雪の結晶を観察した人たち(その12)---チッカリング
雪の結晶を観察した人たちの歴史の中でキラッと異色の光を放っているのがチッカリング。
なぜなら女性だから。そしてペンで描くのとは違う方法で雪の結晶を形にしたから。
その雪の結晶はとても美しく、愛らしく、科学とアートの両面を感じさせる作品となっています。
今回、その画像の使用許可を
「American Antiquarian Society」
(ttp://www.americanantiquarian.org/)からいただきましたので、
貴重な画像とともにご紹介します。
(画像の二次利用はご遠慮ください)
1864 フランシス・イヴリン・チッカリング(Frances Evline Chickering)。
著書『Cloud Crystals; a Snow-Flake Album』で観察した雪の結晶を発表。
人物/アメリカのメイン州ポートランドの牧師ジョン・ホワイト・チッカリングの妻。
生年1809-没年1885。
掲載文献/『Cloud Crystals:a Snow-Flake Album』チッカリング著
詳細/日本でこの本を所蔵している図書館をみつけられず未見なのですが、
少なくとも21種の雪の結晶の形を紹介しています。
雪の結晶を彼女はどんな風に形にしたか。それは描くのではなくて「切り絵」という方法のようです。
出版にあたっては、Richiadson氏がリトグラフにしたそうです。
American Antiquarian Societyの(ttp://www.americanantiquarian.org/adoptagiftbook1)
とポートランドに関するフェイスブック、
Portland Maine History 1786 to Presentを照らし合わせると。
観察方法→暗い色の毛皮や布に雪の結晶を置く。拡大鏡で観察。切り絵にする。
チッカリングはこの方法で200種類以上の形を観察、記録に残したそうです。
本の内容→雪の結晶の切り絵だけではなく、シェークスピア、エマーソンの詩など65篇を引用。
雪の結晶ができる気象条件など科学的な記述もあり、アート本と科学本の両面を持つ本のようです。
以下画像はすべてクリックで拡大します。© American Antiquarian Society
シックな色が素敵です。
チッカリングは学者ではなくアマチュアとしての活動だったようです。
COLLECTED AND EDITED BY A LADY
と書かれていますね。
中央にMrs.J.W. Chickeringとあります。
これはJ.W. Chickeringの妻、という意味です。
J.W.の上に小さくFrances E.と書かれています。
こちらがチッカリングが切り絵で形作った雪の結晶です。
よく特徴をとらえていると思うと同時に、このままクリスマスカードにしたいくらいの美しさを感じます。
1864年といえばまだ江戸時代、文久3年。
一女性が雪の結晶に情熱を傾けていたのですね。
このようなページもあります。
翻訳本/なし。
転載本/『SNOWFLAKE』ケネス・リブレクト著(山と渓谷社 2006)。
p20で雪の結晶7種(上記のものとは別)を紹介しています。
解説文は
「雪の結晶の切り絵。
メイン州の牧師の妻フランシス・チッカリングは、結晶の絵を1864年
、『Cloud Crystals:a Snow-Flake Album(雲の結晶:雪の結晶アルバム』に
載せました。
チッカリングは窓辺に降る雪の結晶を良く調べ、すばやくその形を切り絵に残しました。
と書かれています。
茶色を背景にした白い雪の結晶。
シックで美しいですよね。
切り絵の繊細な針や枝一つ一つをカットしながら、チッカリングはその造形の細やかさに感嘆したんだろうな~と想像できますね。
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