雪輪(その9)雪輪をあしらった浮世絵(6)鳥居清長
雪輪をあしらった浮世絵(5)の続きです。
江戸時代中~後期を代表する浮世絵師、鳥居清長(とりいきよなが)(1752-1815)の作品を4点ご紹介します。
美人画で有名な清長のことだから、雪輪を華やかにたくさん描いていると思いました。
けれど、意外です。私が調べたところでは雪輪が描かれているものはごくわずか。
しかも、まったく凝っていないのです。他の絵師が、雪輪の中に花々をあしらったり、鹿の子絞りを描いたり美しいモチーフに仕立てているのに比べ、雪輪の輪郭を線で描いたものを着物にちらばめたものばかり。
清長が着物の柄にこだわっていないかというと、決してそんなわけではなく、いろんな柄を多様しています。
それゆえ、雪輪がごくシンプルな扱いであることが意外でした。
(美術館へのリンクが切れましたら、各所蔵館トップページからお訪ねください)
(所蔵館はすべての館を網羅しているわけではありません)
(作品の年代は所蔵館の表記を参考にしました)
(日本語作品名を確認できていないものがあります。≪≫としているのは英語作品名や作品の絵を元に私が記した暫定的なもので、正式名ではありません)≪初夢の娘と茄子≫/鳥居清長
江戸時代 1782年
大英博物館↓、ボストン美術館、ホノルル美術館所蔵。
閲覧できるサイト
大英博物館所蔵のものはこちら。
ボストン美術館所蔵のものはこちら。
作品タイトルは「Young Woman with Eggplants」。
ホノルル美術館所蔵のものはこちら。
作品タイトルは「Dream Symbols of the New Year」。
私メモ/女性の着物に5弁の雪輪が見えます。風俗東之錦 町家の袴着/鳥居清長
江戸時代 1783~84年
江戸東京博物館、ボストン美術館所蔵。
閲覧できるサイト
江戸東京博物館所蔵のものはこちら。
ボストン美術館所蔵のものはこちら。
作品タイトルは
「Young Boy in His First Formal Clothes, from the series Current Manners in Eastern Brocade」。
私メモ/一番左の女性のグレーがかった着物に雪輪があります。
白い輪郭だけのもの、白ベタのもの、いずれも5弁の雪輪。
シンプルなデザインです。
ちなみに「袴着」は七五三の五歳の男の子のお祝いです。風俗東之錦 帯解(おびとき)/鳥居清長
江戸時代 1785年
大英博物館↓、ボストン美術館所蔵。
閲覧できるサイト
大英博物館所蔵のものはこちら。
ボストン美術館所蔵のものはこちら。
作品タイトルは「The Obitoki Ceremony, from the series Current Manners in Eastern Brocade」。
私メモ/右側の女性二人の帯に雪輪が見えます。
5弁の雪輪です。
帯解は七五三の七歳の女の子のお祝いです。元禄遊女の花見/鳥居清長
江戸時代 1789~1801年
東京国立博物館所蔵
画像提供:東京国立博物館(ttp://www.tnm.jp/)
閲覧できるサイト
東京国立博物館所蔵のものはこちら。
私メモ/左端の女性(高尾太夫)の着物に雪輪が見えます。
この作品は展覧会『鳥居清長--江戸のヴィーナス誕生--』(千葉市美術館)の図録では
『花下の高尾 Takao Parading with Her Attendants』というタイトルで紹介されています。
(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。
鳥居清長(絵師6番目に登場p76~87)
極彩色の錦絵を創始したカリスマ・鈴木春信亡きあと、若手浮世絵師たちの頂点に立ったのが鳥居清長。描いたのは”江戸のヴィーナス”とも形容される、八頭身のすらりとしたモデル体形の美人たち。江戸の町を闊歩するさまざまな職業の女性たちの生気あふれる姿は、春信の夢見がちなロリコン趣味の世界に飽きていた大衆のハートをガッチリ掴んだ。
一門の反逆児から一転、(四代目として)鳥居派の看板を守った。
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