雪の結晶を観察した人シリーズ(その17)トーマス・ベドウェル
世界で貴重資料のデジタル化が進み、雪の結晶に関する文献がガンガン発掘できています。
学術文献のデータベースのEBSCO(エブスコ)のサイト内で興味深い記事をみつけました。
(ttps://www.ebsco.com/blog/article/seeing-snow)
そこには私が知らなかった雪の結晶のスケッチが3つもありました!
早速、説明文を頼りに、それぞれのスケッチについて刑事(デカ)のように調査開始!
今回はThomas Bedwell(トーマス・ベドウェル)(※1)についてです。
1789 トーマス・ベドウェル(Thomas Bedwell)、
アメリカの雑誌『The Columbian Magazine, or Monthly Miscellany』で雪の結晶のスケッチを12種紹介。(※2)
人物/アメリカの画家、版画家。(生没年不明。活動時期1779-1795)(※3)
掲載文献/『The Columbian Magazine, or Monthly Miscellany』1789年3月号
詳細/銅版画で10種の雪の結晶が描かれています。
(この画像はクリックで拡大します)
「Observations on Snow(私メモ/雪の観察の意)」という記事内の結晶図です。
左上の2つは肉眼で見たもののスケッチのようです。
いろんな形をかき分けていますが、ありえない五花、八花の形も描かれています。
雪片の輪郭が、虫の脚のようにもしゃもしゃしているのが気になります。
※1に関して。
「Observations on Snow」の記事はベドウェルとは違う人が執筆。
その書き手は精巧な銅版画を仕上げたベドウェルに感謝しています。
となると2つの推測が浮かびます。
1)ベドウェルが観察&スケッチ&版画→執筆者がそれを記事内に掲載。
2)執筆者が観察&スケッチ→ベドウェルが版画に仕上げた。
どちらかは私にはわからず。
ですのでこの(その17)の観察者をトーマス・ベドウェルとしましたが、
違う可能性もあります。
※2に関して。
1789年は発表年です。
※3に関して。
生没年はアメリカ議会図書館HPで調べました。
アメリカ議会図書館のHP内にて、
Thomas Bedwellの作品である
「View of a pass over the South Mountains from York Town to Carlisle」があり、
このページの注釈に
Bedwell, Thomas, active 1779-1795, artist
と記されています。
最初は1779年生まれ1795年没と思ったのですが、そうだとすると雪の結晶銅版画は10歳の時の作となってしまいます。
ほかの人の生没年の記載と違うところはactiveという一言があることに気づきました。
そこで、生没年は不詳。活動時期は1779年から1795年と解釈しました。
ベドウェルのプロフィールは
American Antiquarian Society(アメリカ古文書学会)
(ttp://www.americanantiquarian.org/)の
pdfファイル「The Catalogue of American Engravings」
(ttp://www.americanantiquarian.org/proceedings/44525145.pdf)にもあります。
イラストレーターと彫工(ENGRAVERS APPEARING) 、2つの欄に。
pdfファイルの22/136と30/136です。
ここでは、fl.1779-1795と「active」のかわりに「fl.」が記されています。
fl.はfloruitの略であることがわかりました。
在世期、活躍期という意味のこの言葉。
生没年がわからない時に生きている痕跡のある記録の時期を示したり、
芸術家の場合は活動時期を示す言葉であることがわかりました。
つまりベドウェルに関していえば、
「生没年は不詳。活動時期は1779年から1795年と」いう解釈で間違いないことがわかりました。
翻訳本/なし。
ネットで閲覧/
アメリカの「Internet Archive」内で閲覧可能。
直接のURLはttps://archive.org/details/columbianmagazin31789phil
p223/922に「Specimens of Snow(私メモ/雪の標本・見本の意味)」として上記の結晶図があります。
【3.雪の結晶と科学】 INDEXはこちら
雪の結晶INDEX(全般)はこちら
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