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2015年1月14日 (水)

ストームグラス(その1)雪華の羽みたい。テンポドロップの不思議。

「雪の結晶ではないけれどすごく綺麗だから贈呈するね」
そんな姉の予告でアマゾンから届いたものがありました。

それは「tempo drop テンポドロップ」という名前がつけられた「ストームグラス」でした。
雫型のガラス容器の中に
透明な液体と半透明の沈殿物がはいっています。
20150114tempo_drop07
この混合液は
水+エタノール+天然樟脳+塩化アンモニウム+硝酸カリウムだそうです。
この沈殿物が日々、結晶化していろんな姿を見せるそうです。

ストームグラスなるものをまったく知りませんでした。
添えられているパンフレットに詳細が書かれているのですが、それを私が要約してみます。

1)ストームグラスは樟脳を含む化学薬品の混合液をアルコールに溶かし、ガラス管に密封したもの。

2)ストームグラスは19世紀ヨーロッパで主に航海時の天候予測器として使用されてきた。
  イギリスのロバート・フィッツロイがストームグラス、温
  度計など一組にしたフィッツロイバロメーターと呼ばれる計器をつくった。

(詳細を調べてみました。下に)

3)ロバート・フィッツロイが1863年に出版した『Weather Book』にストームグラスの記述あり。
 結晶化は気温や気圧、大気中の電位変化に影響を受けて後の天候を予知する。
 雷雨がやってくる方向も読み取れることが記述されている。

(詳細を調べてみました。下に)

4)ヴェルヌの『海底2万マイル』の中でノーチラス号に設置されている機器としてストームグラスが出てくる。

(詳細を調べてみました。下に)

5)結晶化現象には謎が多い。現代では予測器としての実用は難しい。


とのことです。

雫型が美しいです~
スライムやロシアの寺院のネギ坊主やハーシーのキスチョコや
ぴちょんくんが好きな私にはツボ中のツボの形。
20150114tempo_drop08
日なたに置くと光と影が綺麗ですが、虫眼鏡のように焦点が合いそう。
パンフレットにもレンズ効果で火災の危険があるので
直射日光のあたるところには置かないようにと書かれていました。

結晶化するまでには時間がかかるそうです。
室内環境になじんで安定するまでに約1~2週間かかりますと書かれていましたが、
寒い環境のせいでしょうか。
届いた翌日に綺麗な結晶がモフモフできていました。感激~。
以下、結晶画像はクリックで拡大します。

こんな感じで結晶化しました。
20150114tempo_drop09

アップで。
20150114tempo_drop10

シダの葉のよう。

そして星の形のものも浮遊していて
とてもファンタジック。

天使の羽のようにも見えます。

ピュアな白さが素敵。

雪の結晶と違ってすぐ融けないこと、結晶が大きいことも魅力ですね。

この大きな羽のようなものは1.5~2cmぐらいあります。

白い雪をかぶった針葉樹にも見えます。
20150114tempo_drop11
冬のシベリアのタイガのよう。

「スノードーム」ってありますよね。
白い粒が入った容器を逆さにして戻すと、雪が降ったように見えるオブジェ。
あんな感じで、テンポドロップを逆さにして戻すのも楽しいです~。
ふんわりと天使の羽、雪華の一片のようなものが舞ってうっとりします。

雪の結晶を撮る時に使っている「雪眼鏡」をあてて撮ってみました。
↓この画像はクリックで拡大しません。
20150114tempo_drop13_up_2

赤いものを背景にしても素敵ですね。
20150114tempo_drop13_4

「ストームグラス/storm glass」。
訳すと、嵐グラス。
天候を予測するために生まれたからこんな名前なのですね。

まったく知らなかったものだからこそ、調べもの魂に火がついて、いろいろ調べてみました!

前述したパンフレットの要約(通し番号は私がつけました)を自分なりに調べたものをご紹介します。

2)について。
イギリスのオックスフォード大学の附属である
「オックスフォード科学史博物館/MUSEUM of the History of Science」のサイト内で、
ストームグラス、フィッツロイの機器がみられるページはこちら。(2015.1.14現在)

ttp://www.mhs.ox.ac.uk/exhibits/atmospheres-2/air/
ttp://www.mhs.ox.ac.uk/from-stormglass-to-weatherglass/

1800年代のものですね。
樟脳は時が経つと飴色になるそうですが、試験管の中の飴色具合に歴史を感じます。

3)について

ロバート・フィッツロイ(Robert FitzRoy)が
90pxrobert_fitzroy_2
1863年に出版した『Weather Book』を閲覧しました。
ストームグラスに関する記述も確認できました。
英語原文からざっくり抜粋で訳してみますと。
ストームグラスの中身がfir(モミ)、yew(イチイ)やhoar frost(霜)のように結晶化することが書かれています。
結晶の様子に関しては、
南風が吹いている時やその前は、融けた白砂糖のように形がくずれたものになり、
北風(北極からの)が吹いている時やその前は、美しい結晶が見られることなどが記されています。
瓶の中の内容は、camphor(樟脳)、nitrate of potassium(硝酸カリウム)、
salammoniac(塩化アンモニウム)、alcohol、waterとなっています。

4)について
ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)の
『海底二万里(Vingt mille lieues sours les mers/20000 Leagues Under the Sea)』
でストームグラスが出てくる箇所を探してみました。

『海底二万里 上巻』村松潔訳(新潮社 2012)に二か所発見しました。
海底二万里〈上〉 (新潮文庫)

ネモ船長がノーチラス号に海洋学者のアロナクス教授を案内する場面です。

「教授」と、寝室の壁にかかっている計器を指さして、ネモ船長は言った。(私による略)
なかにはご存知の景気もあるでしょう。
たとえばノーチラス号の船内の温度を示す温度計。
空気の重さを計って、天候の変化を予測する気圧計。
空気の乾燥度を示す湿度計。ストームグラスは、
なかの混合溶液が分離することで、暴風雨の到来を予告します。
(p181)

巻末の註で。
ストームグラス 樟脳、硝石、塩化アンモニウムなどを
アルコールに溶かしてガラス容器に封じこめたもので、
結晶や沈殿物の変化によって天気を予報する、十九世紀に用いられた道具。
(p443)

さて、テンポドロップは白い箱に納められていますが、この箱に白い文字(英文)が書かれています。
それがこの『海底二万里』にストームグラスが出てくる箇所なんです。

白い紙に白い文字なので見えづらいので、画像の色を落としてみました。
本文7行目の頭に「the storm -glass」の文字があります。
20150114tempo_drop04_3_2
(赤線で示した箇所です)



さて、ガラスでできている繊細な「テンポドロップ」。
発送方法に不安な方がいらっしゃるかもしれません。
どんな梱包で送られてきたかを紹介します。

(2015.1.12現在の情報になりますし、販売者によって梱包は違うかもしれません。
姉はA-ZONEさんから購入したとのことでした。購入される時にお確かめください)。


Perrocaliente テンポドロップ ミニ Tempo Drop Mini ストームグラス [ TP-02 ] 結晶 オブジェ

アマゾンの42㎝×36㎝×12㎝ぐらいの段ボール箱で届きました。
20150114tempo_drop01

開けると、42㎝×36㎝ぐらいの段ボール板の中央に白い紙袋がビニールで張り付いていました。
そのおかげで、白い紙袋が底に落ちたり動いたりしません。
20150114tempo_drop02

その白い袋を開けると、白い箱がでてきます。
Tempo Dropの文字の下に『海底二万里』からの引用が印刷されています。
20150114tempo_drop03

箱を開けると発泡スチロールの容器とパンフレットが。
パンフレットには、ストームグラスのうんちくと、取扱いの注意などが書かれています。
20150114tempo_drop05

この発泡スチロールを開けると、テンポドロップが現れます!
ガラス製品だからかなり厳重に包まれているのですね。
まるでマトリョーシカを次々開いていくようでした。
20150114tempo_drop06

ストームグラスは円柱型のオーソドックスの形が今でも作られています。
また天気管の名前でも販売されているものがありますね。

テンポドロップはぺロカリエンテさんによるストームグラス。
2つサイズがありますが、姉が購入したこちらは「ミニ」。
ミニには台座がついていません。

ミニと文庫本を並べてみました。
文庫本より4センチほど低いので余裕持って文庫本棚にも飾れます。
20150114tempo_drop15

ストームグラス(その2)はこちら

【雪の結晶と科学】 INDEXはこちら
雪の結晶INDEX(全般)はこちら

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雪の結晶」カテゴリの記事

コメント

emiちゃん
また素敵なもの紹介してくれましたね!
お姉さまのセンスも抜群です!
とっても欲しいのですが。。。
今年から置物系は買わないと心に決めたので
emiちゃんのブログで我慢します(笑)

eriちゃん。
みてくれてありがとう。
とっても綺麗です。天候とは一致しないと思うのですが、日々形がかわるので、手のかからない生き物を育てているみたいな気持ちになります~

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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