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2015年8月27日 (木)

ガビチョウシリーズその他(その1)中国の文献、絵ほか

画眉鳥の原産国は中国。日本には江戸時代に中国から輸入されたことが記録に残っています。

今回は中国の文献にあらわれる画眉鳥のご紹介を。(深追いをせずざっくりと挙げてみます)
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◆辞書◆
まず中日辞典に画眉鳥は出てくるのでしょうか。でてきました。

中国語で画眉鳥は「画眉」と書いてhuamei。発音はフアメイ。

『中日大辞典』(愛知大学 1987年)から抜粋。
鳴き声はゆったりとしていてあやがあり、飼育愛玩に適する。また雄鳥を闘わせたりする。

◆絵◆
「写生珍禽図」宗徽宗 (趙佶)。
北宗の第8代皇帝、徽宗(きそう)(1082~1135年)が描いた作品です。
Soukisou

畫眉鳥、と読めます。
モノトーンながら、目のまわりの白いアイラインがしっかり描かれていて、
ちょっと感動~です。

「三友百禽」明初期1413年。辺文進(1356年頃~1428年頃)が描いた作品です。
国立故宮博物院のHPで見ることができます。
日本語HP(ttp://www.npm.gov.tw/ja/)→故宮参観→展示情報→これまでの展覧→三友百禽で検索。
リンク切れになるかもしれませんが直接のURLは
www.npm.gov.tw/exh99/bian_wenjin/jp_01.html
竹の根元にあるNo.25が画眉鳥です。

2か所でアップが見られます。
1つめは左上の「展示作品の様式と技法」の「明 辺文進 三友百禽 軸(部分拡大)
2つめは左上の「鳥たちの生態」のベニバト
のところに画眉鳥が。
全身は描かれていないのですが、目のまわりを白く囲った特徴あるアイラインが描かれています。

◆詩◆
北宗の詩人、欧陽修(1007~1072年)は「画眉鳥」という題の詩を書いています。
(1047年頃に詠まれたもののようです)
百囀千声随意移
山花紅紫樹高低
始知鎖向金籠聴
不及林間自在啼


『全宋詩』第六冊(北京大学出版社出版 1992)p3686より。

このままだとわかりづらいですよね。

『春の詩100選』でありがたいことに詳しく解説してくれています。

百囀(ひゃくてん)千声(せんせい) 随意に移る
山花(さんか)は紅紫(こうし) 樹は高低
始めて知る 金籠(きんろう)に鎖(とざ)されて聴くは
林間(りんかん)自在に啼くに及ばざるを

ほおじろは美しい声を幾千幾百となく響かせて、自由気ままに飛び移る。
山に咲く赤い花から紫の花へ、木々の高い枝から低い枝へと。
この地に来てみて、かつて聴いた鳥籠に閉ざされたほおじろのさえずりが、
森の中で自由気ままに枝から枝へと飛び移りながら鳴く声に及ばないことを、
はじめて知った。


私メモ/画眉鳥をほおじろと訳されていますが、画眉鳥のことと思います。
最初の一行。
~百のさえずり 千の声が思いのままに移りわたる~
ジャズの技巧派のインプロビゼーションか、と思わせる画眉鳥の歌声を見事に表現していると感じます。

解説によると。
この詩は1049年、欧陽修が41歳の時の作品。
2年前の1047年に滁州(安徽省)に左遷され、滁州の豊かな自然のもとで作られた名作の一つのようです。

以上、引用は『春の詩100選 漢詩を読む』石川忠久著(NHKライブラリー 1996)p131~132より。

なお、この詩は日本に伝わり、江戸中期、正徳2年(1712年)に出された『和漢三才図会』他で紹介されています。

◆図鑑・辞典◆
『三才図会(さんさいずえ)』。明の王圻 (おうき)撰。成立・・・序は万歴35年(1607年)。
鳥獣二巻に「画眉」が登場します。
China_sansaizue3

「眉畫」と書かれていますね。
鳥の絵をアップで。
China_sansaizue5_2

あまりガビチョウっぽくないような。漫画のような絵ですが、
解説文には
China_sansaizue2

眉を画いた如く、で画眉鳥なのですね。
欧陽修の詩が引用されています。

画像は国立国会図書館デジタルコレクションより。
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2574391/51
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2574391/52

『潜確居類書(せんかくきょるいしょ)』明の陳仁錫(ちん じんしゃく)纂輯。
出版年は不明ですが陳仁錫が(1579~1634)
彼が編纂した『宗元通鑑』が1626年であることを考えると『三才図会』より後でしょうか。
China_senkakukyoruisho
画像は国立国会図書館デジタルコレクションより。
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2580399/104

見比べてわかるとおり、『三才図会』と似た記述が並びます。
ただ、この本を曲亭馬琴が引用しているところが注目です。


『四生譜』の第三集はタイトルがズバリ「画眉譜」
清の金文錦撰。成立・・・序は康煕54年(1715年)。
画眉鳥の絵は写実というよりは漫画調。
China_shiseifu

アップで。
China_shiseifu2

とろんとした目が黄桜のカッパのよう。

国立国会図書館デジタルコレクションより。
ttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2557721/10

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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