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2018年12月23日 (日)

14代今右衛門作の雪文にうっとり(その1)

「雪輪」文様。素敵ですよね。

笹や松などにこんもり積もった雪の形を模したとか、
ボタン雪をかたどったとも言われる雪輪。

室町時代の小袖にも雪輪が描かれたものが残っています。

桃山時代の「斜縞銀杏葉雪輪散らし模様胴服」。
Photo
画像提供:東京国立博物館

江戸時代の浮世絵「瀬川菊之丞 娘道明寺/勝川春章」の一部分。
E0019783
画像提供:東京国立博物館

重なりあう輪で描かれることが多い雪輪。
雅びな美しさがありますね。

大好きな雪輪が、さらに好きになったきっかけは。

雪の結晶を撮っていたら、

溶けかけのものが雪輪のようなギザギザになっていたこと!
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Snowflake1102111525
↑これは携帯&ルーペで撮ったものですけれど
肉眼でも充分にギザギザの形は見えました。


以来、「雪輪」の文様は積もった雪やボタン雪の形だけではなく、
肉眼で見た雪の結晶(溶けかけ)をかたどった、
ということもあるのかもしれない、と私は推測しています。

さて、雪輪以上にときめくのが「雪華紋」。

江戸時代(天保)に古河藩の殿様土井利位(どいとしつら)侯が顕微鏡で雪の結晶を観察。
そのスケッチ集「雪華図説(せっかずせつ)」を出版しました。
その雪華は着物の柄や刀の鍔ほかいろんなものにあしらわれ、
当時、雪華ブームを起こしました。

雪華紋として紋帳に取り上げられ、
平成の今、普通にみかける雪の結晶グッズにも
土井利位侯の雪華紋はいくつもみつけることができます。

江戸時代の終わりに刊行され、今なおロングセラーを続ける鈴木牧之の『北越雪譜』や
世界的な雪の研究家として知られる中谷宇吉郎博士の著作にも
土井利位侯の雪華が掲載されているのも後押しになっているのかもしれません。

20150103muji_snowflake0_02
↑無印良品で数年前「雪華」として販売されていたスタンプ。
土井利位侯の描いた雪華そのもの。

190年ぐらい前に描かれた柄が図案として生き続いているのですね。
というわけで、日本人は雪の結晶をもっとも愛する民族の一つだと思います。

雪の白さが持つ清らかさ、
大雪は豊年のしるしと思われていたこと、
雪の結晶が花に似た形であること、
桜のように、咲いてすぐ散る(溶ける)はかなさ。

日本人が元来持っている美学と雪の結晶がマッチ、
科学機器の発達で知った雪華の造形としての美しさ。
それが琴線に触れたのだと。
(家紋に似ているのもなじみを感じるポイント

私も雪の結晶に魅せられた一人
素人ですがライフワークとして
雪の結晶そのものと、
この国で培われてきた雪の結晶にまつわる文化について調べています。

と、前段が長くなりましたが。
14代今右衛門氏は
雪の結晶をちりばめた器もつくられています。
「雪紋(ゆきもん)」と呼ばれる作品たち。
その作品をHPで拝見して、一目ぼれ。

東京・青山の今右衛門ギャラリーを訪ねました。

瞬時に魅せられました

デジカメを持参しておらず。スマホで撮影させていただきました。
ブログでのご紹介も快く承諾してくださいましたので、
繊細な色合いが再現できていないのですが、ご紹介させていただきます。
(以下、画像はクリックで拡大します)

雪文グラス&色絵薄墨墨はじき雪文星形皿。
バカラとのコラボ。素敵♥
Imaemon1

墨はじきという技法が使われています。
「需要無形文化財 色鍋島 今右衛門」のHP(ttps://www.imaemon.co.jp/)→
→「十四代今右衛門」→「墨はじきについて」を拝見しますと。

墨はじきは江戸期から鍋島でよく使われてきた白抜きの技法なのですね。
墨で文様を描き、その上で染付を塗ると、墨で描かれたところは絵の具をはじく。
その後素焼きの窯で焼くと、墨が焼き飛び、墨で描いたところが白抜きの文様として現れるという。

白抜きで浮かび上がるのは、雪の結晶にぴったりの技法ですね!

帯留め。ペンダントにされる方もいらっしゃるそうです。
Imaemon5
グレーに淡いペパーミントグリーンが綺麗です。

ぐい飲み。ピンボケになってしまったので、小さい画像でご紹介。
Imaemon6
内側は白ですがそこに同じ白で雪の結晶が一片描かれているんです。
お酒が注がれている時は気づかないでしょう。
飲んだ後、あれ! ここにもとわかるぐらいささやかな白on白。
その粋さがたまりません~。

つづいてご紹介するのは盃。
雪輪が好きで雪の結晶好きが心を奪われないことがありましょうか!!
ハートを射抜かれました~

Imaemon2
藍色に白い雪の結晶。宵や夜明けの空に舞う雪のよう。

ひっくりかえさせていただくと。
ぼかしのような藍色と雪の結晶がとても情緒があります。

土井利位侯の描いたこの雪華と形が一緒!というわけではないのですが、
雰囲気が近いのは、
土井利位侯がそれだけ雪の結晶の普遍的なフォルムを描けていたということでもありますね。
Imaemon3

グレーの盃。
淡いペパーミントグリーンの色がアクセント。
グレーもなんともいえない奥深い色で、少しグリーンがかっているようにも見えます。
Imaemon4

私の勝手なイメージですが雪が降る時の曇り空のよう。
しんしんとしておごそかな空気が伝わってくるようです。

特に魅せられたこの盃2つと、ぐい呑み。
素敵・ほしい・素敵・ほしい・・・

私はこの想いにあらがうことができるのでしょうか。
つづきはその2

【4.雪の結晶とアート】INDEXはこちら
雪の結晶INDEX(全般)はこちら

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emi

  • プラネタリウムでのヒーリング番組制作に携わった後、現在は 土井利位侯の「雪華図説」をライフワークとして調べ中の図書館LOVER。月に魅せられ、毎日、月撮り。月の満ち欠けカレンダー(グリーティングライフ社)のコラムも担当。              興味対象:江戸時代の雪月花、ガガーリン他。最近は、鳥にも興味を持ち始め、「花鳥風月」もテリトリーとなっています。   コンタクト:各記事のコメント欄をご利用くださいませ。コメントは私の承認後、ブログ内に反映される仕様にしています。公表を希望されない方はその旨をコメント内に明記くださいますようお願いいたします。
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