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2014年2月23日 (日)

浅田真央の凄さに二日連続で涙

EXの演技も見たあとですが、浅田真央のフリー、本当にすごいドラマでしたね。

二日続けて涙涙でした。でも木曜日は浅田真央が不憫でならない涙。
金曜日は浅田真央の凄さに心揺さぶられる涙。

あのフリーの4分間に、人間の「生き様」のお手本を見た気がしました。
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多くの人がそうだったでしょう。
私もショートの後はニュースの映像を見ることができず。
仕事をしている最中でも歩いている時でもショートのことを思い出しては涙がでました。
浅田真央があまりにかわいそうで。

前回の銀メダルの悔しさから4年間、ソチで金を取るためにがんばってきた彼女の道。
それは何度もテレビで伝えられてきたことですが順風満帆ではなく、
一からジャンプの改善をはかり、その経過中の競技では結果が出ない苦しさを経験。
また闘病中のお母様の最期は、海外での大会中だっため、
急きょ帰国するも間に合わなかったという悲しみも経験。

それでも、前を向いて金メダルのためにがんばってきた彼女。
それなのにまさかのショートプログラム・・・。
浅田真央自身はいつ、金メダルが手から零れ落ちたことを悟ったのでしょうか。
テレビを見ていた私はトリプルアクセルの失敗ではまだ大丈夫大丈夫と思っていました。
三番目のコンビネーションが抜けた時、金メダルがもう彼女の首にはかからないことがわかりました。

まさかの16位。演技直後のインタビュー。
「何が起きたのかわからない」。彼女自身がまだ頭が真っ白で茫然としている様子が悲痛でした。
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20日は電車に乗っていても、何をしていても、ショートを思い出す度に、ウルウル。
こんなにひたむきにがんばってきた彼女になぜ勝利の女神は微笑んでくれないのだろう。
どうしてコンビネーションをラストのジャンプに構成してしまったんだろう。
2番目のジャンプに組み込んでいたら、やり損ねてもラストのジャンプに付けくわえる形で、
鈴木明子のようにリカバリーできたのに。

20日のいろんなテレビを家でみていた友人がメールで、フリーに臨む朝の練習での浅田真央の様子を伝えてくれました。
「真央ちゃん、ジャンプがボロボロ。お通夜みたいに悲痛な表情。
それでも真面目に頑張っちゃっているから、痛々しいよ」

順位がただ低いというだけではなく、4年間目指してきた夢がはっきり終わった直後なのですから。
野球のイップスのようにトラウマになって、ジャンプが飛べなくてあたりまえ。

夜、家でテレビをつけます。
ショックで棄権してもおかしくない。
フリーの第一グループの演技が終わって、第二グループの6分間練習に浅田真央が現れただけですごいと思いました。
衣装に手を当てて引き上げる動作に緊張がみてとれます。

6分間練習ではトリプルアクセルを決めました。
「本番ではできなくてもここで見れただけで良しとしよう。
どんなにボロボロの演技になっても、逃げずにあきらめずに棄権せずにフリーを滑ることを選んだ。それだけで大満足」
そんな風に自分に言い聞かせて、浅田真央の滑走を待ちました。

ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番ハ短調」の鐘の音で演技がはじまり・・・
トリプルアクセルに果敢に挑戦。
決まった時、涙が止まりませんでした
次の3-3もその次も。次々ジャンプが決まります。
ピアノ協奏曲の、たまったマグマがほとばしるような重厚で力強い音楽。
次々決まるジャンプがもたらす怒濤の迫力。
堰を切ったように涙がとまりません。

そして最後のジャンプが決まった時、こぶしを突き出すガッツポーズのようなところに、
浅田真央自身が「よっしゃ!」と確信している様子がわかりました。
そして「行くわよ。行くわよ」といわんばかりに音楽が盛り上がり、
満を持して始まる最後の渾身のステップ。

異常な緊張感、悲壮感を解き放ち、歓喜の悲鳴まで湧き上がるような、凄まじいステップ。
魂を奮い立たせるステップ。
そしてフィニッシュ。
天を仰いであふれる涙を、子供が我慢するように、ううっとこらえる様子。
そのあと晴れやかな顔でリンクの四方に挨拶。

何度も何度もテレビや新聞でこの演技直後の表情を目にしましたが、
そのたびに、本当に美しい涙と、ほころぶ顔に私の涙腺は決壊。

浅田真央はすごかった。すごかった。
そして本当に本当によかった。よかった。よかった。

前日、最終滑走だっために立ち直るための時間は誰よりも少ないのに、
絶望の淵から這い上がって、フリーを決められる精神力。感服です。

負け惜しみではなくて金メダル以上の価値がありますよね。
彼女はいつも大切なことを教えてくれます。その生き様で。
<どんなに失敗しても言い訳しない。逃げない。諦めない。
そして次は絶対できると信じてやってみる。それが大切>ということを。

当日の練習でもぼろぼろになったのにこれだけ気を持ち直せる精神力はどこからくるのでしょう。
また失敗するかもという恐怖をどのように払拭するのでしょうか。
佐藤コーチの「何かあったら僕が助けにいくから」の言葉にもじ~んと来ました。

「いろいろあったけど今までひとつひとつクリアにしてきた。
目の前のジャンプ一つ一つをこなしておこうと思った」と実行できる凄さ。

それはやはり、彼女がとにかく自分の演技をしたい。
満足できる演技をしたい、という想いが生み出す強さなのでしょう。

バンクーバーの時も銀メダルに終わったことよりも、
ミスが出て満足いく演技ができなかったことが悔しかったとききます。

女子シングルはバンクーバーで浅田真央がトリプルアクセルを華麗に決めても、後に続く選手が出ませんでしたね。
それはトリプルアクセルが難度が高く、跳びたいと思っても跳べるようになるジャンプではないこと。
たとえ跳べたとしてもリスク多し、高い基礎点や加点を望めずメリットが少ないこともあるのでしょう。

それでも浅田真央はトリプルアクセルにこだわりつづけました。
<リスクをともなう大技に挑戦するよりは手堅く、そして加点で稼ぐ>潮流の中で
浅田真央だけが我が道を行く孤高の存在だったと言えるのかもしれません。

トリノの荒川静香も光っていました。
イナバウアー。点数的には伸びない技だけど、どうしても入れたくて、
みんなにみてほしくて荒川静香は組み込んだとききました。

リスクがあってもやりたいからやる! 
点が出なくても見せたいものをやる!
この情熱や信念の強さが人の心を揺さぶるのだと思います。
体の内側から輝きを放つのだと思います。
絶望を凌駕する「やる気」を生み出したのだと思います。

<手堅く、体力温存できるところでは温存し、うまくプログラムをまとめる>
そんな効率計算や合理的なことに甘んずることできない、損得に自分を従えさせられない人間の性(さが)。
そんなものを浅田真央に感じます。
だからこそ、あの、たぎったものがほとばしるようなフリーの演技になり、奇蹟を起こすのだと思います。

浅田真央、残念ながらフリーは3位。
加点を含め、第二グループのため点が抑えられましたよね。

最終グループの選手たち。
ミスをしたら負ける熾烈な争い、緊迫感の中でみんな素晴らしい演技をみせました。
メダリストの加点が浅田真央より高いのは、あのプレッシャーの中で素晴らしい演技をしたことによる賞賛
(スキージャンプの追風を考慮する加点)みたいなものもあるのかな~。

6種類の3回転を飛ぶ(合計8回)という技術や挑戦が採点に反映されていないところにも、
浅田真央だけが採点の規格からはずれていて
この唯一無二の天才スケーターを他のスケーターとともに評価できる基準がないことを感じます。

テレビでもエイトトリプルは真央ちゃんだけ。
それは真央ちゃんしかトリプルアクセルを飛べないからと解説されていますが、
ではアクセル以外の残りのトリプルジャンプ、ルッツ、ループ、フリップ、サルコウ、トゥループの5種を
全員が組み込むかというとそうでもありません。

不得手な三回転ジャンプをはぶいて、得意なジャンプで勝負する選手も。
だからこそ、浅田真央のエイトトリプルは得意なトリプルアクセルに賭けるというだけではなく、
苦手なジャンプの克服という大きな挑戦でもあるのですよね。

この崇高な試みが基礎点にあまり反映されていないのが残念。

それにしても、浅田真央とラフマニノフはつながっていますね。
バンクーバー五輪の時、19歳の浅田真央は19歳のラフマニノフが作曲した「鐘」で滑りました。
そして今回は「ピアノ協奏曲第二番ハ短調」。
この曲は「交響曲第一番」の不評で精神を病んだラフマニノフが睡眠療法などを受け、
そして復活して書き上げ、この精神科医ダーリに捧げた曲として有名ですよね。
絶望、どん底からの復活の曲。まさに浅田真央の二日間と重なりますよね。
何度フリーの演技をみても鳥肌が立ちます。涙が出ます。
地下でマグマがうごめくようにオーケストラの音色に見え隠れしながら濁った和音、
ピアノの旋律が流れる様子は、絶望を感じ、どん底でもがきながらも、表に出ようとする熱情がたぎっている様子を感じます。
後半甘いメロディーのあとのトリプルサルコウから、クライマックス。
テンポが速まり堰をきったように音楽が昂揚するのにともないジャンプも3-2-2。
そして8つめのトリプルループ!
この音楽とジャンプの連動はヤバいですよね。
そして満を持してあの鬼ステップ。力強く。
これでもかこれでもかと踏み続けるステップ。
<>手をこういうふうに挙げて回るツイズル、
えいや!とばかりに体が「大」の字にパッとなるところ、
etc.抑えこんできたものを解き放つカタルシス。
天を仰いで涙がこみあげる顔も、目元に涙が光る様子も本当に美しかった。神々しかったでした。

そして会場にあった「真央ちゃん、みんな応援しているよ、大丈夫!」
この日本や世界のファンの気持ちを代弁する暖かい気持ちあふれるバナーにもじ~~~ん。
このメッセージを掲げてくださった方、本当にありがとうございます。

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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