馬琴と画眉鳥シリーズ(その4)馬琴の『禽鏡』と『不忍禽譜』の画眉鳥の絵が同じ
パソコンを修理に預けていた時もあり、1か月以上ブランクがありますが、画眉鳥シリーズです。
当初1ケ月だけ調べ物をする予定が4ケ月以上経った今でも続行です。
今日は馬琴が編纂した鳥図鑑『禽鏡』(天保5年)と、屋代弘賢の『不忍禽譜』(天保4年)の画眉鳥の絵について。
2つの絵がそっくりなんです。
こちらが『不忍禽譜』の画眉鳥。国立国会図書館デジタルコレクションより。
こちらが『禽鏡』第三巻の画眉鳥。東洋文庫所蔵(画像の二次利用はご遠慮ください)
ほぼ一緒ですよね!
考えられるのは3つ。
1)『禽鏡』が『不忍禽譜』の画眉鳥の絵を模写した
2)『不忍禽譜』が『禽鏡』の画眉鳥の絵を模写した
3)『禽鏡』も『不忍禽譜』も同じ画眉鳥の絵を模写した
どれでしょう? 調べてみました。
まず
<屋代弘賢(やしろひろかた)について>
江戸時代の国学者。(1758-1841)。通称は屋代太郎。源弘賢の名もあります。
曲亭馬琴(滝沢馬琴)は1767年生まれですので馬琴より9歳年上です。
<馬琴と屋代太郎の接点は>
馬琴の日記や書簡を読むと、馬琴と屋代は交流が深いことがわかります。
屋代太郎が馬琴の家に行ったり、本を貸し合ったり。
屋代太郎から鳥をもらって馬琴が飼ったことも日記に記されています(文政10年3月15日ほか)
ただ、残念ながら
馬琴の日記や書簡に屋代太郎との画眉鳥の絵や鳥類の本の貸し借りのたぐいの記述はみつけられませんでした。
ではありますが、二人とも好事家が集まる耽奇会、兎園会のメンバーであることがわかりました。
耽奇会(たんきかい)・・・珍奇な古書が、古器物などを持ち寄り、考証を加え論評しあう会。
兎園会(とえんかい)・・・奇事異聞を披露しあう会。
(↑国立国会図書館のttp://www.ndl.go.jp/exhibit60/copy2/2kenbun.htmlを参考)
となると、耽奇会、兎園会に誰かが画眉鳥の絵を持ちこみ、それを馬琴や屋代が転用したとも考えられます。
<耽奇会、兎園会の記録を調べると>
耽奇会の記録は『耽奇漫録』に、兎園会の記録は『兎園小説』に残されていました。
結論からいいますと、私が調べた限り、画眉鳥の絵はこの二つの会の記録に出てきませんでした。
ですがいくつかの鳥の絵が耽奇会で披露され、情報が共有される様子がわかりました。
杜鵑(ほととぎす)、仏法僧、善知鳥など。
あくまでも私の推測ですが画眉鳥のスケッチも馬琴か屋代、どちらかが好事家仲間から仕入れ、共有しあったのではと思います。
参考文献
『耽奇漫録 上』『耽奇漫録 下』吉川弘文館(1993 1994)
『兎園小説』吉川弘文館「日本随筆大成シリーズ」より
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