江戸時代のガビチョウシリーズ(その4)高木春山は画眉鳥を描いたか
江戸時代に『本草図説(ほんぞうずせつ)』(天保3年~嘉永4年/1832年~1852年頃か)
を著わした高木春山(しゅんざん)。
春山は画眉鳥を描いたか。 取り上げたか。
早速調べてみました。
『本草図説 動物』高木春山著 荒俣宏 奥本大三郎監修(リブロポート 1989)には画眉鳥の絵はなし。
『本草図説 8 鳥』高木春山著 林知左子編(岩瀬文庫 2010)にも画眉鳥の絵はありませんでした。
いずれも『本草図説』に収録されている膨大なスケッチの中からの抜粋のようです。
上記リブロポート版に興味深い記載をみつけました。
巻末の「本草図説動物目次一覧」。
春山の直筆と思われる鳥獣の名前の羅列に明らかに「画眉鳥」と読める一行があるのです(p115)
「本草図説補遺巻之五」の「ヘルベルデール」のあと、「火鶏」の前です。
岩瀬文庫で『本草図説 補遺巻之五』の原本を閲覧しなければ確かめられません。
早速岩瀬文庫さまに問い合わせしてみました。
一個人の調べものにお手を煩わせてしまうのは恐縮だったのですが丁寧なご回答をいただきました。
「本草図説補遺巻之五」の画は、ヘルベルデールの次は火鶏となっており、
目次には名の記載があっても実際に画眉鳥のスケッチは収録されていない そうです。
『本草図説』は春山存命中には未完成だったために、目次に名前があっても画がないもの、また画が遺されていても何を描いたのか判別不可能なものがあることをご教示いただきました。
高木春山による画眉鳥のスケッチがないのはとても残念なことです。
でも、ロマンもたかまります。
1)目次に挙げたけれど春山は画眉鳥を描いていない
2)未発見なだけで春山は画眉鳥を描いた
さて、真実はどちらでしょう。
もし2)の場合
春山の画眉鳥が今後発見されるかもしれませんし、
別の人による「春山の画眉鳥」の模写スケッチが発見されるかもしれません。
もしかしたら、私が江戸時代の画眉鳥のスケッチをまとめたこの中のどれかが春山による画眉鳥の模写だったりするのかもしれません。
逆にここに取り上げた画眉鳥の絵を春山が模写した可能性もあるのかも。というのも、
『舶来鳥獣図誌 博物図譜ライブラリー 5』(八坂書房 1992)に興味深い記述があるからです。
磯野直秀氏・内田康夫氏による巻末の「『唐蘭船持渡鳥鳥獣之図』と『外国産鳥之図』」という解説です。
高木春山の『本草図説』には『外国産鳥之図』に瓜二つの絵が17点存在することがわかりました。
しかも興味深いのは画眉鳥の名が目次に掲載されている「補遺巻之五」には3点あります。
ただ磯野氏内田氏によると『外国産鳥之図』からの模写ではなく、原本は別にあるのではとのことです。
(p130参照)
いずれにしましても、春山の描いた雪の結晶やぼうふり
(江戸時代の顕微鏡シリーズのこちらをご参照)
が好きな私は、いつか画眉鳥by春山に出会えたらいいな~と願っています。
ガビチョウシリーズINDEXはこちら
いだ
« チェシャ猫やスマイルマークやAmazon、そして象牙 | トップページ | 2016年の月の満ち欠けカレンダーのミニコラムを書かせていただきました »
「 鳥見るシアワセ」カテゴリの記事
- 薬師池公園(町田市)は大名庭園のような風情(2024.05.25)
- 2024年春の里山ガーデン(その6)東入口の鯉のぼりと菜の花と四季の森公園。カワセミも!(No.11)(2024.04.29)
- 2024年の桃源郷と幸せのイソヒヨドリ(2024.03.26)
- オナガの子、かわいい~。オミジカでした♪(2020.07.19)
- ミチョペチョと鳴くウグイス。これがウグイスの谷渡り。(2020.07.18)
« チェシャ猫やスマイルマークやAmazon、そして象牙 | トップページ | 2016年の月の満ち欠けカレンダーのミニコラムを書かせていただきました »
コメント