雪輪(その8)雪輪をあしらった浮世絵(5)勝川春章
雪輪をあしらった浮世絵(4)の続きです。
江戸時代中期を代表する浮世絵師、
勝川春章(かつかわしゅんしょう)(1726-1793)の作品を15点ご紹介します。
雪輪の扱い方が非常にスタイリッシュです。
今まで見てきた絵師の中では一番、「雪」という原点から離れ、
そのギザギザした輪郭のフォルムを活かしているようにみえます。
豊信の浮世絵には、雪輪に花を重ね、自然の風景を表したような柄が見られましたが、
春章は、青海波文様を雪輪の輪郭で型抜きしたような模様がいくつか見られました。
抽象的な文様×雪輪の組み合わせが「雪輪」の可能性をさらに広げているように感じられました。
(美術館へのリンクが切れましたら、各所蔵館トップページからお訪ねください)
(所蔵館はすべての館を網羅しているわけではありません)
(作品の年代は所蔵館の表記を参考にしました)
(春章の作品は日本語作品名を確認できていないものがあります。
≪≫としているのは英語作品名や作品の絵を元に私が記した暫定的なもので、正式名ではありません)
忠臣蔵11枚続 初段/勝川春章
江戸時代 1770年
メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓、
シカゴ美術館、ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Shodan Chûshingura jûichimai tsuzuki」。
私メモ/左の女性の着物の柄が外雪輪です。
ボストン美術館のものは配色が違っています。
青地の着物に白い外雪輪が美しいです。
初代中村里好/勝川春章
江戸時代 1774年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Actor Nakamura Riko I as Oasa, a Seller of Tea Whisks」。
私メモ/黒地の着物ににグレーとオレンジの雪輪がシック。雪持ち笹も描かれています。
≪三代目瀬川菊之丞 矢を持つ美人≫/勝川春章
江戸時代 1774~1775年
メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「The Third Segawa Kikunojo as a Woman Walking Toward the Right」。
私メモ/雪輪の中にいろんな色の青海波が。一番斬新な雪輪かも。
≪芳澤いろは(初代) 粧ひ姫≫/勝川春章
江戸時代 1775年
シカゴ美術館所蔵
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作品タイトル「The Actor Yoshizawa Iroha I as Princess Yosooi (Yosooi Hime) 」。
私メモ/姫の衣裳というだけあって、サーモンピンク色の外雪輪と花の組み合わせが可憐です。
≪二代目山下金作 花相撲源氏びいきより≫/勝川春章
江戸時代 1775年
シカゴ美術館所蔵
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作品タイトルは「The Actor Yamashita Kinsaku Ⅱas Odai」。
私メモ/淡い桃色系の外雪輪です。
≪尾上多見蔵 武家の女性≫/勝川春章
江戸時代 1775~1776年
メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「Onoe Tamizo as a Samurai Woman」。
私メモ/外雪輪でしょうか。ライオンのたてがみのようです。
≪香合わせに興じる角金やの4人の花魁≫/勝川春章
江戸時代 1776年
メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「Four Oiran of the House Called Kadokana-ya Playing the Game of Ko-awase」。
私メモ/右上の女性の衣裳に雪輪が。
よく見ると、雪輪の内側は青海波の模様になっています。
そして、豚の鼻に羽のついたような模様が不思議です。
≪三代目瀬川菊之丞 秋の紅葉の下に立つ女≫/勝川春章
江戸時代 1778年
メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「Segawa Kikunojo Ⅲ as a Woman Standing under a Maple Tree in the Autumn」。
私メモ/雪輪の中に模様が描かかれています。
メトロポリタン美術館は作品を超ズームアップで見ることができるのでおすすめです。
山下金太郎の薄雪姫/勝川春章
江戸時代 1779年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Yamashita Kintaro as Usuyuki-hime」。
私メモ/外雪輪と笹の組み合わせです。
≪三代目瀬川菊之丞≫/勝川春章
江戸時代 1779年
メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「The Third Segawa Kikunojo as a Woman Standing in a Room Having a Wave-pattern Dado」。
私メモ/ライオンのたてがみのような雪輪の中は5重や6重の丸が。
三代目瀬川菊之丞/勝川春章
江戸時代 1780年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Actor Segawa Kikunojo III」。
私メモ/雪輪の中は青海波。
≪三代目市川八百蔵≫/勝川春章
江戸時代 1783年
メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「The Third Ichikawa Yaozo as a Daimyo Standing uder a Maple tree」。
私メモ/雪輪の中に青海波ほかの模様あり。男性の衣裳なので渋い色合いが素敵です。
瀬川菊之丞 娘道明寺/勝川春章
江戸時代 1783年
メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓、
東京国立博物館、シカゴ美術館所蔵
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私メモ/黒地の着物に雪輪の形に切り抜かれた青海波模様が。まわりの菊の花との組み合わせも華やかです。
菊慈童(きくじどう)/勝川春章
江戸時代
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「The Chrysanthemum Boy」。
私メモ/絵の縁が美しい雪輪のフォルムになっています。
≪秋の夕暮れ 三夕和歌 西行≫勝川春章
江戸時代
メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓
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作品タイトルは「Autumn Evening」。
私メモ/右側の女性の着物の柄が外雪輪です。
(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。
勝川春章(絵師5番目に登場p70~75)
鳥居派の類型的な役者絵ではなく、役者を似顔絵で描くという革命的な手法を用いて一時代を築いた。
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