きらきら星 と なんて素敵な世界なんでしょう!!(その1)
音楽の教鞭をとられているのですが音楽だけではなく、
仏像、絵画をはじめとする芸術に造詣が深い先生がいらっしゃいます。
その方に教えていただいて、「
なんてキュートなの!!」と目がハートになってしまったのが
絵本『すばらしいみんな』。すばらしい みんな
ボブ・シール & ジョージ・デヴィッド・ワイス さく
ティム・ホプグッド え
アーサー・ビナード やく
タイトルでピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、
ある名曲をアーサー・ビナード氏が日本語に訳している絵本です。
出だしは。
♪もりのみどり はなのあかも だれのものか? ふとおもう
すばらしい みんなのもの
2番のはじまりは。
♪おぎゃ~とないた あかんぼはせかいのたびに しゅっぱつだ
もう、おわかりの方も多いでしょう。
サッチモの愛称で親しまれ、
しゃがれた声が魅力のルイ・アームストロングが歌った
『What a wonderful world』 の世界を表現した絵本なのです。
絵。とてもキュート。クレヨンかパステルのようなタッチ。コラージュ風のようでもあり。
見ていてハッピーになる絵です。
少し、紅茶「カレル・チャペック」の山田詩子さんのテイストにも似ています。
文。アーサー・ビナードさんによる訳がすっばらしいのです!
直訳ではないけれど、原文のスピリットをより濃く表現しています。
やわらかい言葉づかいも、メロディーに添うようなシンプルな言葉で。
ですので、ページを開きながら、
「この素晴らしき世界」のメロディーをビナードさんの言葉で口ずさめてしまえるのです。
直訳ではないけれど。と書きましたが本当に目からうろこでした。勉強になりました。
原題の「What a wonderful world」は直訳すれば「なんてワンダフルな世界でしょう」。
日本では通常「この素晴らしきこの世界」と訳されています。
それもナイスだと思うのですが、
ビナードさんは「すばらしい みんな」と訳しています。
よりシンプルに、ぎゅっと凝縮させて。
訳すという行為は、言葉尻の正確さも大事だけど、
その原文の裏にある「感覚」「テイスト」を活かすことも大事。
そのために直訳にならなくて意訳になってOKなんだ。
とあらためて感じました。
この絵本のあとがきで、ビナードさんは、こんな風に記しています。
英語のWonderfulを日本語に訳すとき、よく「すばらしい」という単語がつかわれる。
ただ、そのもととなるwonderは「不思議」の意味が中心にあって、
満ちあふれるほど「ワンダー」が「フル回転」だから「すばらしい」と感じられるわけだ。
ビナードさんに触発されて、直訳ではなく、
原詩から自分が感じたスピリットをタイトルにするのなら、
「ピースフル」が私が感じたスピリット。
私だったら、「What a wonderful world」は「当たり前の奇蹟の中で生きている」とか「いとおしい世界」かしら。
周りの人に赤ちゃんが生まれたら、
「あなたをみんながあたたかく迎えているんだよ」と伝えるために、
また、この世界の一員になった赤ちゃんが瞳を少しでも曇らせずにすむように、
「ひどい世界に生まれてきた」と嘆かせないように、
自戒をこめて、この絵本をプレゼントしたいなと思います。
自分を包むまわりの世界、花が咲く、青空が広がる、
あたりまえのことがすばらしく感じられるのって、
本当に心が満ちている時だったり、絶望のどん底から抜け出した直後だったりすると思うのです。
この世界は素晴らしいものだけでは構成されておらず、
いろんな罪、醜いもの、悪、俗あるけれど、
それでも人生の終わり、花が咲いたり、青空がひろがったり、
夜には星が輝いたり、新しい若葉や命が生まれるこの世界を、
すばらしい、いとおしいと見まわすことができたら本当にしあわせだなって思います。
さて。
「この素晴らしき世界」といえば、
私が超イチオシなのがビギンのアルバム『一五一会ドライブインシアター』8曲目の
「WHAT A WONDERFUL WORLD」。 ビギンの一五一会 ドライブ・イン・シアター[洋楽カバー編]
英語で歌っています。
ビギンが開発したというギターと三線のような楽器「一五一会」の音色もアコースティック。
まるで野原に楽器を持ち出して歌っているのかな。
鳥が鳴いて、花がさく野原でひなたぼっこして、そよ風をあびながら。
そんな風に感じるくらい。のどかさにあふれた作品になっています。
重厚な和音という構成ではなく、そよ風に音がぽんぽんて乗っかっているような感じは、
暗い空に星がポツポツ瞬いているような感覚でもあり。
ぜひ、星空を仰ぎながら、また眠りに着く前にベットで目を閉じながら楽しんでいただたきた楽曲です。
(その2)に続きます
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