U18の試合。マウンドに立つ仁王、西くんが私のMVP
野球。韓国・機張で行われたU18の日本代表の試合をずっとテレビで視聴。
8月30日から9月7日まで9日間で8試合という超過酷な日程。
テレビで視ているだけでも一喜一憂して身体に力が入って、
9月1日ぐらいにへろへろになり、視てているだけでこんなに疲れるのだから、
試合をしている選手たちはいかに大変かを思い知りました。
まして、今回は天候不良で、中断で待たされたり、雨の中濡れながらの試合も多かったですし。
私の中で大会MVPは西純矢。 (以下選手名敬称略)
韓国戦。まさかの佐々木朗希の1イニングで降板。
で、予想外の急きょ登板になったと思うのですが、気迫が違いました。
マウンドに立つ姿が仁王。
外野へヒットを打たれたり、ワイルドピッチで進塁を許す場面もありました。
それでもマウンドに立ち続ける姿には
「僕が佐々木のかわりがつとまるかな」なんて不安そうな様子は微塵もなく。
何があっても自分が投げ切るんだという凄まじい気迫がありました。
実際、ワイルドピッチのあとに三振を取っていました。
「ゾーンに入っている」ということでしょうか。
何かを超越してしまっているような立ち姿&ピッチング。
その後、機転を効かしてピッチャーフライをワンバウンドで獲って1塁に投げた時、
野手がダブルプレーになる意図で動けなかった場面でもいらつきやがっかりをみせず。
マウンドに立つってこういうこと。
投手はマウンドに立ち続けるのが仕事。
全身全霊でそれを体現しているように思えました。
すべてを背負う覚悟の気迫がビリビリと伝わってきました。
レフトの守りについた時も、ホームへの神返球で韓国に追加点をあげない大ファインプレー。
投手、野手、打者として大活躍。
韓国戦でのマウンドに立った姿は今思い出すだけでも鳥肌ものです。
準MVP
飯塚脩人
どんな場面で登板が回ってきても、なぜこんな投球ができるんだ!と思うメンタルの強さ。
奥川恭伸の後でも堂々と遜色のないピッチングが圧巻でした。
ボールが当たってしまった球審を気遣うところにも性格がみてとれました。
宮城大弥
過酷に登板がまわってきた一人。
韓国戦でのライトからのドストライク・バックホームも素晴らしかったです。
韓国の選手イ・ヒョンジョンの頭に死球、の時も印象的でした。
一塁に立ったイ選手に宮城が頭を下げたら、イ選手も帽子を脱いで頭をさげました。
大丈夫ですよ、と伝えるかのように。
死球の際、日本では投手とファーストが相手に頭を下げるのは当たり前のことですが、他の国はどうなのでしょう。
プロほか死球で乱闘が起きたり、報復死球があったりする中で。
国が違った選手同士のこの対応。
韓国戦はすさまじい試合で互いにファインプレーも幾度も。
死闘をしている好敵手。互いに相手をリスペクトする気持ちが自然にあの行動に出たのかしら、なんて思いました。
石川昂弥
韓国戦とオーストラリア戦はつらいものになってしまったかもしれません。
彼の悪送球とは言い切れないものも。
その打撃でJAPANを勝利に導いてきた功労者。
抽象的ですが、のびやかで実直。
そのプレーをこれからも見たいです。
森敬斗
過酷な日程の大会中、今日は調子が悪いという波が一番少ないように思いました。
コンスタントに活躍するどころか、どんどん上向きに適応して乗っているような。
3塁打の前にランナーがたまっていなくてタイムリーにならず、と惜しかった場面もありますし、
さっきのヒットが、この満塁の場面で出たらよかったのにという場面もありましたが、
不動のリードオフマン。
過酷な日程で、スタメンフル出場。誰よりも打席に立ち、走り、生還。
その鋭さがほぼ鈍ることなく。
大柄ではない身体ですが、スタミナや気力がみなぎっているのでしょう。
打席や塁上の姿に溢れる気迫。
西が仁王なら、森は猛禽類の気迫。
打席で相手キャッチャーのマスクを拾ってあげるシーンがテレビで映りました。
日本ではあたりまえの光景ですが海外ではやっていないのでしょうか(テレビで映っていないだけ?)
国際大会だからこそ、日本の野球であたりまえのことをやってくれてうれしくなりました。
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上記に挙げたうち4人 西 宮城 石川 森がこの夏の甲子園非出場組。
7月に各都道府県の大会で負けて「高校球児」としての野球が終わったはずの彼らに
「高校球児」として輝ける日々がもう一度用意されるu18。
なんという有意義な大会なのでしょう!!
7月に甲子園出場の夢が破れても、次のステージのために技術を磨き続けた彼らも素晴らしいです。
4月に日本代表の第一候補の合宿もあったようですが、
たとえ甲子園に出ていなくても、その能力が素晴らしければ代表に選ばれるチャンスがある。
選手の選出をされる方達の目利きも素晴らしいと思いました。
奥川をはじめ、坂下、熊田、武岡、韮沢、遠藤、水上、池田、前、浅田、林、横山、山瀬、鵜沼、佐々木。
どの選手もプレッシャーと闘って、踏ん張って。
日本中の誰よりも濃い、彼ら自身も人生で一番濃い10日間を過ごしたのではないでしょうか。
U18(2019)の選手の進路は大学、プロ、社会人と分かれるのでしょうけれど、
この20人の今後の活躍を追いたくなりました。
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大会唯一の不満は加熱する奥川佐々木報道。
今日は登板しないという時でもベンチの様子で映すのはこの2人の顔ばかり。
もっとその日の試合に出ている選手の顔を映してほしいのに。
新聞でも試合で活躍した選手より、この2人を取り上げてがっかりでした。
確かに奥川はカナダ戦、素晴らしかったです。
私は8月26日の壮行試合(神宮球場)を現地で見ました。
佐々木、テレビでみる以上に脚が高くあがることにびっくり。
ピッチングは確かに圧巻でした。
でも、でも、韓国戦。1イニング降板はほかの投手に負担がかかりすぎ。
彼自身、「また血豆が」と言えないくらい追い込まれてしまったのでしょうか。
42kmのフルマラソンで序盤にものすごいスピードでトップを走り、
その後失速したり棄権したりするランナーがいますが、
一番大事なのは序盤たとえ後ろで目立たなくても、完走すること。ゴールでトップになること。
と思うのです。
1イニング限定でもほかの誰もができないピッチングができる佐々木は凄いです。
でも、強豪ではない野球部で120km前後の力の投手が、強い打者に立ち向かう。
160kmよりも弱い武器だけど、打たれてもへこたれず、
緩急や制球力やフォームやスピード以外のあらゆる面も磨いて、自分の武器で立ち向かう。
ぼろ負けすることがあるかもしれないけれど、それでも次の試合に臨む。
そんな姿も同じくらい尊いなと思いました。
↓8月26日の壮行試合(明治神宮球場)のセレモニーで。
左から坂下主将、森副将、奥川副将、石川
明治神宮球場からの眺め。
五輪スタジアム、美しいカーブの建造物。
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