雪輪(その11)雪輪をあしらった浮世絵(8)細田(鳥文斎)栄之
雪輪をあしらった浮世絵(7)の続きです。
江戸時代後期の絵師、細田栄之(鳥文斎栄之/ちょうぶんさいえいし)(1756~1829年)の作品を9点ご紹介します。
白ベタの雪輪あり、雪輪の中にさまざまな花をあしらったものあり、バリエーション豊かです。
(美術館へのリンクが切れましたら、各所蔵館トップページからお訪ねください)
(所蔵館はすべての館を網羅しているわけではありません)
(作品の年代は所蔵館の表記を参考にしました)
(日本語作品名を確認できていないものがあります。
≪≫としているのは英語作品名や作品の絵を元に私が記した暫定的なもので、正式名ではありません)
≪桃樹風鈴下二女≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1791~1792年
ボストン美術館、ホノルル美術館所蔵
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作品タイトルは「Two Young Women Walking under a Windchime」。
私メモ/右側の女性の着物に雪輪が。雪輪の中には一つ一つ松や花々が描かれています。
≪金龍山の滝桜≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1792年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Women Viewing Cherry Blossoms at Kinryuzan Temple in Asakusa」。
私メモ/右側から3番目の女性の着物、スミレ色の地に白い雪輪が美しいです。雪輪は5弁。
≪貴婦人花見≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1793年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Ladies Viewing Cherry Blossoms beside a Stream」。
右から2人目の女性の着物が雪持ち笹の柄になっていますが、積もった雪のフォルムが雪輪の輪郭になっています。
≪青楼美人六歌仙 松葉や若那≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1794~1795年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Wakana of the Matsubaya, from the series Beauties of the Yoshiwara as Six Floral Immortals」。
私メモ/絵の中で雪輪に水仙と「松葉や若那」の文字が描かれています。美しいです。
≪青楼美人六歌仙 角玉や花紫≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1795年
シカゴ美術館所蔵
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作品タイトルは「Hanamurasaki of the Kadotamaya, from the series Six Flowery Immortals of the Pleasure Quaters」。
私メモ/と同様、雪輪の中に花と「角玉や花紫」の文字が描かれています。
≪若那初模様 岡本屋内 佐屋形 ふもと すその≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1796~1797年
アメリカ議会図書館↓、ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Okamotoya uchi sayagata」。
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作品タイトルは「Sayagata of the Okamotoya, kamuro Fumoto and Susono, from the series New Year Designs as Fresh as Young Leaves」。
私メモ/佐屋形の左右の禿(かむろ)の着物が雪輪模様です。
ピンク色の着物に、白ベタの雪輪と白い輪郭だけの雪輪の重なりが美しいです。
アメリカ議会図書館の画像(↓)では
退色で雪輪の形がわかりづらいですが、
ボストン美術館所蔵のものは鮮やかな色合いなので、雪輪の輪郭がよくわかります。
≪略三十六歌仙 兼輔≫/鳥文斎栄之
江戸時代 1799年
ボストン美術館所蔵
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作品タイトルは「Kanesuke, from the book Yatsushi sanjurokkasen」。
私メモ/中央で座る女性の着物に雪輪が。
≪青楼模様合わせ 扇屋花扇≫/鳥文斎栄之
江戸時代 18世紀
大英博物館所蔵↓
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作品タイトルは「Seiro Moyo Awase」。
私メモ/中央の女性の赤い着物に雪輪がちりばめられています。
≪青楼遊興≫/鳥文斎栄之
江戸時代 19世紀
東京国立博物館所蔵↓
画像提供:東京国立博物館
(ttp://www.tnm.jp/)
ハーバード大学美術館所蔵
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作品タイトルは「Scene in a Courtesan's Room」。
私メモ/中央の女性の緑色の着物に白ベタの雪輪が描かれています。
立命館大学の浮世絵データベースではこの作品は「善玉悪玉遊興図」と紹介されています。
3枚続きの作品の左部分であることがわかります。
絵の中に額に「悪」と書いてる小さなおじさんが何人もいる様子が可笑しいです。
(2014.3.12追記)
堀口茉純 文・絵の『UKIYOE17』(中経出版2013)では16人の浮世絵師を年代順に紹介しています。
(17の残りの一人は絵師ではなくプロデューサー的存在の蔦屋重三郎です)
的確で人となりがとてもわかりやすかったので要約してご紹介します。青字は引用部分。
鳥文斎栄之(絵師8番目に登場 p106~111)
喜多川歌麿のライバル。武士なのに絵画にはまる。歌麿の大首絵に対抗。
栄之は女性美を全身像で見せることにこだわり続ける。
描く美人は九・五頭身ほどある現実世界ではありえないプロポーションに到達。
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恵美さん、お久しぶりです。
とうとう浮世絵の雪輪模様にまで話が広がったのですね。雪輪は好きな文様の1つです。涼しさを演出するために夏の着物によく使われますね。
知人が素敵な画像を紹介しているのを見て恵美さんにもシェアしようとこちらを訪ねました。恵美さんのことだから見たことがあるかもしれないけど、プレゼント。
https://www.youtube.com/watch?v=bJDeoah-Cd0&feature=youtube_gdata_player
投稿: さる子 | 2014年2月 8日 (土) 12:51
さる子さん。ご無沙汰しています。
B型凝り性の「同志」であるさる子さんもやはり、雪輪がお好きでいらしたのですね。
雪輪に魅せられ、いろんな浮世絵めぐりまで来てしまいました~。
日本の凄いところは、冬の柄の雪輪を、涼のために夏つかっちゃうところですよね!
お着物を愉しまれる方は、雪輪を味わえてうらやましいな~と思います。
エルメスには雪の結晶モチーフのスカーフがいくつかありますが、「雪輪」をモチーフにしたものがあったら買いたいなと思います。
動画教えてくださりありがとうございます。
結晶の成長する様子が美しいです!!!
投稿: emi | 2014年2月 8日 (土) 22:34