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2014年9月30日 (火)

月齢5の月は「柿の種」

9月29日(月)は月齢5.1の月を見ることができました。

18時45分頃、南西の空です。
Moon20140929_1843sw_51th_189a_108_3


20140930moon_kakinotane
月齢5.1の月は
柿の種ぐらいの
ふくらみですね。








Moon20140929_1846sw_51th_184a_1099今回も地球照の模様は写せなかったのですが、この画像だと月の影の部分のシルエットがわかります。
















Moon20140929_1839sw_51th_195a_baseb「草野球をする人」が少し姿を現しました。

9月7日の月と比べてみてください。

これが元の画像です。(↓)
クリックで拡大します。
Moon20140929_1839sw_51th_195a_107_3




Moon20140929_1839sw_51th_195a_kaite三日月の一部に見えるこの画像、照らされているmoon3の部分に目が留まって、球体というとらえ方はしづらいですよね。
でも、28日の月と同様、画像を回転させると
「球体」を感じるのが不思議です。
縦の画像だと子供の頃から見慣れている「三日月型」なので、目が照らされている部分だけを切り取ってみてしまうんでしょうね。
画像が横になると、見慣れていない眺めなので、視たままの「一部が照らされ、一部が影になっている球体」を知覚するのでしょうね。

こちらは月齢5.1の月の下半分。
クリックで拡大します。
Moon20140929_1839sw_51th_195a_2_1_3



Moon20140929_1839sw_51th_195a_2_m_2この月での主役の一人が
デベソクレーター「ピッコローミニ」(中央の赤い◎)と
「アルタイ壁」(黄緑色の線)でしょうか。

<草野球をする人>のグローブにあたる神酒の海や
デベソクレーター「ティオフィルス」もはっきりと見えます。

一方、28日の月齢4.2の月で目立っていた
レイタ谷(右下の赤い線)、
三角形に並んだクレーター(青線部分)目立たなくなっています。

太陽は照明技師。
日々、別のクレーターや地形を主役に浮かび上がらせているのですね。

2014年9月29日 (月)

沈む三日月は不思議な眺め

月とは一週間、ごぶさたでした。
「晴れ」と記録される日でも月のまわりは雲で覆われていたり、月が見えている時、私が外にでられない状況だったりで、9月21日に月齢26の月を見たあとが昨日28日の月となったのです。

月齢は4.2ぐらい。ですので厳密には三日月ではないのですが、細い角のような「三日月型」という広義の意味で三日月と呼ばせていただきます。

Moon20140928_1729sw_41th_237a_0907夕方、暮れ始めた南西の空に三日月が現れました。
(17:29)







Moon20140928_1749swr_41th_207a_09_2カメラのスポット測光設定だと
まだ明るさが残る空も真っ暗に写ります。









Moon20140928_1744_swwr_41th_215a_taアップで。
クリックで拡大します。

矢印のところが「危機の海」。










不思議なこのものでこの(↑)画像ですと、照らされて三日月型に浮かび上がるシルエットに目が行きますが、同じ画像をこんな風(↓)に回転させると、影の部分含め「球体」であることに目が行きませんか。
Moon20140928_1744_swwr_41th_215a_09









Moon20140928_1744swr_41th_215a_09_4クレーターも撮れました。
クリックで拡大します。






Moon20140928_1744swr_41th_215a_name中央下のところ
ひっかき傷みたいに見えるのがレイタ谷(赤い線)。
三角形に並んで見えるクレーター(水色部分)は左から時計まわりに
ファブリシウス、ブレンナー、メティウス。
ファブリシウスを囲っているようにみえる大きなクレーターがジャンサンですね。




私の住んでいるところは9月27日ごろ金木犀が香り始めるのです。
この月もベランダで金木犀の甘い香りに包まれながら、眺めました。
家にいながら、月の谷が見えるなんて!!
テレポテーションで別世界に行った気分です。


Moon20140928_1758swr_41th_192a_095428日は昼間、土星食がありました。
私は見ることができませんでしたが、夕方の空、月と土星が並んでいる様子が写せました。
地球照もほのかに見えています。

わかりづらいかもしれませんが画像右下に土星が。
クリックで拡大します。










Moon20140928_1932wsw_42th_33a_1038西の空低く、月の入り20分ぐらい前の月です。
夕陽が赤く見えるように、低い月は赤くみえます。








Moon20140928_1936wsw_27a_10574分後、住宅街の向こうに月の角が半分隠れ始めました。

闇の中でにょきっと伸びた角は少しシュールな眺めです。
ブレてます。








Moon20140928_1937_wsw_42th_25a_10_2最後はこんな感じ。

西の空に傾きながら、どんどん色濃くなる月。
焼肉屋で網の下で燃えている炭火のようなオレンジ色でした。

朝陽や夕陽。丸い太陽が地平線から昇ったり水平線に沈むのは日常の光景ですが、moon3三日月型が地平線にニョキっとしている眺めは少し非日常感、不思議な感覚があります。

西に開けたロケーションが近くにある方は、今日の月の入りをぜひご覧なってみてください。

2014年9月21日 (日)

チェシャ猫の笑い口みたいな月齢26の月

このところ雲がどんよりと広がる日が多く、9月15日に月を撮ってからずっと撮れずじまい。
やっと今日21日明け方、絶好の撮影日和を迎えました。

4時30分ごろ外に出ると、オリオン座をはじめ、たくさん星が出ています。そして久しぶりに見た月は随分細くなっていました。

地球照もよく見えます。

細い月を撮るの難しいです。ブレブレです。地球照が写るように撮りたかったのですがうまく撮れませんでした。

Moon20140921_0448e_262th_26_0819東の空。4時50分ごろ。
月の出から2時間ちょっと経っています。

この形の月、私は勝手に「ニカ月(にかづき)」と呼んでいます。
三日月ではなくて「二日月」、というわけではなくて
『不思議の国のアリス』に出てくるチェシャ猫がニカッと笑っているような形だからです。

ディズニーアニメ『不思議の国のアリス』でチェシャ猫は
森の闇にこの笑い口だけを残して消えます。

Moon20140921_0456e_262th_27_08264時56分。少し空が明るくなってきました。
みえますでしょうか。


鉄塔にかかったニカ月の左斜め上には木星が。

まるで五線譜に木星と月が置かれたみたい!

この画像はクリックで拡大します。

Moon20140921_0456e_262th_27_name082


ここに木星がいます。











Moon20140921_0502e_262th_27_0845


5時2分。
鉄塔のてっぺんに月が昇りました。

月の影の部分の模様を撮りたかったけれど、
うまく写らず。







Moon20140921_0503e_262th_27_0848試行錯誤です。
スポット測光の設定では空が大分明るくなってきているのに月の照らされた面以外が真っ暗になってしまいました。

でもその分、クレーターはみえます。

ズームアップして撮ったもう一枚を。
手持ちでブレブレになってしまいがちだったのに、
このくらいクレーターが写っていてうれしいです。

この画像はクリックで拡大します。

Moon20140921_0506e_262th_29_name208目立つクレーターは
シッカルトでしょうか。

2014年9月15日 (月)

<草野球をする人>がみるみる欠けていきます

今まで月の写真は甥の撮影のものを使用していました。
自分で撮るようになるといろいろ世界も広がって。11月ぐらいまでは月中心の話題となります。

こちらは9月12日3時39分。南西の空の月齢17頃の月になります。
Moon20140912_0339sw_172_short_0587

満月から新月へ向かう時、<草野球をする人>側から欠けていきます。
<草野球する人>が見えなくなっていくのは残念ですが、このあたりの月面のでこぼこ具合がよくわかって面白いです。
アップで。以降の画像はクリックで拡大します。
Moon20140912_0338_1sw_172_short_0_2Moon20140912_0338_1sw_172_short_cra







ペイントでおおまかですが記してみました。
<草野球する人>の麦わら帽子は「晴れの海」、左手のグローブは「神酒の海」にあたります。

クレーターがペアのように並ぶ1と2はエウドクソスとアリストテレス
3と4はヘラクレスとアトラス。

デベソのように見える5はティオフィルス。
6は神酒の海に半分合体しているような形のフラカストリウス。
(フランスの絵本『カロリーヌの月旅行』に登場しますcf.2008.6.19

こちらは9月13日4時16分の月。月齢18頃。

Moon20140913_0416ssw_2_182_short_06Moon20140913_0416ssw_2_182_short_cr








月齢17の月と比べると3と4のクレーター、ヘラクレスとアトラスが影の部分にもうすぐ入りそう。
その分、クレーターのくぼみの影がくっきりコントラストが効いて見えます。

私のデジカメは一眼ではなくていわゆるコンデジの延長なのですが、三脚なしの手持ちでここまで撮れることに感動です。

Moon20140915_0056es_3_20th_short_07こちらは9月15日零時過ぎ、南東の空の月齢20の月です。









画像を回転させて
南西の空で見える様子を再現してみます。(↓)

Moon20140915_0056es_3_20th_short_kaMoon20140915_0056es_3_20th_short__2









前日には健在だったクレーターのエウドクソスとアリストテレス(水色に塗ったもの)ももうすぐ影に入ってしまうところです。
<草野球をする人>はもはや麦わら帽子の一部を残すのみ。
月が日、一日、みるみる欠けていく様子がわかりますね。

ところで、半月より少しふっくらしているこの形の月。
何かに似ていると思いませんか。
私は、かしわ餅や長崎角煮まんを思い出します。

2014年9月11日 (木)

クラゲみたいな月と雲月と満月

なかなか天候が安定しませんね。記録にない集中豪雨の被害、心配です。

8月から月を撮り始めたのですが、雲に覆われ、見えないことが多いです。

Moon20140907_1756ese_128th_short_049月7日(日)
東南東の空の雲が少し割れて、月が現れました。

月齢12.8ぐらい。
月の出から1時間20分経った頃です。


まだ青さが残る空を昇る月です。
昇る朝陽や沈みゆく夕陽もそうですが、
地平線そばの時はすごく動きが速く見えますよね。

雲の間に間に丸い形を透けさせて昇る月は
生き物のよう、クラゲのようでした。

Moon20140908_0042sw_13th_short_05069月8日零時40分ごろ。
南南の空、月齢13の月です。

草野球する人は健在。
太陽(クレーター、ティコ)は左下によく見えますが、白球(クレーター、コペルニクス)が少し見えづらいです。
月が太った分、姿を現したクレーター、アリスタルコスの白い点が目立ちます。









Moon20140908_0042sw_13th_short_2_05黄色い矢印がクレーター、アリスタルコス。

9月4日の月ではまだ影の部分で隠れていました。

9月8日(月)は中秋の名月ですが、残念ながら雲に覆われて見ることができず。

名月が雨で見えないことを雨月(うげつ)と呼びますよね。見えない月に名前をつけるところに、昔の人の月への想いが感じられます。
今回は、雨はなく雲に覆われて見えなかったのでいわば「雲月(うんげつ)」でしょうか。

中秋の名月はあくまでも旧暦8月15日の月という意味であって満月(月齢15)になるとは限りません。

今年の満月は翌日の9月9日(火)でした。
あまり好きな言葉ではないのですが、「スーパーム-ン」としても注目されましたね。

Moon20140909_1854ese_148th_short_059日夕方、東南東の空の満月を撮ることができました。

少し黄色っぽいです。
のっぺりしています。


月齢14.8ぐらい。
月の出から1時間経った頃です。












Moon20140910_0006s_15th_short_0522こちらは日付が変わって9月10日(水)零時過ぎの月。
月齢がちょうど15の満月です。

夕方の満月よりも白っぽくなっています。
南の空高く明るく輝いていました。

模様が時計まわりにこのくらい回転すると、
<草野球する人>がわかりやすくなりますね。

2014年9月 7日 (日)

月には草野球をしている人がいます

デジカメを買いました。
三脚を使わず手持ちで、月も撮れるというデジカメ。

感動です!
まだまだ露出他の調整を試行錯誤中ですし、技術を持ち、きちんとしたカメラで三脚を使って撮影される天文写真熟練者の方たちには及ばないのですが、 クレーターまでわかる画像が自分で撮れるなんて!

早速、月で草野球をする人を撮ってみました!

これは私が勝手に命名しているものですが、草野球をしている人を発見してから、私は月を見上げると、うさぎよりも「野球人」を先にチェックしてしまいます。

ではまずこちらの画像を。
Moon20140904_2333sw_95moons

2014年9月4日 22時頃の南西の月。月齢9.5(国立天文台による正午月齢)です。

どこが草野球をする人かおわかりになりますか?

Moon20140904_2333sw_95moons_basebal

麦藁帽子。左手にグローブ。
すごい!と思うのはベルトもしていること。
それから右手。洋服と素肌の部分、ちゃんと色が違うんですよ。
ちなみに高く上がった白球はクレーターのコペルニクス。

夏空高く打ちあがったボールをフライアウトしようとしているところですね。

では、アップをもう一枚。
Moon20140905_2159ssw_105moon_short右腕が洋服と素肌のところで色が違っているのがよくわかりますよね。














草野球をする人の左手には太陽もあるのですが、月が太っていくとわかりやすくなります。




Moon20140906_1812es_115これは9月6日18時過ぎ、南東の空の月です。月齢11.5。

この向きだと野球人より、もちつきうさぎの方が目に入りますね。

南東にあるこの月が南~西へと空を渡る時、時計まわりに回転。

草野球をする人は南西~西の空の月がベストポジションになります。

Moon20140906_1812es_sun_115この画像を回転させちゃいます。

月齢9.5の月よりも左側がふっくらして、クレーターのティコがよく見えるようになります。

このティコが太陽になるのです。
ティコのまわりの白い筋、光条も夏の太陽光の放射のようで、ティコを太陽に見立てるのにぴったり。

もうすぐ中秋の名月。
月を見上げた時、ぜひ、草野球をする人をみつけてみてくださいネ。

草野球をする人&プードルはこちら(2009年1月5日)にも。

2014年9月 4日 (木)

一番復活してほしい江戸時代の行事「二十六夜待ち」(その3)江戸ガイド本にも二十六夜は登場

(その3)では、広重以外の作品や江戸時代の文献をご紹介します。
江戸時代にはテレビの情報番組もなかったのに、人々は二十六夜待ちの一押しスポットを知っていました。
江戸の名所ガイド本がいくつも出版されていたのも大きいでしょう。
これらが東京ウォーカーならぬ『江戸版ウォーカー』の役割を果たしていたのですね。

「廿」は「二十」のことです。
※ただし書き
「廿」は「二十」のことです。所蔵館の作品がリンク切れになりましたらトップページから作品名で検索していてください。
制作年は所蔵館によってまちまち(版違いなどで)です。主なところのものを挙げました。

※二十六夜待ちに関する江戸時代の文献。この記事をアップした9月4日以降後次々出てきます。
その都度、加えます。
すでに時系列で丸数字によるナンバリングしているので、この丸数字は固定させて、
onetwoの間の時期の追加資料はone-5、oneの前の時代のものはzero-2などのようにナンバリングを振ります。


one≪絵本江戸みやげ≫西村重長、鈴木春信画
1768年(宝暦3年)版かと思います。

2_01ehon_edomiyage_nishimura閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2551549/28

国立国会図書館デジタルコレクションより(→)

私メモ/くずし字があまり解読できないのですが、高輪の海辺の風景に「二十六夜」の文字が見えるので、少なくともこの頃から高輪=二十六夜待ちが定着していたことが推測できます。

one-5≪天慶和句文(てんけいわくもん)山東京伝(さんとうきょうでん)著 北尾政演(きたおまさのぶ)画≫
1784年(天明4年)

本で閲覧 『山東京伝全集 第一巻』山東京伝全集編集委員会編(ぺりかん社 1992) p140

20140904tenkeiwakumon_2『天慶和句文』は天文解説書「天経惑問」のもじり。
大人向けの読み物、黄表紙です。

お月様は天道様の息子で20歳。
若いけれど風流で詩歌俳諧にばかり心を寄せるという設定。

画像は『山東京伝全集 第一巻』(ぺりかん社)より転載。

ここに注目すべき記述が。




20140904tenkeiwakumon_up_3廿六夜には、高輪で、ちとお冴へなされませ

というセリフが出てくるのです。
画像の赤い矢印で示したところですね。
廿六夜には
高輪で
ちとおさへ
なされ
 ませ

と書かれています。
ちなみに「冴え」とは、遊興や酒宴のことです。

このセリフからすでに天明時代に、七月の二十六夜待ち、高輪で遊興に盛り上がる人が多かったことがわかります。

私メモ/北尾政演は山東京伝の画号なので同一人物です。

two≪絵本東童郎 (えほんあずまわらは)≫ 歌川豊広
1804 年(享和4年)

江戸東京博物館所蔵

閲覧できるサイト
東京デジタルミュージアム(ttp://digitalmuseum.rekibun.or.jp/)
→「所蔵品検索」で「絵本東童郎 (二)」で検索。

私メモ/海の眺望がすばらしい座敷で芸者衆(でしょうか)をはべらせて
どんちゃんしている楽しそうな男性が印象的です。
絵に書かれている言葉は
七月廿六夜 今宵高輪乃茶屋に 男女あつまり 月の出るまで 唄ひ舞ふ 芸者多し
です。

two-5≪卯花園漫録(ぼうかえんまんろく)≫石上宣続(いそのかみのりつぐ)著
1807年(文化6年)

本で閲覧 『日本随筆大成 第2期 23』日本随筆大成編輯部編(吉川弘文館  1974) p11

二十六夜の月に見えるという「三尊」について書かれています。
七月二十六夜は、三尊の仏来迎ましますとして、貴賤おしなべて念珠を手にかけ、月の出るのを拝す。其人々に問へば、少し心ある人は来迎はおがまずといふ。さも有べし。廿六夜丑の刻過ぎの月は、出汐の事なれば、たれ人も宵よりまちまちし、ねぶたき目をして、下弦の月の、横雲にちらちらと、余光のさすを見付、一尊は高く二尊は低くおがまれ玉ふなど云ヘリ。七月廿六夜にかぎり、三尊に見へ玉ふもいぶかし。不断の月の出は何尊なるや。又富士山へ登りし人に、日の出の事を尋るに、皆三尊也といふ。是も高山にて見る日の出は、外に障るものなく、東を近く見るゆゑ、是も横雲の間々へ余光のつよくさすを、三尊とも拝む成べし。月も三尊、日も三尊と思ふもおかし。惣じて日月星などの論説は別にす。

私メモ/興味深いです。廿六夜の月には三尊が現れると当時の人がレジャーとしてではなく、念珠を手にかけ真剣に月の出を待ったことがわかります。 また、中には三尊が見えるということをいぶかしがっている人もいたこと、富士山での日の出でも強い余光を人々が三尊と拝んでいることなどが冷静な目で記されています。

three≪江戸名所図会≫十返舎一九作・画
1813年 文化10年

2_03edomeisozue_jippensya閲覧できるサイト
国立国会図書館
デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/
pid/2533893/11

国立国会図書館デジタルコレクションより(→)

私メモ/上野、日暮里etc.江戸の名所の一つとして高輪が出てきます。
海が見渡せる座敷で三味線を弾く芸者や男性の遊興ぶりがわかります。
わかりづらいかもしれませんが、右から二行目に「廿六夜」の文字が。
アドバイス受けての解読ですが

高輪乃 廿六夜のさかもりに 月も一盃 あかる海つら 花笠 和廣

二階からたかくとまりて みゆるなり 沖行鳥を たかなハ乃茶屋 遠唐沖人
 と書かれているようです。

four≪江戸自慢 洲崎廿六夜≫歌川 国貞(初代)
1819~21年(文政2~4年)
千葉市美術館所蔵

閲覧できるサイト
千葉市美術館所蔵品検索システム(ttp://www.ccma-net.jp/search/)
→「江戸自慢 洲崎廿六夜」で検索。

私メモ/たらいで子供を洗っている女性の背景にある小さな絵(駒絵)が
二十六夜待ちの人気スポット洲崎の風景になっています。
U字型の細い月が海から昇っている様子が描かれています。

five≪江戸名所花暦≫ 岡山鳥著・長谷川雪旦画
1827年(文政10年)

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1174161/238

本で閲覧
『新訂江戸名所花暦』市古夏生・鈴木健一校訂(筑摩書房 2001)p158~161

私メモ/「品川」の項で記述があります。
この地は高輪のほとりよりしてすべて海上の見晴らしなれば、月の出はいつにてもよし。また七月二十六夜には雅俗打ち交りて、月の出の遅き ゆゑにさまざまに興じて、月の登れるを待つなり。その賑はへることひとかたならず。この夜は処々に月待あり。 湯島天神の台、九段坂のうへ、日暮里諏訪明神の境内、その他なほありといへども、品駅(しながわ)をもつて当夜の第一とす。

私メモ/とても興味深い記述です。高輪がNo.1スポットとして、他に湯島、九段坂などが挙げられていますね。また、月を待つ間をさまざまな遊興で盛り上がっていたことがわかります。

six≪江戸繁盛記≫寺門静軒著
1832~36年(天保3~7年)

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2593574/13
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2593574/14
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2593574/15

私メモ/
「品川」の項で
天下第一の巨港
や  
賞月七月(は)則拝月(二十六夜)八月は則玩月(十五夜)
の記述があります。

「二十六夜」の項で
天等更深益来涼露簾捲盡酔風觴一欄共倚両般意客遅月昇娘遅即。
の記述があります。
※レ点他は省いています。觴はさかずきのこと。

seven≪江戸名所図会≫斉藤月岑著・長谷川雪旦画
1834~36年(天保5~7年)

・「高輪海辺 七月二十六夜待」
というタイトルの絵が掲載されています。
2_07edomeishozue_saito

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1176676/143

国立国会図書館デジタルコレクションより(↑)

本で閲覧
『新訂江戸名所図会 1』市古夏生・鈴木健一校訂(筑摩書房 1996)p316~317

私メモ/水平線に光が見えるということは今まさに月が昇ろうとしているところなのでしょうか。となると夜中のはずですが、非常に賑わっています。
舟に乗っている人も多数。「月待ち」と言いながら、月が昇る方向を見ていない人が多いような・・・。

・高輪大木戸の説明もあります。

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1176676/140

本で閲覧
『新訂江戸名所図会 1』市古夏生・鈴木健一校訂(筑摩書房 1996)p311


高輪大木度 田町より品川までの間にして、海岸なり。(私による略)
後には、三田の丘綿々とし、前には、品川の海遙かに開け、渚に寄る浦浪の真砂を洗ふ光景など、いと興あり。

私メモ/三田の小高いところからも海が見えたんですね。

eight≪東都歳時記≫斉藤月岑著・長谷川雪旦・雪堤画
1838年(天保9年)

湯島二十六夜待ちの図」が掲載されています。
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国立国会図書館デジタルコレクションより(↑)

添えられた句は秋涼し 二十六夜の月の色 霜崎

長文の説明があります。

廿六夜待 高きに登り、又は海川の辺酒楼等に於て月の出を待つ。
左に記せる地 は、分て群集する事夥しく、宵より賑へり。
芝高輪・品川此両所を今夜盛観の第一とす。江府の良賎兼日より約し置て、
品川高輪の海亭に宴を儲け、歌舞吹弾の業を催するが故、
都下の歌妓幇簡女伶の属 群をなしてこの地に集ふ。
或は船をうかべて飲宴するもの尠からずして、弦歌水 陸に喧し。
築地海手深川洲崎、湯島天満宮境内、飯田町九段坂、日暮里諏訪ノ社辺、目白不動尊境内、
西南に向て月を看るに便りあしけれど、此辺の輩は集へり。

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8369318/17(湯島の絵)
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8369318/16(上記の説明文)

私メモ/
ちょうど左手に昇ってきた月が描かれていますが、月齢26ではなく半月ぐらいの形ですね。
すずなり状態の人たちの中には子供の姿もあります。みんな手を合わせて拝んでいます。
夜中にこれだけの人が!と思ってしまうのですが、現代の私たちにとっての
「初日の出」のようなものだったのでしょうか。

月の少し右手に建物の屋根が見えますが「浅草」と書かれています。湯島から浅草寺の屋根が見えたのですね。

文章の中の「西南て月を看る」が謎です。
二十六夜の月は深夜に東から昇り、東南の空に移った頃に朝を迎えて見えなくなってしまいます。
なぜ<西南の方角に人が向いていた>の記述があるのかわかりません。

さて、眺めのいい高楼に「松琴亭」の名前がありますよね。
当時の江戸の有名料亭のようです。

松琴亭に関しては興味深い作品あります。
Shokintei『江戸高名会亭尽』歌川広重
1838~40年(天保9~11年)

江戸東京博物館、ボストン美術館、
メトロポリタン美術館(→)ほか所蔵

ボストン美術館所蔵のものはこちら
作品タイトルは「Yushima : The Shokintei」

私メモ/二十六夜を描いた作品ではありませんが、松琴亭がいかに見晴らしのいい場所にあったのかがわかる絵です。

nine≪十二ヶ月の内  文月二十六夜待≫ 歌川豊国(三代)
1854年(安政元年)

閲覧できるサイト
国立国会図書館デジタルコレクション
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1307008/1
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1307008/2
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1307008/3
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国立国会図書館デジタルコレクションより(↑)

私メモ/女性3人がカニ料理などを食べています。 いわゆる女子会ですね。
二十六夜なので月の形はU字型の三日月のはずなのですが、なぜか満月のようなものが見えます。

「江戸食文化紀行 NO89 二十六夜待ち」(ttp://www.kabuki-za.com/syoku/2/no89.html)の松下幸子氏による料理の解説が面白いです。

onezero≪江戸府内絵本風俗往来≫菊池貴一郎 (芦乃葉散人/歌川広重四代) 著
明治38年。

中編 巻之四の七月の章、「二十六夜」の項では「二十六夜まち」の絵が掲載されています。

2_10fuzokuorai閲覧できるサイト

近代デジタルライブラリー
ttp://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767857 から
コマ番号45を選択

芝愛宕山上 廿六夜まち
の文字が見えます。
人々が真剣に海上を眺めています。
昇ってくる月をみつけたのでしょう。立ち上がって指を差している男性がいます。
愛宕山は「山」の名の通り小高いところにありますが、海が見えたというのは驚きです。

近代デジタルライブラリーより(→)

ttp://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767857 から
コマ番号44を選択
に、二十六夜待ちの詳しい説明があります。

本では『絵本江戸風俗往来』菊池貴一郎著(平凡社 1969)が出版されています。

こちらのp149~151から説明部分を引用します。



二十六夜

この月二十六日の夜を二十六夜といいて、
今夜の月の出は三尊の姿に上天すとかいいて、
この三光を拝さばやと人々高台の地、海の眺望をえらみて相集り、時刻を待つ。
その地は、築地海手・深川洲崎・湯島天満宮の境内・飯田町九段坂上・日暮諏訪神社の台・
目白不動尊の境内・芝浦の海岸、
別して繁昌なるは高輪海岸より品川なり。
こは、年中この地第一の賑わいなりしは、天保以前のことなりとかや。
その以来は掛茶屋に月待の客来たり、
茶菓酒肴のみ にて、鳴物手踊・にわかなどの催しは絶えてなし。
品川の妓楼もまた平生と同じくして、客人の繁きのみにて、昔の全盛なる賑わいは全くなし。
また芝なる愛宕山の掛茶店は平日は日暮迄にて、茶汲み女も皆引払いしを常とす。
しかるに当夜に限り夜更くる迄客人を待ことを許されて、軒に提燈など点じて景気を粧うより、
この夜客足多く、武家僧侶の族は多くは当山にて月の出しおを待ち、詩歌・俳句を弄びて楽む。
この近辺なる軍談の講釈席・落語鳴物の寄席等も、月の出る迄演ずること年々同じ。
しかるに天保以前の光景は、いよいよ失せたりと当時の老人語りける。


私メモ/この文献を読むと、二十六夜待ちは天保末以降はすたれていったように読み取れます。
が、歌川広重の絵では天保後半~安政の二十六夜待ちの絵がいくつもあります。
実際はどうだったのでしょう。
『江戸府内絵本風俗往来』は菊地貴一郎が自分が見聞した江戸の行事風俗を記した本ですが、
貴一郎は1849年(嘉永2年)生まれ~1925年(大正14年)没。
天保、弘化は生まれておらず、嘉永、安政もまだ幼少の頃。
「然るに天保以前の光景はいよいよ失せたりと当時の老人語りける」と記しているように
天保以前との比較は伝聞によるものなのですね。


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二十六夜に関しては下記の文献、記事にも紹介されています。

『浮世絵に見る江戸の歳時記』佐藤要人監修 藤原千恵子編集(河出書房新社 1997)
『浮世絵に見る日本の二十四節気』 藤原千恵子編集(河出書房新社 2010)
『江戸年中行事図聚』三谷一馬著(中央公論新社 1998)

雑誌『星ナビ』2014年9月号

  

二十六夜待ちシリーズ その1 その2 その3 その4

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emi (秋田恵美)

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。
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