江戸時代のガビチョウシリーズ(その5)江戸時代の輸入の記録
画眉鳥シリーズ。もう少ししたらリンクをつけたり整理しようと思います。
今回は画眉鳥が江戸時代に輸入されていた記録資料のご紹介です。
「唐通事会所日録」に記されています。
※あくまでも私自身の調べですので、もっと古い文献があるのかもしれません。
※四拾三番と書かれているものを43にする、読み方を加えるなど自分がわかるように表記に変えています。
最初に持ち込まれた記録は宝永5年(1708年)の4月22日です。
中国(当時の清)から船で持ちこまれました。
◆宝永5年(1708年)4月22日◆
同22日、43番船(寧波船(にんぽうせん))より持渡候ぐわび鳥一羽構において落申候(以下私による略)。
※欄外に43番寧波船持渡のぐわび鳥死す の注釈あり。
(『大日本近世史料 唐通事会所日録 4』(東京大学出版会 1984)p358より)
◆宝永6年(1709年)3月20日◆
同20日、(私による中略)30番船(寧波船)よりぐわび鳥(頬白)1羽、
31番船(南京船)より金雀鳥(かなりや)1羽持渡候(以下私による略)。
(『大日本近世史料 唐通事会所日録 5』(東京大学出版会 1984)p137より)
◆宝永7年(1710年)閏8月26日◆
御用物役高木忠榮より鳥類の礼銀を渡さる
と注釈が書かれているところで
いろんな鳥にまじって画眉鳥の名が。
9番船(寧波船)
一 同15斤1箱、画眉鳥(頬白)1羽代
11番船
一 同15斤1箱 画眉鳥 1羽代
15番船(南京船)
一 同15斤1箱 画眉鳥 1羽代
(『大日本近世史料 唐通事会所日録 5』(東京大学出版会 1984)p287より)
◆宝永7年(1710年)9月25日◆
同25日、高木作右衛門殿より錦鶏、相思鳥、画眉(頬白)・孔雀・砂糖鳥、
この五色の出所・飼様唐人共へ聞合、書付1通ならび和ケ、
共に今日中に遣候様にと申来候に付、則遂吟味、
段々書上候通唐人共へ吟味仕、書付1通認させ(以下私による略)
欄外に 忠榮の命により鳥類の出所飼育法を記し提出す
(『大日本近世史料 唐通事会所日録 5』(東京大学出版会 1984)p301より)
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画眉鳥は少なくとも300年前に日本にもたらされ、
そしてごく一部の人かもしれませんが、
あの鳴き声を耳にし、白いアイラインの顔立ちを見ていたのですね。
<寧波船について>
さて、画眉鳥を運んできた寧波船(にんぽうせん)って何?と調べてみました。
中国(当時は清の時代)の浙江省の寧波からの船のようですね。
寧波船の絵は長崎県平戸市の(財)松浦史料博物館所蔵の「異国船絵巻一巻」で見ることができます。
ネットでは2か所で閲覧できます。
●長崎県のHP。長崎県の文化財→エリアでさがす→県北地区→異国絵巻一巻
リンク切れになるかもしれませんが直接のURLは
ttp://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/398
●日本財団図書館HPで企画展「平戸藩主 松浦家と海展」解説書で検索
→第1章 代表的資料写真とその解説
リンク切れになるかもしれませんが直接のURLは
ttps://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/00253/contents/0001.htm
画眉鳥の自然分布について、国立環境研究所の侵入生物データベースでは
「中国南部、海南島、台湾、香港、ベトナム北部、ラオス北部」となっています。
浙江省も中国南部といえば南部になるのでしょう。
『錦窠禽譜(きんかきんぷ)』伊藤圭介の中のガビチョウも「浙江産」と記されています。
<高木作右衛門について>
上記の唐通事会所目録に高木作右衛門の名前がでてきて、
画眉鳥調べが進んでいる私は、「おおお、あの家ね」と思いました。
この人名は『外国産鳥之図』の資料を調べる中で目にしていました。
『舶来鳥獣図誌』磯野直秀・内田康夫解説(八坂書房 1992)p107から抜粋要約します。
高木家は江戸時代の長崎の代官や町年寄をつとめた家柄で、代々作右衛門を名乗っていた。
長崎に渡来した外国の産物を幕府に通報する役割を命じられ、
鳥獣については絵を江戸に送ることになった。
『外国産鳥之図』↓内の画眉鳥の絵、素晴らしいと思います。
ガビチョウシリーズINDEXはこちら
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