田毎の月(たごとのつき)シリーズ(その6)秋の田んぼに月が映ることあるかも
久しぶりの「田ごとの月シリーズ」です。
まず、こちらは広重の「信州更級田毎の月」(嘉永6年)の一部分です。
国立国会図書館デジタルコレクションより。
田んぼの一つ一つごとに月が映っている様子を「田ごとの月」と言うのですが、
そんな眺めは現実にあるのか、シリーズで探ってきました。
以下は私が出した結論です。
1)同時にいくつもの田んぼに月が映るのか→☓。
私が確かめたのは棚田ではなくて、平地の田んぼですが、
それぞれの田んぼに同時刻に月が映るということはなかったでした。
2)「田ごとの月」が秋の季語。秋の田んぼに月が映るのか→×。
生育した稲に月は映らない。刈り取り後の稲株が並んだ田にも映らない。
田んぼに月が映るのは田植え前の水を張った田んぼか田植え直後の苗が小さく並々と水がある田んぼ。
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というわけで、秋の稲穂が実った田んぼに月は映らない
と思ったのですが。
刈り入れ後の田んぼに水が溜まった状態ならありえるかも! です。
というのは、こちらは11月27日の田んぼ。
稲がすべて刈り取られて、稲株(でしょうか)が残る田んぼを昼間訪ねたら。
前日の雨で水びたしのような感じ。
水面に太陽が反射していました。
これだけ水があれば、月も映るだろうと思いました。
(この夜は仕事があり、田んぼにチェックしにいくことができませんでしたが)
そして
人家の明かりも外灯もない山の中の真っ暗闇だったら、
「水」ではなく「稲穂」を照らす月の光であっても反射して見えたのかもしれません(あくまで想像)。
江戸時代、芭蕉や広重が訪ねたのは暗闇の中の田んぼだろうから。
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推測はここまでにして、あらためて10~11月の田んぼの様子をご紹介します----
10月20日。
すべての田んぼの刈取りが終わっています。
架掛けされた薄茶色の稲のあちこちにブツブツが。
ズームすると。
雀です。
こいつら、可愛い顔してギャングのよう。
↑ ハードボイルド、宍戸錠そっくり。
クリック拡大してご覧いただけましたら!
遠慮なく稲に足をからませ、籾をむさぼっています。
次に、こちらが「秋の田んぼに月が映るかも」と思った11月27日の田んぼです。
刈り取った稲株がまた生育しているのか、青々としています。
前日の雨でまるで初夏の田んぼのようですが、奥に黄色く色づいた銀杏があるので秋だとわかります。
まるで春の田んぼ。このまま育てて二毛作ができるのかしらと思うほど。
田んぼを照らす太陽。キラッキラですが、画像の加工処理はしていません。
デジカメで撮ったままの画像です。
田ごとの月シリーズ
1 浮世絵(広重)
2 my写真。田んぼに映る月(6月。田植え前)
3 俳句(芭蕉、蕪村、正岡子規ほか)
4 童話(後藤楢根)、絵本(野田知佑 文・藤岡牧夫 絵)
5 my写真。田んぼに映る月(8月~9月)
6 my写真。。秋の田んぼに月は映るか。10~11月の田んぼの様子。
7 広辞苑では
8 田ごとの月ならぬ、田ごとの太陽
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コメント
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こんにちは。
このお話、江戸時代の水田耕作の実情という点では色々と考えさせられますね。冬場に水田に水を張っておくことを「冬期湛水」というのですが、江戸時代に果たしてどれ程の地域でこれが行われていたか、という点が気になります。
つまり、冬場に麦を植えて二毛作が行われていた水田では当然その時期に水は張らないので、こうした景観にはならないことになります。会津など北の方では冬期湛水が奨励されていたという記録もあるそうなので、そういう地域ではあり得る景観ということになるのですが、二毛作を行いやすい南の水田ではあまり見られない景観だったのかな、という気もします。確かに広重が描いているのも信濃という比較的冷涼な地域ですよね。
投稿: kanageohis1964 | 2015年12月10日 (木) 09:50
kanageohis1964さん。こんにちは。浦賀水飴のことを詳しく知ることができてありがとうございました。
その後もブログを訪ねてくださりありがとうございます!
水田では冬期湛水というものがあるのですね。
また、二毛作だとすると秋にあらためて水を張ることはありえないのですね。
とても興味深いです。
棚田一つ一つに月が映るのは「イマジネーション」で現実ではないにしても、江戸時代の姥捨て山で広重ほかがどんな風景を見たのか気になります。
彼らが訪ねた時が刈り入れ前だったのかあとだったのか、直前に大雨はなかったのか、現地に冬期湛水の風習があるのか、つきとめていけたら面白いなと思いました。
投稿: emi | 2015年12月10日 (木) 18:01
こんにちは!!
稲の刈り取った後、またのびてきて、場合に寄っては、2度目の収穫をすることもあるようです、
大抵は秋の内にすき込んでしまいます。稲孫とも言いますね。
稲孫、穭(ひつじ・ひつち・ひづち)とも・・二番穂ともいいますね。
田んぼは、穭田(ひつじた)といって、俳句などにもよく使われますよ
投稿: からからこ | 2025年11月30日 (日) 17:54
からからこさま。
刈った後の伸びている稲の呼び方を教えてくださりありがとうございます。
今まで呼び名があることすら気づいておりませんでした。
稲孫、もしくは穭田で、秋の季語にもなっているのですね。
ちょっとニュアンスは違いますが、ネギなど根本のそばで切ったものを水につけておくと再生するみたいな感じなのでしょうか。
自分が気づいたことにちゃんと呼び名がある。すなわち、古くからそれを認識している人たちがいたということ。
言葉のおもしろさを改めて感じました。
稲孫、穭田を知ることができてとてもうれしいです。ありがとうございました。
投稿: emi | 2025年11月30日 (日) 19:27