二度の大雪にびっくり!でも江戸時代(文政~天保)も江戸の町に大雪が
ソチ五輪のフィギュアスケート男子シングルフリーをみるために仮眠し、零時過ぎに起きました。
雪はどんな様子だろうと、玄関の外をみてびっくり!
映画「デイ・アフター・トゥモロー/Day after tomrrow」を思い出しました。
氷河期になったかと思いました!!!
私の住居は玄関前の通路は屋根があるので、
大雨でないと雨が玄関前を濡らすこともない構造なのですが、
なんと、扉を開けたら、たたきつけてきた雪が積もっていました。
もう少し遅かったら、扉が埋もれていたでしょう。
朝までに雨に変わって解けるのかわかりませんが、エレベーターまでの通路を雪かきしました。
手すりにつもった雪の高さを計ったら20センチ!
建物の壁にはでこぼこ模様があるのですが、その模様のわずかなくぼみにも雪が落ちずに積もっています。
信じられません。先週の雪よりすごいです。
さて、江戸時代、文政~天保時代の雪の日を私は調べています。
というのも雪の殿様、土井利位(どいとしつら)侯がどんな雪の日に結晶観察をしたのか探るためです。
江戸の町の気象を調べるのにすごく参考になるのが「南総里見八犬伝」でおなじみの曲亭馬琴。
彼は日記で克明に気象を描写してくれているのです。
これを読むと、文政~天保がかなりの寒冷期だったことがわかります。
土井利位侯は大坂城代を勤めていた時に大塩平八郎の乱を鎮定した功績があるわけですが、
この大塩平八郎の乱も冷害の影響の農作物の不作が原因になっています。
「土井利位が雪の結晶をたくさん観察して記録に残してくれてありがたい。
しかも雪国ではなくて、江戸や大阪京都という大都市でこれだけ観察してくれてありがたい」と思いますが、
その背景には寒冷期だったことがあるのですね。
冷害、大規模な飢饉に当時の人が苦しんだことを考えると少し申し訳なくなります。
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では、当時の江戸の町にどれだけ雪が降ったのか、馬琴の日記を元にご紹介しましょう。
※一寸=3センチ。一尺=30センチで計算しました。
※文献名が記載されていないものは『曲亭馬琴日記』柴田光彦新訂増補
(中央公論新社 2009~2010)よりです。
※文献の表記の2p13は第二巻p13をあらわします。
※文章を短くするため1/6としましたが、もちろん当時の人たちが1/6と記したわけではありません。
いずれも私が書き起こしたものです。もし写し間違いなどに気づいたらあらためて加筆修正します。
文政10年(1827年)1月6日 60~90センチ(風が吹き寄せたところでは)。
1/6昨夜より雪 終日無間断 夜八時比雪止て晴 風の吹まはしによりて深さ二三尺に至る。(略)
雪中薄暮に及び、暮六時比、宗伯帰宅
1/7曇 四時比より晴。大雪に付(略)表門前并に北之方うら庭の雪掻之、四半時比に及ぶ。(略)
予、雪あたり疝気に付、終日倚炉
1/8晴 少し風 厳寒。(略)今日厳寒、北風にて、雪さらにとけず
1/10宿雪未解、道わろき故也 (1p38~40)
この1月6日の雪は鷹見泉石も日記に記しています。
1/6暁より大雪。当番。六半前御登城。 (『鷹見泉石日記』吉川弘文館/2001 第二巻p14)
文政12年(1829年)1月14日 6~9センチ
1/14雪 昨夕より無間断 深さ二三寸に及ぶ (2p20)
天保2年(1831年) 1月24日 9~12センチ
1/24昨夜より雪 無間断 九半時より雪止て不晴。今暁、雪深さ三四寸に及び、猶降る。
旧冬十二月廿七日、雪はじめてふり候後、二度目の雪也 (2p304)
天保2年(1831年) 12月2日 30センチ
12/2昨夜より雨 風あり 終日小雨 夜に入雪
12/3曇 昨夜の雨 一寸許積 昼之間日出て又薄曇 (2p516~517)
天保4年(1833年) 1月27日 18~21センチ
1/27雪 五時過より雪止 深さ六七寸に及ぶ 今日よりひがん也 昼より薄晴 (3p329)
天保4年(1833年) 2月19日 15~18センチ
2/19曇 早朝雪 忽止 暮六時比より雪 明暁止 深さ五六寸に至る 当冬の初深雪也 (3p565)
天保4年(1833年) 12月20日~24日 連日の雪で最終的に30センチ以上か
12/20薄曇 昨夜の雪深さ五六寸なり 昼前より晴 昼より風 暮時より風烈 深夜止 (3p566)
12/23曇 早朝より折々雪 或はふり或は止 四時より雪 無間断 風 夜中風烈 (略) 近年の大雪也(3p569)
12/24雪 朝五時過より雪止 深尺許 風曇 昼より晴 夜中風烈。
表門脇もちの木、大枝・小枝共、雪にて折畢。庭前唐梅わか木倒る。
うらの□北の朝鮮柘榴、中より大枝裂けたり。この外いたみ木多し。近来の大雪也(3p569)
天保10年 1月4日~11日の雪 75センチ
以下 江戸在住の斎藤月岺(げっしん)による日記
『大日本古記録 齋藤月岺日記 二巻』(岩波書店)からの引用です。
1/4雪ふる (p140)
1/5曇る、小雪 (p140)
1/6朝より雪ふる (p140)
1/11朝より大雪(略)暮時壹尺程つもる(略)近年之大雪也、貮尺五寸つもる (p141)
当時の江戸の人々はダウンジャケットも床暖もないのに、大雪にみまわれる冬を乗り切っていたのですね。
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