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2013年11月13日 (水)

宮原知子のショートプログラム、何度もリピートして魅入ってしまいます

NHK杯で「戦場のメリークリスマス」を使ったプログラムを披露。

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NHK杯、浅田真央、高橋大輔、鈴木明子、織田信成ほかみんな素晴らしかったのですが、
特に私が魅せられて何度もリピートして見てしまうのは女子シングル宮原知子のショートです。

日曜日の「ペアフリー、男子フリーの放送の合間には実況解説なしで、
浅田真央、鈴木明子、宮原知子のショートを放送してくれました。
NHKのグッジョブ(もちろんNHKの実況&解説は素晴らしいですが)。

聞こえるのは観客の拍手とスケーターのエッジが氷を削る音。
まるで自分自身がリンクサイドにいるかのような臨場感で演技を味わうことができました。

さて、宮原知子の「戦場のメリークリスマス」。
誰もが知るこの名曲を使ったフィギュアスケートプログラムでこれ以上のものはつくれないだろうと思うほど
曲の編集の仕方と振付がいいですね。
かなり大胆な編集と振付です。

ショートは約2分50と短いのに、前奏のおなじみのピアノの高音をおしげもなく二度も繰り返しています。
この1分弱の間、ジャンプは入れず、ステップシークエンスで魅せます。
最初のジャンプが行われるのはメインのメロディーが始まってから。
つまりスタートから1分8秒経った頃。

浅田真央が今季のショートの「ノクターン」で最初のトリプルアクセルを飛ぶのが開始後約20秒後。
鈴木明子がショートの「愛の賛歌」で最初のジャンプを跳ぶのが約25秒後。
宮原知子のショートプログラムで冒頭1分近くステップというのは
かなり意表がついた構成であることがわかります。

でも、この1分、まったく飽きさせることがないのです。
上体を大きく動かし、両腕をいろんな方向に動かし、身体をそらしたり、屈んだり、
右まわりしたり、左まわりしたり、ピッと止まったり。
また、スーと滑るでも、ポンと飛ぶわけでもない、まるで飛び石が水面を跳ねるような、
あえて表現するならツツツというような動きが心地いいのです。
すべての瞬間瞬間が美しいポーズとなり、手の表情も豊か。
音の一つ一つと見事にあった細やかで振付が心地よく、本当魅力的です。
無心というか別世界に入ってしまう1分です。

最初のコンビネーションジャンプのあと、
スピンに入った途端にぐいっと胸をそらすレイバックスピンもビールマンの脚の鋭角さも素晴らしいです。
私がさらにしびれるのは、
なんと映画『ラストエンペラー』の名曲「Rain」が絶妙のタイミングでつながること。
繊細でおごそかな冒頭1分とは打って変わって、激しくダイナミックに。
このパートが終わると「戦場のメリークリスマス」でまた激しくダイナミックに。
最後は左右両回転で見せるスピン。
そのあとも音楽が終わるギリギリまで、
音に合わせてこまかな動きが入っていて非常に密度の濃いプログラムとなっています。

と書きながらまたリピートしてこのショートを見直しているのですが・・・。

最初のあの1分は観客からの音もまったくないんですね。
ジャンプがないから拍手がない。そしてステップも手拍子で乗る曲じゃないから手拍子もない。
それがさらにこのプログラムの神聖さを引き立てている気がします。

観客の方たちも息をのむように魅入っていたのではという空気が画面越しに伝わってきます。
冒頭の1分が終わったところで、さざなみのように拍手が。
この観客の方々の反応も素晴らしいと思います。

今回の大会では長洲未来のフリー直前にトラブルがありました。
長洲未来を励まし、演技を後押しするような観客の拍手、手拍子にじんときました。
なにより日本のフィギュアファンはとてもフェアで自分が応援するスケーター以外でも
いい演技には惜しみなく拍手を送り、ジャンプで転倒した選手が立ちあがって滑り出す時にも
後押しの拍手を送るのがとてもいいなと思うのです。

観客からの音が一切ない宮原知子のショートの1分には、
息を吞んでいたような厳粛さすら伝わってきました。
宮原知子が巫女に見えてきました。

硬質で透明感のあるピアノの高音は氷の白にぴったり。
繊細さと激しさを併せ持つこの楽曲が、
小柄できりりとした目をして、シャープだけど芯の強さを感じさせる
宮原知子にぴったり。

今シーズン出来る限りの試合に出場してこのプログラムをみせてほしいですし、
願わくば、何年か後円熟したスケーターになった時にもう一度このプログラムを披露してほしいです。

去年、素晴らしい演技に、オクサナ・バイウルや太田由希奈に通じるものを感じた宮原知子。
15歳の若さながら<音を表現する>ことに老成したものを感じた宮原知子。

NHK杯の大舞台で大きなミスなく見事な滑りきったところにアスリートとしてもアーティストとしても卓越したものを感じます。
NHK杯。総集編があるようです。
見逃した方はぜひぜひ、ご覧ください!
NHK総合では、11月16日(土) 午前0時10分-午前1時39分
BSでは11月17日(日) 午前9時0分-午前10時39分
お手元の番組欄でどうぞご確認ください。

それにしても、あの冒頭の1分は奇跡の1分かも。
私もこの振付で体を動かしてみたいと思わせる魅力的な振付です。

2013.11.16追記。
ついまたリピートして見てしまうのですが、本当に素晴らしいプログラム&演技。
本当に<両腕>が美しい選手ですね。
両腕がシンメトリーになっている時間がないのです。
ジャンプの前は無防備な体制になってしまうこともありがちなのに、

ジャンプの前でさえ/ \こんな風になることはなくて、必ず、右手と左手が違う表情をしています。
ジャンプの最中、腕を締める様子も綺麗。

また、戦場のメリークリスマス~ラストエンペラー~戦場のメリークリスマスの音のつなぎ方が絶妙で、
またこの曲調に合わせての演技のつながり具合も本当にいいですね。
音を待ってしまう瞬間がまったくなく、音と体が一体化しています。
音一つ一つに対する細かな動きが丁寧に的確に振付されていて、何度見ても密度濃く見飽きることがありません。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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