「ふわふわ」系ではない。ピーンと張った緊張感。触れるものを斬る鋭さを併せもつ・・・。
抒情的な15歳の今の魅力がつまったショートとフリーに心奪われました。
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