架谷庸子さんの赤絵の雪華紋、タイムスリップして土井利位侯、鷹見泉石に見せてあげたいです
過去にタイプスリップできたら誰に会いたいと思いますか?
織田信長?坂本竜馬?
私は天保時代にタイプスリップして
土井利位(どいとしつら/古河藩の殿様)と鷹見泉石(たかみせんせき/古河藩家老)に会いたいです。
そして架谷庸子(はさたにようこ)さんの雪華紋の器をお見せしたいです。
2014年4月24日のブログでご紹介した赤絵の若手作家、架谷庸子さん。
土井利位が描いた雪の結晶をモチーフにした雪華紋の美しさに一目ぼれして、ネットで他の作品も拝見。
雪華紋をはじめとする作品をご紹介できたらいいな~と思っていました。
先日、コンタクトを取らせていただいて、有り難くOKを頂戴いたしましたので、
お借りした素敵な作品の写真とともにこのブログでご紹介します。
さて、今から180年ほど前に蘭鏡(顕微鏡)で雪の結晶を観察して、
『雪華図説』『続雪華図説』を著した土井利位。その雪華は当時ブームとなり、浴衣の柄にもなりました。
また、土井利位は蒔絵師、原更山(はらさらやま)、
別名原羊遊斎(はらさいゆうさい)に雪華模様をモチーフにした工芸品を作らせ、
それを将軍家や大名に献上&贈答したことも。
(代表的なものが古河歴史博物館や静嘉堂文庫に所蔵されている雪華蒔絵印籠です)
ですので、土井利位も自分の描いた雪華がモチーフとなった工芸品というのは生きている間に目にしているわけです。
でも雪華の良さをうまく引き立てている作品として、
架谷庸子さんの赤絵の雪華紋は、当時の名高い原羊遊斎の作品と並ぶ素晴らしさだと思います。
当時の将軍や大名が享受できるのと同じ満足感を現代人の庶民が味わえるって素晴らしいことだな~と思います。
と、前置きして。では、いよいよ、ご紹介しましょう。
(以下の画像はクリックで拡大します)
こちらが、架谷庸子さんの平盃雪華紋です。
美しいです~。細い線と、赤のやわらかなグラデーション。
ぺったりと塗り込むのではない、ほわっとした色合い。
華やかさを添える金の輝き。
土井利位の雪華の可憐さ、繊細なタッチがとても活きています。
盃の外側は。
ボーダーと高台のところに並ぶ菱形模様がモダン。
去年、高島屋で架谷さんをはじめとする若手赤絵作家さんの作品を拝見するまで、
「赤絵」って「和」が強いものって思っていました。
習字の朱墨のような「赤」で鳳凰のようなものが描かれていて、
コントラストの効いた緑色が使われていて・・・。と。
筆のタッチではない、リトグラフのような線。
赤と緑の力強さ、ではない赤系グラデーションのやわらかい色調。
筆でぺったり、ではなく水彩でぼかしたような色付け。
小紋のような北欧デザインのようなスタイリッシュなデザイン。
どれもが目からうろこでした。
雪華紋の作品をもう一つご紹介しましょう。
2015年3月14日に開通する北陸新幹線の金沢駅の待合室やホーム。
壁に丸窓がいくつもしつらえてあり、石川県のさまざまな伝統工芸品が飾られているそうです。
(2015.3.27追記
石川県のHP内「金沢駅/伝統的工芸品探訪」でこの作品の設置場所が案内されています。
直接のURLはttp://www.pref.ishikawa.jp/shink/kanazawaeki/detail/227.htmlです)
その一つに架谷さんの赤絵雪華紋もあると知り、そのお写真もお借りしました。
こちらです。
はめこむ前の作品は。
うっとり。
私恒例の土井利位雪華との対応をしてみましょう。
左上からG1、K3、A6、R8、R3、L2、N9ですね。
(通し番号は古河歴博物館発行の図録「雪の華」の雪華一覧表にならっています)
モノクロの線画が美しく色づけされたことで、
花のように見えたり、実のように見えたり、
雪華のフォルムのバリエーションがより印象強くなっていることがおわかりいただけると思います。
素材が木や布ではなくて、硬質の陶器というのもいいんでしょうね。
暖色系でラブリーながらもクールでスタイリッシュという絶妙のバランス。
金が浮かび上がってみえて華やかですね。
土井利位だからというわけではなく、日本の「雪華紋」としてモチーフに使われたそうです。
それだけ、土井利位個人のものではなく、
180年以上、この国で伝統的な柄として土井雪華が広まり生き続けているということですよね。
架谷さんの雪華紋以外の作品も素敵です。
椀皿 赤絵更紗紋。
水色、若草色、黄色が使わていますが
やはり従来の赤絵とは違う爽やかな色合い。
お皿に並ぶ半円がとてもリズミカル。
そばちょこ マメハナ。
小紋のようにならぶ小さな六花と四角。
スイスや東欧の赤い刺繍ブラウスのよう。縁取りもレースのようでキュートです。
そして。こちらの作品にもしびれました。
九谷焼作家が絵付けしたウルトラマンアートシリーズ。
架谷さんもエレキングとバルタン星人を手がけたそうです。
く~。エレキング、ラブリーすぎます。しびれます。
バルタン星人。りりしいです。
底にはシリアルナンバーが入っていますね。
架谷さんの作品から赤絵と土井雪華の新たな魅力を感じさせていただきました。
(2015.2.22追記)松屋銀座に作品を拝見しに行ってきました。こちらに。
このブログ内で架谷庸子さんの作品に関する記事は
架谷庸子 site:http://hoshi-biyori.cocolog-nifty.com/star/
で検索くださいませ。
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コメント
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架谷庸子さんの赤絵の雪華紋、とても美しいですね!!!
ため息が出ました。。。
emiさんのブログは、未来永劫残って欲しいです♪
そして、もしタイムマシーンが出来たら。。。
emiさんに 土井利位さんと鷹見泉石さんに会って欲しいです。
(さん付けで宜しいでしょうか^^)
架谷庸子(はさたにようこ)さんの雪華紋の器をお見せしたら
とても喜ばれるでしょうね!!!
何だか、沢山の元気を頂きました☆
魂の込められた作品とは(emiさんのブログも)、こんなにも
人の心揺さぶるのですね。。。
emiさんのブログ自体、美術館と言うか博物館と言うか。。。
とにかく素晴らしいので、
きっと、土井利位さんと鷹見泉石さんも お空の上から覗いていらっしゃると
思います。^^
投稿: おんぽたんぽ | 2015年2月16日 (月) 17:29
おんぽたんぽさん。
架谷さんの作品、素敵ですよね~~~。
ブログをほめてくださりありがとうございます!
おんぽたんぽさんがおっしゃるように、空の上から土井利位侯と鷹見泉石さんがみてくれていたらいいな、気づいてくれたらいいなあと思います
投稿: emi | 2015年2月16日 (月) 23:09