『君の名は。』(その3)小説版を読みました
夢中になったらいつも一気。
『君の名は。』第三弾です。その1、その2はこちら。その4はこちら。
小説版を読みました。
小説 君の名は。 (角川文庫)
映画を観たあと、読むといろんなことが確認できますし、すごくおすすめです。
小説は三葉、瀧かどちらかの1人称で語られています。
つまり三葉(中身も三葉)、三葉(中身は瀧)、瀧(中身も瀧)、瀧(中身は三葉)の4パターン。
そこで『戦争と平和』トルストイ著を登場人物をラインマーカーで色分けして読み進めたみたいに、
三葉はサーモンピンク
三葉(心は瀧)はグレー
瀧は水色
瀧(心は三葉)はからし色
で塗り分けてみました。
↑からし色とグレーが交互の場面。
映画を観ていることもありますが、三葉なら必ず「私」、瀧なら必ず「俺」だから4通りの判別は簡単です。
ラインマーカーを塗り分けるため、まずざっと全体を読み。
その後、
水色とからし色のところだけを拾い、瀧目線で一連の流れを読みました。
次にサーモンピンクとグレーのところだけを三葉目線で拾い読み。
映画では三葉と瀧が交互に交錯するためにわかりづらかったことが
一人の人物の時間軸だけで追うとわかりやすくなります。
二重奏のような構成もよくわかりました。
たとえばバイオリンソロ、フルートソロ、そんな掛け合いを繰り返し、
時々、同時に音を鳴らしたり、片方のメロディーの続きをもう片方の楽器が奏でたり。
そんな楽曲を味わっているような読後感。
以下、ネタバレなので黄色い文字で。
小説本での発見は。
1)映画の最初。三葉が目をさまして、四葉が部屋にやってくる。
あの場面の三葉は中身が瀧だったのですね。
その直後、朝食の場面での三葉はあきらかに本物の三葉なので、上記の場面も三葉自身と思いこんでいました。
2)四葉は入れ替わりに気付いていた?
おばあちゃん、三葉(中身は瀧)、四葉でご神体へ口噛み酒のお供えに行く場面。
まゆごろうの名前が出ます。
三葉(中身は瀧)は「誰?」と尋ね、四葉に「え、知らんの? 有名やよ」と言われます。
組紐作りの時、三葉(中身は三葉)は四葉の前でまゆごうろの大火の話をしているので知らないはずはないのです。
四葉は「おねえちゃん、忘れちゃったの?」となるはず。
それが「知らんの? 有名やよ」。
目の前の人が三葉ではないと四葉がわかっている証拠ではないでしょうか。
3)カフェめぐりも建物チェックのためというくらい建築に興味があった。
瀧は高2の頃から建築に興味があったのですね。
だからこそ、糸守時代のことを想い出す時に街の風景や建物を描く、という手段になったのですね。
4)なぜ瀧という名前の設定なのか。
苗字ではなく、名前としては珍しいですよね。「瀧」はさんずいに龍。
神社が出てくる話ですし、龍神と関係あるのでしょうか。
「瀧」の名の由来に触れている箇所はありませんでしたが、
糸守に龍神伝説があったことが記されていました。p240
5)小説版は、彗星墜落から5年後の三葉(東京でOL)、瀧(就活中)の心情が丁寧に描写されています。
大切な何かを忘れているような、誰かを探しているような気持ちが。
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『君の名は。』は運命の恋愛成就の物語ではありますが、忘れてしまう残酷さについて考えさせられます。
恋愛ではないけれど、赤ちゃんとまわりの大人の関係もそうですよね。
私たちは赤ちゃん時代に親やまわりの人に愛情を注いでもらったことを覚えていない。
大災害もそう。
その当時はメディアの報道にくぎ付けになってサポートしなければ、となるのにいつのまにか忘れてしまう。
大切なのに忘れてしまうこと、のせつなさを感じました。
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コメント
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emiさん
私も、「君の名は」観てきました☆
スゴイ!小説に色分けとは。。。
そこから何かが見えてくる洞察力も、さすがemiさん♪
糸守に龍神伝説があるのですね。
お姉さまのお名前が、「星」にちなんでるとお聞きし、ビックリ!
>二人が入れ替わり、時が進む。組紐作りと同じなんですね。
なる程。。。
何だか、emiさんと一緒に映画を観ている気分になりました。^^
どうもありがとうございます!
森遥子さんの本も、読んでみます♪
投稿: おんぽたんぽ | 2016年10月19日 (水) 19:40
おんぽたんぽさんも『君の名は。』ご覧になったんですね!
小説は色分けにして読むとよくわかりましたよ~♪
私もおんぽたんぽさんとあの、彗星が大きく放物線を描くあの場面を、いろんな場面を共有できてうれしいです♪
投稿: emi | 2016年10月19日 (水) 20:24