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2015年2月22日 (日)

松屋銀座に架谷庸子さんの作品を拝見しにいきました

2015年2月11日のブログでご紹介した
赤絵の架谷庸子(はさたにようこ)さんの作品を拝見しに松屋銀座に行ってきました。

フェイスブックを通じてコンタクトを取らせていただき、
3月3日までの福島武山 赤絵一門展で作品を展示、今日いらっしゃる
とうかがっていたのです。

お会いした架谷さんははんなりした雰囲気と凛とした雰囲気を併せ持つとても素敵な方でした。
モチーフの愛らしさとデザインのシンプルモダンさ。
細やかな模様を緻密に描く職人性&モチーフ選びや色合いを決める独創性。
この相反するような二つの要素から生まれる素敵な作品のイメージ通りの作家さんでした。

従来の赤絵が<筆を走らせる。ぺったりと塗る>なら、
架谷さんの作品は<エッチング&水彩>と感じたのは、
赤絵細描(さいびょう)というジャンルだったからなのですね。

赤絵細描を復活させたのが福島武山氏。そしてそのお弟子さんの一人が架谷さん。
今回は福島氏の作品と一門の作家さんの何人かの作品が並べられていました。

私がびっくりしたのは、
作品の濃い赤、レンガ色、朱赤、オレンジ色、ピンクがかった色に見えるところのすべてが同じ「赤」の顔料だということ。
水で薄める濃度で色が違ってみえるというのが驚きでした!!

実演もしてくださいました。
架谷さんと松屋銀座さんのご了承を得て、写真とともにご紹介します。

こちらが赤絵の顔料。ベンガラというものが使われています。
20150222hasataniyokosan01_2
ベンガラは弁柄と書くから日本語のようですが、
実はインドの言葉なんですよね。
もとは「ベンガル」。
江戸時代に天竺(ベンガル)からきたからベンガラと呼ばれた、
と以前、日本の伝統色辞典で見ました。

使用される筆です。(いつも使われているものの一部)
上から4番目は金を塗る時の筆とのこと。
20150222hasataniyokosan02_2

リズミカルに走る筆。白い小皿に花が咲きました。
20150222hasataniyokosan03_2
中央の花芯が赤。まわりの花びらがピンクがかってみえますが、
同じ赤絵の具からうまれています。

ルーペなどは使わず肉眼でおこなうそうです。
20150222hasataniyokosan04


2つめの花です。
まず*を書いて、中心に●を置いて、
20150222hasataniyokosan05

周囲に6つの●を加えていかれました。
20150222hasataniyokosan06

3つの花が咲きました。

20150222hasataniyokosan08
同じ赤絵の具なのに、水で薄める具合だけで
こんなに色合いが違っているのがびっくりですね。

右側の箱におさめられたのは「型」です。
黒い○は架谷さんご自身が桐墨で描いたもの。
20150222hasataniyokosan09
この型を押し当てるとそこに黒い○が転写され、
下書きの線となるわけです。
その上を赤絵の具をつけた筆でなぞるわけですね。
焼くとこの下書きの線は消えてしまうそうです。

フリーハンドで描かれたり、作品によってはこのような型を用いられるそうです。
雪華柄も型を使って描かれたのだとか。

左側の袋に入ったはちみつ色のビーズに見えるものがアキフ。
ゼラチンのようなもので、赤絵の具を溶く時にこちらを混ぜるそうです。

描いて、焼いて、その上に色を重ねてと何回も工程を経て仕上げられます。
こちらは一度焼いた後に淡く色を重ねていらっしゃるところ。
20150222hasataniyokosan13

展示されていたこちらの作品も同じ工程でできているのですね。
花の上にほわっと色が重なっている様子がわかります。
20150222hasataniyokosan14

水色の絵の具はガラス質のものが入っていて、少し浮き上がっています。
赤絵の部分は手で触れてもデコボコを感じませんが、
水色の部分はあきらかに立体感がありました。
20150222hasataniyokosan15

雪華紋の平盃にも再会。
同じ赤絵の具でこんなに色のグラデーションが生まれるなんて本当に不思議。
20150222hasataniyokosan10

20150222hasataniyokosan11
金をはさんで上の赤と下のサーモンピンクも同じ赤絵の具。

やっぱり不思議~。

赤絵細描の作品が手がかかることがとてもよくわかりました。
以前、古典文様の本で江戸時代からの雪華柄として紹介されていたのをご覧になったのが、雪華柄を描かれたきっかけだとか。

雪華柄は少しずつアイテムが増えるかもということでしたので、
いつかお皿を手に入れられたらいいな~と思います。

こちらは書道で墨を薄める時に使う「水滴」。
20150222hasataniyokosan17
お花のような丸のほかに四角や三角が並んでいて、
ラブリー&スタイリッシュ。

差し色の水色も効いてとても素敵でした。

プロフィールも撮らせていただきました。
20150222hasataniyokosan16


場所は松屋銀座7階。三越寄りの一角です。

3月3日までとのことですが、
デパート内の展示会の最終日は作品の搬出などで、クローズ時間が早まることが多いですよね。
お時間などご確認ください。

このブログ内で架谷庸子さんの作品に関する記事は

架谷庸子 site:http://hoshi-biyori.cocolog-nifty.com/star/

で検索くださいませ。

念願の雪華紋のお皿も後日手にいれました~。

【雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶INDEX(全般)はこちら

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コメント

emiさん


架谷庸子さんの作品展を見に行かれたのですね☆

>ルーペなどは使わず肉眼でおこなうそうです

私は、こちらにも驚きました!!!

精密な幾何学模様の様な。。。何か定規?とか必要なのではと思ったのですが

全て手書きなのですね。。。しかも肉眼で。。。


御見逸れ致しました☆

そうなんです。ルーペなどを使わずに描いていらっしゃいました。
すべて手描き。
水の薄め具合で色が変えられる=同じ色を再現したい時はまったく同じ水の量でないと色が変わってしまう
わけですから、大変デリケートな工程なんだわとあらためて感じました!

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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