« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

2014年1月26日 (日)

ハタヤ商会さんの雪の結晶の石けん、いい香りです

ハタヤ商会さんの手作り石けん。
以前、雪の結晶の形のものをネットで偶然みつけて一目ぼれ
購入させていただきました。

美しいフォルム、雪の結晶をイメージする凛としてピュアな香りのチョイスも素晴らしい石けんでした。
以来、ハタヤ商会さんのブログ「ハタヤ商会の手作り石けん」
(ttp://saponedihataya.blogspot.jp/)を折々拝見させていただいています。

雪の結晶のモチーフだけではなく、
南洋をイメージした石けんには、タヒチのお花をつけこんだモノイオイルを使い、
黒真珠を思わせる黒い花がアクセントに飾られていたりと、
テーマ、香り、ビジュアルの3つの組み合わせがとても素敵なのです。

先日、あらたなデザインの雪の結晶モチーフの石けんを
ハタヤ商会さんのブログ(2013年12月23日)で見て一目ぼれ
取り寄せさせていただいたものをご紹介します。
20140126hataya_snowflake1
↑キャラメル包装の包み紙にも雪の結晶が

アイボリーの不透明の石けんの一部分に
半透明の石けんが埋め込まれていて、
そこに雪の結晶が浮かびあがっています。
20140126hataya_snowflake2

この半透明の石けんも入れてくださいました。
雪華の形のへこみがかわいいです。この空洞に
不透明のアイボリーの石けん生地がはいりこみ、
半透明の生地の奥に
雪の結晶が浮かび上がるのですね。
20140126hataya_snowflake3

直方体のシンプルな全体と
この一箇所の雪の結晶の繊細さ
そのコントラストが素敵です。
アイボリー一色というのも、雪のピュアな感じ、
そっとひとひらを受けとめたようなおごそかさが
引き立ちます。

香りもかぐわしいです。

包みに
ワインに漬けこんだクローブとシナモン。
スペアミント、ラベンダー、フランキンセンス、ローズマリー、
ミルラのエッセンシャルオイルがはいっていることが書かれています。

私の大好きなラベンダーとフランキンセンスがふわ~と香ります。
ス~としながら、教会のキャンドルを灯した時のようなおごそかな香りにうっとり。

もったいなくて飾って、香りを楽しんでいましたが、
最近、2つ購入した一つを手洗い用に使い始めました。
寒い洗面所で手を洗うのがうれしくなりました。

ハタヤ商会さんは雪輪の石けんも作っていらっしゃいます。

2012年6月2日(ttp://saponedihataya.blogspot.jp/2012/06/neve.html)
のブログの型抜き雪輪、ブルー系の色が美しいです。

2012年7月8日(ttp://saponedihataya.blogspot.jp/2012/07/15-luglio.html)
のブログには型抜き雪輪が埋め込まれた石けんが。

2012年12月3日(ttp://ayadiario.saponedihataya.com/?eid=104)
のブログには半透明の雪輪が埋め込まれた石けんが。

2014年1月27日(ttp://saponedihataya.blogspot.jp/2014/01/sulla-carta.html)
のブログには私が購入させていただいた美しい雪の結晶石けんのパッケージが紹介されています。

単色の不透明と半透明のコンビでしあげる石けんってシンプルで美しいですね!

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月25日 (土)

雪輪(その8)雪輪をあしらった浮世絵(5)勝川春章

雪輪をあしらった浮世絵(4)の続きです。
江戸時代中期を代表する浮世絵師、
勝川春章(かつかわしゅんしょう)(1726-1793)の作品を15点ご紹介します。

雪輪の扱い方が非常にスタイリッシュです。
今まで見てきた絵師の中では一番、「雪」という原点から離れ、
そのギザギザした輪郭のフォルムを活かしているようにみえます。
豊信の浮世絵には、雪輪に花を重ね、自然の風景を表したような柄が見られましたが、
春章は、青海波文様を雪輪の輪郭で型抜きしたような模様がいくつか見られました。
抽象的な文様×雪輪の組み合わせが「雪輪」の可能性をさらに広げているように感じられました。

(美術館へのリンクが切れましたら、各所蔵館トップページからお訪ねください)
(所蔵館はすべての館を網羅しているわけではありません)
(作品の年代は所蔵館の表記を参考にしました)
(春章の作品は日本語作品名を確認できていないものがあります。
≪≫としているのは英語作品名や作品の絵を元に私が記した暫定的なもので、正式名ではありません)

忠臣蔵11枚続 初段/勝川春章
江戸時代 1770年

メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓、
シカゴ美術館、ボストン美術館所蔵
20140125_01syunsho_1770_chushingra_


閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Shodan Chûshingura jûichimai tsuzuki」。
私メモ/左の女性の着物の柄が外雪輪です。
ボストン美術館のものは配色が違っています。
青地の着物に白い外雪輪が美しいです。

初代中村里好/勝川春章
江戸時代 1774年

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Actor Nakamura Riko I as Oasa, a Seller of Tea Whisks」。

私メモ/黒地の着物ににグレーとオレンジの雪輪がシック。雪持ち笹も描かれています。

≪三代目瀬川菊之丞 矢を持つ美人≫/勝川春章
江戸時代 1774~1775年

メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_03syunsho_1774_75segawa3


閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Third Segawa Kikunojo as a Woman Walking Toward the Right」。

私メモ/雪輪の中にいろんな色の青海波が。一番斬新な雪輪かも。
20140125_03syunsho_1774_75segawa3_u

 ≪芳澤いろは(初代) 粧ひ姫≫/勝川春章
江戸時代 1775年

シカゴ美術館所蔵

閲覧できるサイト
シカゴ美術館所蔵のものはこちら
作品タイトル「The Actor Yoshizawa Iroha I as Princess Yosooi (Yosooi Hime) 」。

私メモ/姫の衣裳というだけあって、サーモンピンク色の外雪輪と花の組み合わせが可憐です。

≪二代目山下金作 花相撲源氏びいきより≫/勝川春章
江戸時代 1775年

シカゴ美術館所蔵

閲覧できるサイト
シカゴ美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Actor Yamashita Kinsaku Ⅱas Odai」。

私メモ/淡い桃色系の外雪輪です。

≪尾上多見蔵 武家の女性≫/勝川春章
江戸時代 1775~1776年

メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_06syunsho_1775_76onoe_tami
閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Onoe Tamizo as a Samurai Woman」。

私メモ/外雪輪でしょうか。ライオンのたてがみのようです。

≪香合わせに興じる角金やの4人の花魁≫/勝川春章
江戸時代 1776年

メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_07syunsho__four_oiran_me_2


閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Four Oiran of the House Called Kadokana-ya Playing the Game of Ko-awase」。

私メモ/右上の女性の衣裳に雪輪が。
よく見ると、雪輪の内側は青海波の模様になっています。
そして、豚の鼻に羽のついたような模様が不思議です。
20140125_07syunsho__four_oiran_me_3

≪三代目瀬川菊之丞 秋の紅葉の下に立つ女≫/勝川春章
江戸時代 1778年

メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_08syunsho_1778segawa_momij
閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Segawa Kikunojo Ⅲ as a Woman Standing under a Maple Tree in the Autumn」。

私メモ/雪輪の中に模様が描かかれています。
メトロポリタン美術館は作品を超ズームアップで見ることができるのでおすすめです。
20140125_08syunsho_1778segawa_mom_2


山下金太郎の薄雪姫/勝川春章
江戸時代 1779年

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Yamashita Kintaro as Usuyuki-hime」。

私メモ/外雪輪と笹の組み合わせです。


≪三代目瀬川菊之丞≫/勝川春章
江戸時代 1779年

メトロポリタン美術館所蔵(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_10syunsho_1779segawa3_wo_2


閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Third Segawa Kikunojo as a Woman Standing in a Room Having a Wave-pattern Dado」。

私メモ/ライオンのたてがみのような雪輪の中は5重や6重の丸が。

三代目瀬川菊之丞/勝川春章
江戸時代 1780年

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Actor Segawa Kikunojo III」。

私メモ/雪輪の中は青海波。

≪三代目市川八百蔵≫/勝川春章
江戸時代 1783年

メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_12shunsho_1783ichikawa_yao
閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Third Ichikawa Yaozo as a Daimyo Standing uder a Maple tree」。

私メモ/雪輪の中に青海波ほかの模様あり。男性の衣裳なので渋い色合いが素敵です。
20140125_12shunsho_1783ichikawa_y_2

瀬川菊之丞 娘道明寺/勝川春章
江戸時代 1783年

メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓、
東京国立博物館、シカゴ美術館所蔵
20140125_13syunsho1783_segawa_mus_2


閲覧できるサイト
東京国立博物館所蔵のものはこちら
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら。

私メモ/黒地の着物に雪輪の形に切り抜かれた青海波模様が。まわりの菊の花との組み合わせも華やかです。
20140125_13syunsho1783_segawakiku_2


菊慈童(きくじどう)/勝川春章
江戸時代

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Chrysanthemum Boy」。

私メモ/絵の縁が美しい雪輪のフォルムになっています。

≪秋の夕暮れ 三夕和歌 西行≫勝川春章
江戸時代

メトロポリタン美術館(ttp://metmuseum.org/)↓
20140125_15syunsho_sansekiwaka_saig
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Autumn Evening」。

私メモ/右側の女性の着物の柄が外雪輪です。

(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。

勝川春章(絵師5番目に登場p70~75)
鳥居派の類型的な役者絵ではなく、役者を似顔絵で描くという革命的な手法を用いて一時代を築いた。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月22日 (水)

雪輪(その7)雪輪をあしらった浮世絵(4)石川豊信

雪輪をあしらった浮世絵(3)の続きです。
江戸時代中期の浮世絵師、石川豊信(1711~1785)の作品を11点ご紹介します。

雪輪の中に植物を配するなど、雪輪モチーフのアレンジのバリエ―ションが興味深いです。
(美術館へのリンクが切れましたら、トップページからお訪ねください)
(所蔵館はすべての館を網羅しているわけではありません。主なところを挙げました)
(作品の年代は所蔵美術館の表記を参考にしました)

花下美人図/石川豊信
江戸時代 1741年

平木浮世絵財団(ttp://www.ukiyoe-tokyo.or.jp/)、
アメリカ議会図書館(ttp://www.loc.gov/)↓所蔵
20140119la
閲覧できるサイト
アメリカ議会図書館ではこちら
作品タイトルは「Hanging poems on a cherry tree」。
文化遺産オンライン(ttp://bunka.nii.ac.jp)ではこちら
私メモ/女性の右肩のあたりに、白ベタの雪輪が見えます。
4弁のようです。
20140119la_up

初夢三幅対(はつゆめさんぷくつい) 一富士二鷹三茄子/石川豊信
江戸時代 1744~48年

ボストン美術館所蔵。
※大英博物館では「万月堂」の絵師の名で三幅の右側に酷似した絵があり。

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「A Triptych of Lucky First Dreams of the New Year」。

私メモ/中央の絵の女性の着物が雪輪に松や花々をあしらった柄になっています。
派手な彩色がありませんが、繊細で美しいです。

瀬川菊之丞 文を読む遊女/石川豊信
江戸時代 1747年

メトロポリタン美術館↓、シカゴ美術館、ボストン美術館所蔵
20140122toyonobu_segawa_kikunojo_in

閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The Kabuki Actor Segawa Kikunojo in the Role of a Courtesan Reading a Letter」。
シカゴ美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「The actor Segawa Kikunojo / as a courtesan」。
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Actor Segawa Kikunojo as a Courtsan / 瀬川菊之丞の傾城」。
私メモ/雪輪の中に水仙、紅葉等が描かれていて華やかです。
20140122toyonobu_segawa_kikunojo__3













日本語作品名不明(常盤津の本とバチを持つ女性の絵です)/石川豊信
江戸時代 1748年

ホノルル美術館↓、シカゴ美術館所蔵
20140122toyonobu_practice_book_hono
閲覧できるサイト
ホノルル美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Young Woman With Pledctrum and Practice Book」。
シカゴ美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Standing Geisha」。

私メモ/いろんな柄のパッチワークになっている着物がとてもモダンです。
白い雪輪の背景は麻の葉文様ですね。
20140122toyonobu_practice_book_ho_2

花桶/石川豊信江戸時代 1749年

ホノルル美術館、慶応義塾図書館所蔵
画像:JAODBより↓。
20140122toyonobu_hanaoke_jaodb

閲覧できるサイト
ホノルル美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Courtesan With Flowers」。

私メモ/二色の雪輪がちりばめられています。


人形を持つ美人/石川豊信
江戸時代 1740年代

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Woman with Doll and Straw Hat」。

私メモ/着物に雪輪文様。中に桜や紅葉が描かれています。

文を書く美人/石川豊信
江戸時代 1740年代

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Young Woman Writing a Letter」。

私メモ/雪輪の背景は麻の葉模様。

日本語作品名不明(文を読む遊女か)/石川豊信
江戸時代

ハーバード美術館(ttp://www.harvardartmuseums.org/)所蔵
20140122_8toyonobu_courtesan_readin

閲覧できるサイト
ハーバード美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Courtesan Reading Love Letter」。

私メモ/背景の襖に雪輪が描かれています。淡いオレンジ、レンガ色、赤みを帯びたグレーの色調が美しい作品です。

佐野川市松と中村冨十郎と中村粂太郎/石川豊信
江戸時代 1752年頃

江戸東京博物館、ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
江戸東京博物館所蔵のものはこちら
ボストン美術館所蔵のものはこちら

私メモ/左側の男性の着物が雪輪文様。

日本語作品名不明/石川豊信
江戸時代

ハーバード美術館所蔵
20140122_10toyonobu_two_lovers_h
閲覧できるサイト
ハーバード美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Two Actors as Lovers」。

私メモ/おんぶされている人物の着物が外雪輪に鹿の子絞りの柄です。絡み合うのは梅の花と枝でしょうか。情緒たっぷりの柄です。

日本語作品名不明/石川豊信
江戸時代

ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「yatai sanpukutsui」。

私メモ/右手前の女性の着物が雪輪柄。輪の中に植物が描かれた華やかな柄です。

以上11点ご紹介しました。
雪輪が、白い雪片を表すという「具象」ではなくて、デザインのための「図形」として使われている様子がうかがえます。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月18日 (土)

雪輪(その6)雪輪をあしらった浮世絵(3) 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)

雪輪をあしらった浮世絵(2)の続きです。
時代はさかのぼります。生年1618年頃~没年1694年。
江戸時代初頭に活動し、浮世絵の租と言われる菱川師宣の作品をいくつかをご紹介します。
(美術館へのリンクが切れましたら、トップページからお訪ねください)
(所蔵館は主なところを挙げました)

低唱の後/菱川師宣
17世紀後半(1680年頃)

メトロポリタン美術館(ttp://www.metmuseum.org/)
↓ほか所蔵。
20140118hishikawamoronobu_yukiwa__2

閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Two Lovers」。

ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「A Young Man Dallying with a Courtesan(女とたわむれる若衆)」。

慶応義塾大学浮世絵コレクションではttp://project.lib.keio.ac.jp/dg_kul/ukiyoe_hist_detail.php?id=00201
着色された作品画像と絵の解説あり。春画十二図一組のうちの第二図にあたる作品と書かれています。

20140118hishikawamoronobu_yukiwa__3
私メモ/左側の男性の胸元に雪輪が。
「でも、5弁なので花なのでは」と思われるかもしれませんが、
中央に「雪」と書かれているので、明らかに雪のつもりで描いたのでしょう。
なぜ6弁ではなく5弁なのか。

中国では古くから雪の結晶が六出であることが知られていました(詳細はこちら)が、
どうやら冬至の後の雪の結晶は5弁(五出)と思われていたようなのです。
というのも、『五雑組』(1616年/日本では和刻本が1661年に出版)に下記のような記述があるからです。
冬至のあとの雪の花は五角形だというのは、昔からいっていることである。
しかし、私が毎年冬から春にかけての頃に、雪片をとってしらべてみると、みな六角形である

(『五雑組』謝肇淛著 岩城秀夫訳注/東洋文庫1996より引用)

中国で、冬至後の雪の結晶は5弁(五出)という考え方があったことがうかがえます。
日本にも伝わっていて、それで、師宣も雪輪を5弁で描いたのかもしれません。あくまで私の推測です。

男女化粧の図/菱川師宣
江戸時代 17世紀

東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140118hishikawamoronobu_danjo_2
閲覧できるサイト
東京国立博物館の直接のURLはttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/E0029926

私メモ/作品の左下の人物の着物がリング状の雪輪にみえます。

和国百女(わこくひゃくじょ)/菱川師宣
江戸時代  1695年(没後に刊行)

メトロポリタン美術館ほか所蔵↓
20140118hishikawamoronobu_wakokuhya
閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館の所蔵のものはこちら
作品タイトルは「One Hundred Japanese Women」。
国立国会図書館デジタル化資料ではttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541159

私メモ/『和国百女』では下記のページにも雪輪らしきものが登場します。
国立国会デジタル化資料の
6/35左ページ。頬杖つく女性。
7/35右ページの女性。
12/35右ページ端の女性。雪輪の中に桜のような形が。美しいです。
18/35左ページの女性。
19/35左ページの女性。


菱川師宣の浮世絵は着色されていない、筆一本のものが多いです。

色がないからこそ、筆のタッチが目立つわけですが、線に勢いがあり、
1本の線も太いところ細いところの強弱があり、非常にリズミカル。
曲線のカーブもなめらかです。

特に、最初にご紹介した「低唱の後」は着物の裾、左上の猫脚のようなもの、絵の縁の輪郭、やわらかな曲線が印象的です。

鳥居派の蚯蚓描き(みみずがき)ほどの強調にはいたらないかもしれませんが、漫画家の筆のタッチに通じるものを感じます。
<江戸時代の手塚治虫>かも、と思いました。

は『雪華図説新考』小林禎作著に掲載されています。
雪華図説/雪華図説新考―正・続「復刻版」

(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。
青字は引用部分。

菱川師宣(絵師1番目に登場p16~27)
アラフォーで花開いた遅咲き。元祖、浮世絵師。師宣の描くちょっとHな浮世絵に、お江戸男子歓喜!!
常に流行の最先端をとらえ、見るひとをウキウキさせる世界=浮世を描く。
いつしか人は、師宣のことを”浮世絵師”とよぶようになっていった。


【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月16日 (木)

雪輪(その5)雪輪をあしらった浮世絵(2) 喜多川歌麿

雪輪(その4)に続き、雪輪が描かれている浮世絵を。
喜多川歌麿の作品をご紹介します。

喜多川歌麿(きたがわうたまろ)は江戸中期の浮世絵師。
生年は1753年頃。没年は1806年ですので、
土井利位の雪華図説出版(天保3年/1832年)に影響を受けず、
土井利位の雪華を知らない人物ですね。

雪輪が出てくる作品すべてを網羅したわけはなく7作品に絞ってご紹介します。
(雪持ち柳、雪持ち笹ほか雪持ちがモチーフになっているものは省きます)

所蔵館を1つしか明記していない作品も複数の博物館、美術館が所蔵しているものもあります。

青楼十二時 寅ノ刻/喜多川歌麿
江戸時代 18世紀
東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0028050
20140115yukiwa_toranokoku

私メモ/右側の女性。朱色の着物が雪輪文様になっています。
20140115yukiwa_toranokoku_up_2

娘日時計 午の刻/喜多川歌麿
江戸時代 1794~95年頃
ボストン美術館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)

閲覧できるサイト
ボストン美術館(ttp://www.mfa.org/)→The Hour of the Horseで検索
東京国立博物館所蔵作品の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0027084
20140116utamaro_musumehidokei_tokyo
私メモ/季節は夏。腕が透ける衣に雪輪が描かれています。
雪輪が冬限定の柄ではなく、夏にも使われていたことをうかがわせます。
東京国立博物館所蔵の作品ではわかりづらいのですが、
ボストン美術館所蔵の作品ですと、右側手前の女性の着物が雪輪の柄になっています。

蛍狩り/喜多川歌麿
江戸時代 1800年
メトロポリタン美術館所蔵

閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館(ttp://www.metmuseum.org/)
直接のURLはttp://www.metmuseum.org/collections/search-the-collections/36630
20140116utamaro_hotarugari_met

私メモ/うちわを持った女性他、一人一人の動きのバリエーションが楽しい作品です。
中央の黒地の着物の女性の帯が雪輪のように見えます。
メトロポリタン美術館のサイトではかなり大きく拡大して画像を見ることができるので、
ギザギザが細かい雪輪のフォルムを、まるで絵に顔を近づけているかのようなリアリティで見ることができます。
メトロポリタン美術館での作品タイトルはWomen Catching Fireflies。

忠臣蔵 九段目/喜多川歌麿
江戸時代 1801年頃
アメリカ議会図書館所蔵

閲覧できるサイト
アメリカ議会図書館の直接のURLはttp://www.loc.gov/pictures/item/2009615193/
立命館大学アート・リサーチセンター内「忠臣蔵と見立て」
直接のURLはttp://www.arc.ritsumei.ac.jp/archive01/theater/html/20031213chu/degitalframeset-nishikie.htm

私メモ/ふすまに雪輪が描かれています。ボストン美術館にも所蔵あり。
ボストン美術館(ttp://www.mfa.org/)→「utamaro kudanme」で検索
20140116utamaro_chushingura_kudanme

婚礼図 三枚続/喜多川歌麿
江戸時代
大英博物館所蔵

閲覧できるサイト
大英博物館(ttp://www.britishmuseum.org/)→「utamaro konrei no zu」で検索

私メモ/一番手前の女性の着物が雪輪文です。
20140116utamaro_konrei_british_muse

松葉屋瀬川/喜多川歌麿
江戸時代 1802年
ボストン美術館所蔵

閲覧できるサイト
ボストン美術館(ttp://www.mfa.org/)→「utamaro segawa matsubaya」で検索

私メモ/美しいです。手前の女性の着物の裾に白ベタの雪輪と黄色い線で描かれた雪輪が。
奥の女性の着物も雪輪が。紫色の地のところだけではなく、紅地のところにも雪輪があります。
雪輪尽くしの1枚です。


雪中屋根舟の男女/喜多川歌麿
江戸時代 18~19世紀
東京国立博物館所蔵

閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLはttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0091229

私メモ/舟に乗り込む女性の着物の雪輪文はドーナツ状です。花との組みあわせも繊細で美しいです。
20140116utamaro_secchu

※以上7作品の画像は、ボストン美術館は掲載不可、
メトロポリタン美術館、アメリカ議会図書館、大英博物館は掲載OKとみなしてご紹介しています。
ボストン美術館の収蔵品はズームアップして細部まで見ることができるのでおすすめです。

(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。

喜多川歌麿(絵師7番目に登場p94~105)
鳥居清長とは同世代。
リアルな写実表現が得意。人間の内面までをとらえる圧倒的な筆力。
髪の毛一筋までのディテールにこだわった美人画の大首絵で成功。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月15日 (水)

雪輪(その4)雪輪をあしらった浮世絵(1) 鈴木春信

雪輪(その3)に続き、雪輪が描かれているアート、今度は浮世絵をご紹介します。
こちらも『雪華図説』(天保3年/1832年)出版以前のものを中心に。
(雪持ち柳、雪持ち笹ほか雪持ちがモチーフになっているものは省きます)

まずは鈴木春信の作品をいくつかご紹介します。
鈴木春信は江戸時代中期の浮世絵師。
春信は生年1725年頃、没年1770年と言われていますので、明らかに『雪華図説』が世に出る以前。
『雪華図説』の影響を受けない人物。

いろんなバリエーションで雪輪を描いています。
発表年不明の作品もあるため、以下、年代順にはなっていません。

五常 智/鈴木春信
江戸時代 18世紀 東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140115gojo_chi
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0073451

20140115gojo_chi_up_3
私メモ/女性の帯が雪輪になっています。

見立牧童/鈴木春信
江戸時代 18世紀 東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140115suzukiharunobu_mitatebokkud

閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0070137

20140115suzukiharunobu_mitatebokk_2
私メモ/こちらも帯が雪輪ですね。


詠歌三美人/鈴木春信
江戸時代 18世紀 東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)

20140115suzukiharunobu_eikasanbij_2
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0068697

20140115suzukiharunobu_eikasanbijin
私メモ/左手前の女性の赤い着物の柄が雪輪です。
雪輪の輪郭の中に鹿の子絞りが描かれています。

浮世美人花見立 丁子屋内ちょう山/鈴木春信
江戸時代 18世紀 東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)

直接のURLはttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0009508
20140115suzukiharunobu_ukiyoebijin


20140115suzukiharunobu_ukiyoebijin_
私メモ/雪輪は真ん中がくりぬかれたドーナツ状になっています。

無外題(私メモ/京下り~の文字あり/鈴木春信
江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館所蔵

閲覧できるサイト
メトロポリタン美術館(ttp://www.metmuseum.org/)
直接のURLはttp://metmuseum.org/Collections/search-the-collections/56687
20140115suzukiharunobu_kyokudari_me
私メモ/壁に雪輪が。
メトロポリタン美術館での作品タイトルはWindow Opening Toward the Sea

浮世七福神 寿老/鈴木春信
江戸時代 18世紀 シカゴ美術館所蔵

閲覧できるサイト
シカゴ美術館(ttp://www.artic.edu/)
直接のURLはの
ttp://www.artic.edu/aic/collections/artwork/6741?search_no=26&index=192

私メモ/ユーモラスな絵です。左側に炬燵と思われるものがあり、その炬燵布団の柄が雪輪です。

------------------------------
上記の雪輪は私が各美術館画集やデジタルアーカイブなどをあちこち散歩して発掘した作品です。

この他、福田博美氏の「鈴木春信の浮世絵に見る服飾描写」
(文化学園大学紀要 服装学・造形学研究 第44集)にも紹介されているものがあります。
pdfファイルで見ることができます。
ttp://dspace.bunka.ac.jp/dspace/bitstream/10457/1998/1/001031444_05.pdf

(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。

鈴木春信(絵師4番目に登場p58~69)
浮世絵の歴史は鈴木春信以前(私メモ/春信以前の”紅摺絵”では多くて5色)と以降に分けられる。
春信は極彩色を施した”錦絵”の創始者。革命的色彩感覚で一躍時の人となった。
華奢な体つきの美少女ばかり描いた。


【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月12日 (日)

雪輪(その3)雪輪をあしらった工芸品

雪輪(その2)に続き、雪輪モチーフの工芸品をご紹介します。
こちらも(その2)と同様、『雪華図説』(天保3年/1832年)以前のものを中心に。
青字は各HPからの引用文。
直接のURLがもしリンク切れになりましたら、各トップページからたどってみてくださいませ。
---------
渋谷区松濤にある戸栗美術館には美しい工芸品が数多く収蔵されていますが、
美術館HPで閲覧できるものも多いのがありがたいです。雪輪をあしらった素晴らしい作品をどうぞご覧ください。

色絵 牡丹雪輪文 皿
江戸時代(17世紀中期)
戸栗美術館所蔵
閲覧できるページ
戸栗美術館(ttp://www.toguri-museum.or.jp/)→学芸の小部屋→2012年→11月
直接のURLはttp://www.toguri-museum.or.jp/gakugei/back/2012_11.php

20140114botanyukiwa_toguri
私メモ/濃い色の皿の中で白さが引き立っています。雪輪の形は切込みが深いです。
デザインとしてではなく、本物の雪の結晶を描いたつもりなのかなとも想像してしまいます。

桐段雪輪模様小袖 小袖屏風
きりだんゆきわもようこそで
国立歴史民俗博物館所蔵(野村コレクション)

ネットで閲覧
国立歴史民俗博物館(ttp://www.rekihaku.ac.jp/)
→展示のご案内→企画展示→これまでの企画展示・特別展示→1994近世きもの万華鏡
直接のURLはttps://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/old/940719/index.html

私メモ/クリムトを思わせるシックな色合いが美しいです。雪輪は6弁(六出)ではないものもあります。

青磁染付雪輪文
江戸時代 17世紀末~18世紀初
戸栗美術館所蔵
閲覧できるページ
戸栗美術館(ttp://www.toguri-museum.or.jp/)→ブログ→2012年2月19日
直接のURLはttp://toguri.exblog.jp/17394843/#17394843_1
『館蔵 青磁名品展―翠・碧・青―』のプレスリリース
(ttp://www.toguri-museum.or.jp/tenrankai/pdf/pdf_20.pdf)でも画像と詳しい解説を見ることができます。
20140112seijisometsuke_toguri

上品な青磁釉を背景に、鍋島焼ならではの構成力に富んだ配置
で雪輪文様を浮かび上がらせている。染付の輪郭線と青磁釉が
穏やかに溶け合い、染付のぼかしが画面を引き締める効果をあ
げている。


私メモ/とてもモダンでおしゃれです。
雪輪の形は6弁ではなく8弁でしょうか。一つ一つの幅が違っていてとてもリズミカル。
大胆な構図で雪輪の重ね方も斬新。
淡いペパーミントグリーン、青、白というシンプルな配色もとてもスタイリッシュ。
今、私たちが使いたくなるようなこのデザインを200年以上前の江戸時代の人が手がけたということに
驚きます。

染付雪輪繋唐草文皿
1690~1710年代 
個人蔵

ネットで閲覧
伊万里市歴史民俗資料館ブログ(ttp://rekimin.sagafan.jp/)→2010年10月29日
直接のURLはttp://rekimin.sagafan.jp/e288618.html

私メモ/花のような雪輪が青の濃淡で描かれています。

白磁雪輪形皿猪口
はくじゆきわがたちょく
江戸時代 17~18世紀
筑波大学所蔵(石井コレクション)

閲覧できるサイト
筑波大学アートコレクション(ttp://www.art.tsukuba.ac.jp/collection)
→石井コレクション(陶磁器類作品[日本])
直接のURLはttp://www.art.tsukuba.ac.jp/archives/2665

私メモ/真白な有田焼。雪輪が柄として描かれているのではなく、
上からみた時の猪口の縁(口縁)が雪輪の形になっています。とても可憐です。


色絵 雪輪亀甲文 桃形皿
江戸時代18世紀前半
戸栗美術館所蔵
閲覧できるページ
戸栗美術館(ttp://www.toguri-museum.or.jp/)→学芸の小部屋→2012年→3月
直接のURLはttp://www.toguri-museum.or.jp/gakugei/back/1203.php
私メモ/桃の形のお皿がかわいいです。
雪輪は6弁の形ですが、一つ一つに浅い切込み(レースのハンカチの縁の⌒⌒⌒⌒のような)があり、
とても繊細で美しい柄になっています。
20140112yukiwakikko_toguri


染付雪輪文瓶
そめつけゆきわもんびん
江戸時代中期 18世紀
愛知県陶磁美術館所蔵

閲覧できるサイト
愛知県陶磁美術館(ttp://www.pref.aichi.jp/touji/)→コレクション→江戸時代
直接のURLはttp://www.pref.aichi.jp/touji/collection/08/collection/47.html

私メモ/雪輪のコラージュされた様子がとてもモダンです。
ポーランドの青い陶器のよう。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月11日 (土)

雪輪の魅力について(その2)雪輪があしらわれた装束(着物)

雪輪は室町時代ごろからみられる文様です。
枝や葉に積もった雪やぼたん雪などの雪片がモチーフと言われています。
『雪華図説新考』小林禎作著(築地書館1982)にも
桃山期の狂言衣裳に描かれた竹に積もった雪の文様が、
時代を下がって江戸後期に、”雪持ち笹”を経てしだいに”ゆきわ”へと紋章カされていた跡がよくわかる。
室町から桃山時代にかけての小袖、素襖、胴服、能や狂言衣装などに雪文様が多く見られるようになる。
そして“ゆきわ”紋の起源もこのころにあると思われる
(p53~54)
と書かれています。
枝や葉に積もった雪を描いたデザインは、今でも「雪持柳」、
「雪持笹」などの名前で知られていますし、家紋でもおなじみですね。

ところで、当時の装束などを見ると、雪輪は3つに分けられます。(あくまで私が分けてみました)
[1]雪輪(いわゆる今私たちが雪輪紋と呼んでいる、6弁の花びら状の切り込みが入ったもの)。
[2]雪輪の変形。5弁、8弁などのもの。
[3]いわゆる「雪持ち」と呼ばれるもの。葉にかぶさった雪(円形ではなくて弧の形)を描いたもの。
  その輪郭は雪輪の輪郭に似ています。

美術評論家の伊藤俊治氏は
雪はもともと豊年の兆しとして尊ばれてきました。
文様化されるのは室町時代、初めは草木に降り積もる雪持文様として能装束に使われ、
元禄時代には円形の雪輪が、清々しい印象を与える文様として夏の衣裳に染められ人気を博します。

  (歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」装い‐桜文様 より引用)
と語っています。
「歌舞伎美人」には雪持ち の紹介ページもあります。

さて、江戸時代に古河藩の殿様、土井利位は顕微鏡で雪の結晶を観察、
そのいくつものスケッチを『雪華図説』(天保3年/1832年)として出版しました。
天保6年ごろには、土井利位の描いた雪華はブームとなり、
着物の柄や菓子などにも用いられるようになりました。

土井利位が描いた雪華の中には雪輪にそっくりなものもあったため(cf.雪輪その1)、
雪華ブーム以降の人たちは、雪輪=雪の結晶と思って親しんだのかなあと思います
(あくまで私の推測です)。

というわけで、この雪輪(その2)では雪輪があしわられた着物を、
土井利位の『雪華図説』以前、具体的には室町、桃山時代から江戸中期までにしぼって
10点ご紹介します。雪輪の原形かと思える雪持ちもあわせてご紹介します。
「桃山 16世紀」など時代表記はそれぞれの所蔵館やサイトの表記に準じています。
青字はそれぞれのHPからの引用文。通し番号は私が便宜的につけたものです。

段替雪輪松花綱文様小袖
室町時代
京都染色文化協会所蔵
閲覧できるサイト
京都染織文化協会(ttp://www.fashion-kyoto.or.jp/orikyo/)→染織祭衣裳→室町時代
直接のURLはttp://www.fashion-kyoto.or.jp/orikyo/maturi/subwin/muro05.html

私メモ/雪輪の中に松文様が描かれています。

白地雪持柳扇面肩裾模様縫箔
しろじゆきもちやなぎせんめんかたすそもようぬいはく
桃山時代 16世紀
東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140111yukimochiyanagi2
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0019045
文化遺産オンラインのサイトではttp://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=195586#
e国宝(ttp://www.emuseum.jp/)→白地雪持柳扇面肩裾模様縫箔で検索。

白練緯(ねりぬき)地に刺繍を用いて雪持柳と扇の地紙をおおらかに表わし、間地に金摺箔を施す。

私メモ/シックな色合いの中で、葉の緑と雪の白がリズミカルに調和しています。

紅地雪持柳桐文平絹胴服
(べにじゆきもちやなぎとうもんへいけんどうふく)
桃山時代
上杉神社所蔵
閲覧できるサイト
山形の宝ナビ(ttp://www.pref.yamagata.jp/cgi-bin/yamagata-takara/)
→紅地雪持柳桐文平絹胴服で検索
直接のURLはttp://www.pref.yamagata.jp/cgi-bin/yamagata-takara/?m=detail&id=1073

上杉謙信・景勝二代が着用したと伝えられている。

私メモ/描かれているのは柳に雪がかぶさっている「雪持柳」なので円形ではなく
完全な雪輪とは言えませんが、 雪輪の曲線を感じさせます。
紅色の着物がとても華やか。男性がこんな色を身につけたなんて!と驚かされます。

紅地雪持ち橘文様唐織小袖
16世紀
京都国立博物館所蔵
閲覧できるサイト
e国宝(ttp://www.emuseum.jp/)→紅地雪持ち橘文様唐織小袖で検索。

私メモ/雪持ちの橘と菱形の花を組み合わせた文様の組み合わせ。
華やかな紅の地に雪の白がまぶしいです。すごく美しいです!!!
注目したいのは、橘の葉に積もった雪とは別に八弁の白いものが描かれていること。
花なのか、雪を表したものなのか知りたいところです。

斜縞銀杏葉雪輪散らし模様胴服
桃山時代
東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140111yukiwa_ichobayukiwachirashi

閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLはttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0016879
文化遺産オンラインのサイトではttp://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=156651

白水浅葱、紫の斜縞地に銀杏葉と雪輪文を絞り散らす。

私メモ/吉岡隼人が徳川家康より拝領したものとのこと。
家紋には銀杏紋がありますが、銀杏紋の縁、つまり銀杏の葉の輪郭と雪輪の輪郭は
とてもよく似ているんです。
この銀杏葉雪輪散らしの胴服の柄を考えた人もそれをわかっていたのかしらと。
白い雪輪をまるで銀杏の影のように重ねています。
紫地のところでは白い雪輪の輪郭が鮮やかで美しいですし、
まわりの白い丸もまるで降る雪のような動きが感じられます。
紫、浅黄色の組み合わせもモダン。とてもクール!で卓越したセンスを感じます。

根芹に雪輪小紋袷
ねぜりにゆきのわこもんあわせ
桃山~江戸時代 16~17世紀
徳川美術館所蔵(おそらく)
閲覧できるサイト
徳川美術館(ttp://www.tokugawa-art-museum.jp/)→企画展案内→過去の企画展→平成19年度→”水”七変化
直接のURLはttp://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h19/02/index.html
円に切り込みを入れた形は「雪輪」と呼ばれ、しばしば植物と組み合わされて、
家紋や工芸品の文様として用いられてきた。
新春の雪を豊年の吉兆として神前に供える雪祭りもあり、
雪は豊穣への願いが込められたモチーフであったと考えられる。
本作品は徳川家康着用の衣服で、雪輪とたくましさを感じさせる根つきの芹の文様は、
あたかも自然の生命力を身にまとうかのようなデザインである。


私メモ/なんと、徳川家康公着用のものです!雪輪のギザギザの切れ込みが美しいです。

緑地雪持柳桐菊藤梅片身替模様
桃山時代 17世紀
東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140111yukimochiyanagikirifuji
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLは
ttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0071754

雪持ちのカーブが雪輪を思わせます。
注目したいのは8弁の白いもの。花ではなくて雪を描いたものだとしたら、
ぼたん雪を表したのか、それとも肉眼で見た雪の結晶のスケッチだったのか知りたいところです。

紅・白段雪輪に蒲公英文縫箔
べに・しろだんゆきわにたんぽぽもんぬいはく
(※下記URLでは摺箔と表示されていますが、複数の年度のところで縫箔となっているので縫箔としました)
江戸時代17世紀
徳川黎明会所蔵
閲覧できるサイト
徳川美術館(ttp://www.tokugawa-art-museum.jp/)→企画展案内→過去の企画展→平成23年度→尾張徳川家の能
直接のURLは(ttp://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/obj05.html)

白繻子地を白と紅の段に絞り分けて染め、その上に雷文と亀甲文を摺箔し、
蒲公英と雪輪が繍い出されている。
蒲公英は、春の七草の一つで、早春の寒さを表すため、しばしば雪輪と対にして用いられる。
雪の結晶を意匠化した雪輪文の中には、桜・松に藤・竜胆・萩などの四季の花が配され、
その一年の豊かさを予祝するかのような意匠となっている。


私メモ/蒲公英はたんぽぽのこと。雪輪の中に細やかに花々が描かれていて美しいです。
地は赤と白の市松模様調なのですが、とても凝っています。
赤地に描かれた雪輪の輪郭は白。白地に描かれた雪輪の輪郭は赤となっています。

黒茶麻地扇面雪輪手筥秋草模様染・繍帷子
江戸時代 17世紀
東京国立博物館所蔵

画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
20140111yukiwaakikusa
閲覧できるサイト
東京国立博物館内の直接のURLはttp://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0006217


私メモ/などでは明らかに雪という具象を描いていますが、この着物では雪輪を白く描いているわけではなく、
雪景色をイメージさせることはまったく狙っていないのが感じられます。
「雪輪」というフォルムが自然の風景を表現することから「デザイン」として機能していることがうかがえます。

(2014.2.2追記。この雪輪の内側は匹田鹿の子(ひったかのこ)という文様になっていますが、
この柄は当時、大変贅沢な柄だったようです。
参考文献。『寛文期を中心とした遊女の服飾--「色道大鏡」の世界--』
切畑健氏。
切畑氏はの柄についてこのように書いています。
「匹田鹿子は型を用いたようによくそろって、しかも大粒で新様を表すようである」。
収録文献『近世風俗図譜 7 遊女』小学館/1984。
※『色道大鏡』は江戸時代初期に出された遊女にまつわるさまざまなことをまとめた遊里文化の辞典ともいえる本です)

縫箔 白地雪輪に草花麻葉文様
江戸時代 18世紀
京都国立博物館所蔵

閲覧できるサイト
京都国立博物館所蔵品データベース(ttp://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/)
→縫箔 白地雪輪に草花麻葉文様で検索

私メモ/雪輪は6弁ではなくて12の不規則な切れ込みになっています。
-----------------------
以上、10点ご紹介しました。ぜひ日本がはぐくんだ、雪モチーフの美しい「意匠」をご覧ください。

(2014.8.13追記)
国立歴史民俗博物館所蔵の美しい「雪持蘭模様小袖」についてはこちらに。


【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月10日 (金)

雪輪の魅力について(その1)何を図案化したのか

雪輪(ユキワ)ってご存知ですか。

雪の結晶好きの私にとって、雪輪はたまらない文様の一つです。

こちらが「雪輪」です。
輪郭だけで描いたものを雪輪、
中を白くベタで塗りつぶしたものを「雪」と呼び分けることもあるようです。
20140110yuki

何を現わしているのでしょうか。3つの説があります。
①雪の結晶
②枝や葉に積もった雪(冠雪/かんせつ)
③ぼたん雪など降る雪の雪片

詳しく見ていきましょう。青字は文献からの引用部分です。

辞書類はおおむね①の雪の結晶説ですね。
広辞苑(第六版)【雪輪】 紋章の外郭の輪の一種。雪片の六角形を円くかたどったもの。
大辞泉【雪輪】文様・紋所の名。六角形の雪の結晶を円形に表したもの。

①ではなく、②③をおっしゃっているのは雪の結晶研究の第一人者である高橋喜平氏、小林禎作氏です。

「ゆきわ」は雪の結晶そのものではなく、雪片の降下か、積雪の景観からデザインされたものと推定していた。 
(『雪の文様』高橋喜平・高橋雪人著/北海道大学図書刊行会1989より)
木の枝などに積もった雪の姿と、ぼたん雪の丸い形とのふたつにみなもとを発しながら、
いつか混然として多様な雪輪文様に変わって行った
 
(『雪華図説新考』小林禎作著/築地書館1982より)

高橋・小林氏の根拠の一つは、雪輪の柄が室町・桃山時代に見られる(cf.雪輪その2)からです。

顕微鏡が日本にもたらされ、雪の結晶の姿を細かに見ることができるようになったのが江戸時代になってから。
(cf.江戸時代の顕微鏡シリーズ
ですので、顕微鏡のない室町・桃山時代に雪の結晶を観察して図案化したとは確かに考えづらいですね。

さて、中国で、雪が六出(六弁の花のような形)であると最初に述べた文献は紀元前の『韓詩外伝』と言われています。
(cf.韓嬰
この文献が日本に紹介されるのは平安時代。
ですので、一部の知識人層だけかもしれませんが、
平安時代から[雪=六花の形]ということは知られてはじめていたのです。

また、万葉集の頃から、雪を花に見立て、花を雪に見立てる和歌が詠まれてきました。

つまり、私は
雪を花に見立てる感性を持った日本人が、中国からの<雪=六花>の知識も得て、
ぼたん雪や枝葉に積もった雪を六片の花ように感じて描き、雪輪文様ができあがった。

と思うのです。

ですが、これはあくまで江戸時代の天保までの話です。
というのは、天保3年(1832年)に土井利位が顕微鏡で観察した雪の結晶スケッチ集『雪華図説』を発表したからです。
そこには「雪輪」とまったく同じフォルムのスケッチ図がありました。

↑こちらが土井利位雪華表(土井利位の描いた雪華を便宜的に通し番号を付けた表)のE2。
古河歴史博物館発行の図録『雪の華』p6~7より)
E2は雪輪にそっくりですね。

Sdoi_e2n
土井利位の描いた雪華のいくつかは、天保8年(1837年)に出版され、当時ベストセラーになった『北越雪譜』鈴木牧之著に、
験微鏡(むしめがね)を以て雪状を審(つまびらか)に視たる図
として紹介されました。
その中にはE2もありました。

20140110hokuetsuseppu_yukiwa

↑「世に雪輪といふハ是なり(世間で雪輪と言っているのはこれである)のキャプションつきです。

この頃から、雪輪=顕微鏡で見た雪の結晶の形の一種 と認識されていったのかもしれません。

となると、

雪輪は何を図案化したのか。①②③どれも正解。
①雪の結晶を図案化したもの←『雪華図説』出版後
②枝や葉に積もった雪(冠雪/かんせつ)←『雪華図説』出版以前
③降る雪、ぼたん雪を図案化したもの)←『雪華図説』出版以前

と言えるかもしれません。
******************************
が、ここでもう一度①を考えたいと思います。
『雪華図説』出版以前の人々は雪の結晶の形を知らなかったのでしょうか。
[雪は六花]と聞いたとき、小さな雪の結晶のことではなくて雪片(ぼたん雪のようなかたまり)が六花と思ったのでしょうか。

私は昔、雪の結晶は雪国の寒いところでなければ見えない、
顕微鏡で覗かなければ見えないと思っていました。
でも、ロシアに行った時、赤い手袋に落ちた六弁の花を見て、
雪の結晶が肉眼でも見えることを知りました。
そして、2011年に横浜のような温暖なところでさえ、
雪の結晶が肉眼で見えることを知りました。

ですので、『雪華図説』出版以前の顕微鏡を持たない人たち、
雪国ではない江戸や京都の人でも、雪の結晶を肉眼で見てそのフォルムに気づいた人がいたと思うのです。

これは私が横浜で撮った雪の結晶です。
輪郭のギザギザっぷりが雪輪そっくりだと思いませんか。
Snowflake1102111525
おそらく、もっと精巧なフォルムの雪の結晶がとけかけて
このような輪郭を残すのみになったのでしょう。

↓この画像から毛糸の一鎖の幅が約2ミリであることがわかります。
となるとこの雪輪の形の結晶は直径2ミリ強。
20140110snowflake110211monosashi

桃山時代の人も肉眼で十分フォルムを知覚できる大きさでしょう。

・顕微鏡がなくても、肉眼で見ることができる。
・雪国ではくても雪の結晶は見える。
・そして雪の結晶の中にはこんな風に雪輪のような形を残すものもある。

だからこそ、室町、桃山時代にこの柄を使用した人の中には「雪の結晶の図案化」のつもりだった人もいると思うのです。

つまり、雪輪は何を図案化したのか。①②③どれも正解。
①雪の結晶を図案化したもの←『雪華図説』出版後。ただし出版以前もありえる。

と言えるかもしれません。

ともあれ、雪輪はシンプルですが、優美。完成されたデザインだと思います。

雪輪(その2)では、雪輪があしらわれた着物、工芸品などのご紹介を。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月 8日 (水)

初日の出を見逃した方は今がチャンス

初日の出ご覧になりましたか?

初日の出は一月一日の朝に昇る朝日のことですね。
ちなみに元旦の「旦」は地平線水平線から日が昇る様子を表していて、
元旦とは1月1日のことではなくて、1月1日の朝のことを言うのですね。

さて、「初日の出」を1月1日の日の出ではなくて、
「自分が今年最初に見た日の出」という意味で使うとするなら、今がチャンスなのです。

というのも1年で今が一番日の出の時間が遅いから。
というと、「冬至が一年で一番昼間が短い時。今は少しずつ日が長くなっているので、
日の出の時間も早まっているはず」と思われるかもしれませんが、
この1月上旬が一番日の出の時間が遅いのです。

国立天文台天文情報センター暦計算室(ttp://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)で調べてみましょう。

東京の日の出時間
2013年12月22日 6:47(冬至)
2014年1月1日 6:51
2014年1月13日まで6:51
2014年1月14日 6:50

鹿児島の日の出時間
2013年12月22日 7:14(冬至)
2014年1月1日 7:17
2014年1月3日 7:18
2014年1月16日まで 7:18

2014年1月17日 7:17どうぞ、ご自分がお住まいの都道府県をチェックしてみてください。

というわけで、今が一番日の出の時間が遅いからこそ
(と言っても1月1日と1分ほどの差しかありませんが)冬に早起きが苦手な人でも今の時期にどうぞトライを。

甥の撮った初日の出です。
20140108sanrise1_2


20140108sanrise2

昇りかけの時、\/こんな風に太陽の上にV字状に広がる光が神々しいな~と思います。
20140108sanrise3

2014年1月 5日 (日)

雪輪の形の箸置き

秋に一目ぼれして手に入れていた雪輪の形の箸置きです。

冬になって使い始めています。
作家は立原亜紀子さん。
20140105yukiwahasioki
↑あえて、飴色on飴色。箱根の寄木細工の上に置いてみました

飴色でうわぐすりがツヤツヤしていて、カラメルがけのビスケットか雪の結晶の干菓子のよう。
私が持っている辛子色、銅サビのような色の器などにもぴったりで素敵な色です。

雪輪(ユキワ)は日本の伝統的な文様です。

今日は代表的な作品一つをご紹介しましょう。

東京国立博物館には桃山時代の『銀杏葉雪輪散辻が花染銅服
(いちょうばゆきわちらし つじがはなぞめ どうふく』が所蔵されています。
吉岡隼人が徳川家康から拝領したものだそうです。

ネットで閲覧/文化財データベース(ttp://bunka.nii.ac.jp/db/Index.do)→銀杏葉雪輪散辻が花染銅服で検索。
直接のURLは(ttp://bunka.nii.ac.jp/db/SearchDetail.do?heritageId=156651)
銀杏の葉のフォルムと白い雪輪、そして雪の丸い固まりに風情を感じます。

雪輪文様については下記の【雪の結晶とアート】INDEXをご覧ください。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月 3日 (金)

お正月にぴったりの和歌をご紹介します

お正月にふさわしい和歌をご紹介します。

青字は下記の文献からの引用です。

あたらしき 年の始(はじめ)に かくしこそ ちとせをかねて たのしきをつめ

 


atarashiki toshi no hajime ni kakushikoso chitose o kanete tanoshiki o tsume
   
(古今和歌集 20-1069)


(歌意)
新しい年のはじめにあたり、このように(御竃木を積み重ねるとともに)、
千年までをことほいで、楽しいことを積み重ねよう。
 ※1

楽しいことをつみかさねよう!という明るさがいいですね。

新しき 年の初めは 弥年(いやとし)に 雪踏み平し 常かくにもが
大伴宿祢家持
(万葉集19-4229)
atarashiki toshi no hajime wa iyatoshi ni yuki fumiharashi tune kakunimoga

(歌意)
新しい年の初めは、毎年毎年、このように、雪を踏みならしていつも太平でありたいなあ。 ※2


新しき年の初めに豊の年しるすとならし雪の降れるは

atarashiki toshi no hajime ni toyo no toshi shirusutonarashi yuki no fureru wa
(万葉集17-3925)
(歌意)
新しい年のはじめに、今年は豊年だということの前兆としてでございましょう。雪がこんなに降りましたのは ※2



新しき 年の始の 初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと) 
atarashiki toshi no hajime no hatsuharu no kyou furu yuki no iya shike yogoto 
大伴宿祢家持
(万葉集20-4516)

(歌意)
新年の初めの今日、めでたく降る雪のように、いよいよ吉事の重なれかし
 ※2

万葉集最後の歌です。

「初春」のところは原文では「波都波流」
「夜露死苦」を思い出すのは私だけでしょうか。

********
雪は豊年のしるしと言われていたので、「めでたい」となるのですね。
大雪に悩まされ、危険な目にもあっている雪深い地方の方々は
「なにがおめでたいものか」とお思いかもしれませんが。

20140103uma
↑午年にちなんだ折り紙をいただきました
すごく美しいです!

※1『古今和歌集(四)全訳注』 久曾神昇著 講談社学術文庫(1983)より
※2『万葉集(一)~(四)』高木市之助ほか校注 日本古典文学大系7 岩波書店19

【雪の結晶と文学、出版物】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

2014年1月 2日 (木)

2014年もよろしくお願いいたします

Snowflake_sachiblue

2014年がはじまって二日目。
皆さまはいかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今年が皆さまにそして私にも
よい年となりますように。

さて、また、切り紙を作ってみました。

雪の結晶に見えるような
そしておめでたい文字
と考えてピンときた漢字を入れ込んでみました。

なんの文字だかおわかりになりますか?

Snowflake_sachiup2

こちらは試作。
笑顔や、
人がやった~としている姿に見えるようなフォルムを狙ってみたのですが、
いかがでしょう。

今年も「今日も星日和」では「雪の結晶」の調べものをメインに
心惹かれることを取り上げていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶全般はこちら

« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

googleでサイト内検索↓

  • グーグルの検索窓に ■■ site:http://hoshi-biyori.cocolog-nifty.com/star/ をコピペして、■■部分を任意のものに変えていただくとサイト内の検索ができます。 ■■の後ろは半角空きです。
2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

今日も星日和の衛星

  • ガガーリン地球は青かった 原文探し旅
    今日も星日和の第一衛星。  カテゴリー「ガガーリン」の  一覧と更新情報の アップブログ。ガガーリン中心にご覧になりたい方はぜひこちらをブックマークください
  • おいしくってしあわせ
    今日も星日和の第二衛星。 おいしーいものを少しずつ  紹介していきます

music

お散歩に行くブログ

  • 笑店 - 楽天ブログ(Blog)
    おんぽたんぽさんの心の琴線に触れたものが紹介されています。キラキラと大切なものが光ってる宝箱のようなブログ。
  • さる子の「こんな毎日」
    暮らしを豊かにする様々な美が満載のブログ。さる子さんは新ブログに移行され、こちらは基本停止中のようですがご紹介させていただきます
  • always in heaven
    「笑店」のおんぽたんぽさんの新ブログ。森羅万象のネットの中で素敵なもの、こと、ひとをみつけだされていて、訪ねるたびに素敵なエネルギーをいただきます。