ソチ五輪、男子シングル
羽生結弦以外のスケーターは。
今や、多くの選手が4回転を飛び、フリーのプログラムに2回入れる選手も出てくるほど。
4回転をせず金メダルを狙うのは難しい時代。
だからこそ、ベテランで故障を抱えた選手にとっては身体の負担も大きく、競技を続けるのは大変でしょう。
それでもプルシェンコは帰ってきました。
高橋大輔も打ち明けている以上に本当は故障は大きいのだと思いますがリンクに立ちました。
それが五輪の魔力なのでしょう。
幼い頃から4年に一度のこの夢の舞台をめざし、出場の夢を果たして栄光をつかんでも、
それで満足というわけではなく、もう一度と賭けてします。
プルシェンコと高橋大輔にはそんな狂気にも似た情熱を感じました。
【高橋大輔】
スケートへの想いは狂気にも似た、と書きましたが、
演技がエキセントリックだったということではありません。
真摯に王道の美を追究するすばらしい演技でした。
ショートの曲はゴーストライタ―騒動で話題となってしまった「バイオリンのためのソナチネ」。
私はこの曲が大好きなので、これが佐村河内ではなく新垣さんによるものとわかってほっとしました。
闇の中の希望を感じさせる楽曲。
冒頭、両手を首(耳元を少し覆うような)に当てる振付が、
佐村河内の耳が聞こえないという絶望を少し重ねたのだとしたら、
ちょっと複雑な心境・・・。
4回転はうまくいきませんでしたが、その後のジャンプを決めます。
あの体で。
このプログラムの世界を伝えたい。
高橋大輔のその想いが神ががってみえました。
「バイオリンのためのソナチネ」はゴーストライターによるものというダーティーなイメージがついてしまいましたが、
この曲が捧げられた少女は新垣さんがもともと交流を何年も続けてきたそうですね。
新垣さんが「日陰の存在」となってもなお、愛情こめてこの曲を作曲したと思うとこの曲に込められた「愛」を感じます。
佐村河内が安易に描いた闇の中の光とは違う、「光」を支える「影」を感じます。
フリー。
4回転に挑戦して両足ながらもふんばり、故障の足でジャンプを次々決めるのは技術力と強い精神力なのでしょう。
トリプルアクセルも素晴らしかったです。
「インマイライフ」の曲を使った春のひだまりのようなパートが好きです。
楽しそうに氷上にエッジで図形を描いているような雰囲気が。
スケートを愛して、スケートから愛されるスケート人生。
怪我で万全の演技ができなくても今の自分の状態を受け入れてせいいっぱいのものをみせる。
そんな覚悟が感じられる演技に心打たれました。
昔、競技にあったコンパルソリ。
地味だからなのかなくなってしまいましたが、高橋大輔だったらコンパルソリでも魅せてくれる気がします。
キスアンドクライでは長光コーチの穏やかな笑顔にもじ~んときました。
【町田樹】
ショート。ジャンプのミスがあって、精彩を欠いたという報道をみました。
たしかにジャンプのミスは残念でしたが、
それでも十分に名プログラム「エデンの東」を町田の魅力を伝えたと思います。
冒頭のこぶしを握りしめるような動きからはじまって、
小柄だけど、一つ一つ大きく本当に魂のこもった動きが素晴らしかったです。
フリーで惜しくも転倒がありましたが、それでも攻めてジャンプを決める強さは見事。
堂々の5位も素晴らしいです。
【パトリック・チャン】
ショートのラフマニノフ「エレジー」は本当に美しいです。
なんともいえないスケートの重みとなめらかさ。
浅田真央のノクターンもそうですが、一滑り、一滑りのタイミングがピアノの音符とぴったりあっているだけではなく、
その強弱すらぴったりあっている気がします。
氷上に触れる彼らの足の重みとピアニストが鍵盤を弾く指の重み
(力を入れるところ、ふわっと抜くところ)、なんともいえない極上の心地良さがあります。
フリーでは。直前の羽生の転倒などを見ていたら、金メダルのチャンスを確信したと思うのですが。
安全策に走ることなく、冒頭4-3に果敢に挑んで成功。
その後はチャンらしからぬミスが出てしまいましたし、
多くの選手の転倒が続いた最終グループとなりましたが、
決して低レベルということではなく。
チャンが安全策に走らず攻めて見事な金メダル争いをしてくれたことがありがたいです。
そのことが羽生のメダルの価値、チャンのメダルの価値を高めたと思います。
【ジェレミー・アボット】
ショートの大きな転倒で出遅れましたが、今季のフリーは名プログラム。
静謐なピアノの調べに合わせた、心静まるようなスケートにひきこまれます。
穏やかなピアノ曲が次第に力強く激しくなってゆき、
(曲調は違いますが、「ボレロ」も同じ調べのリフレインで次第に重厚になっていくのを思い出します)
それにともなって、スケーティングもスピードやダイナミックさを感じさせ、
そしてまた鎮まっていくピアノの調べで演技も終わる。
余韻を残す素敵なプログラムを五輪でも見せてくれました。
【エフゲニー・プルシェンコ】
母国での開催の五輪でリンクの上に立ちながらも棄権は無念だったことでしょう。
でも、団体戦で金メダルがとれてよかったです。
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