素敵な言葉(その8)ーーーご来光(ごらいこう)
今年の初日の出はご覧になりましたか。
夜明け前の寒さの中で待ち、1年の最初の日の出を尊いものとして拝む。
初日の出の風習は意外や意外、江戸時代中期以降に広まったものと言われているようですが、
日本人が陽の光を尊ぶ気持ちはある言葉にも表れている気がします。
それは「ご来光」。
登山を楽しむ方の醍醐味の一つが夜明け前に山頂に立ち、ご来光を待って見ることだとうかがいます。
↑ 数年前、1月1日にテレビでの初日の出中継画面を撮ったものです。
まったく同じ画面をFB仲間も撮っていらしてうれしくなりました。
人物ではない「光」の現象に「ご」という丁寧語をつける。
太陽を「お天道さま」と呼ぶのと同様、
「ご来光」には日本人の太陽へのありがたみが現れている気がします。
「ご来光」を広辞苑第七版で調べてみると。
p1108にこんな記述が。
ご来光
①高山で望む荘厳な日の出の景観をうやまっていう語。「━を拝む」
②ご来迎③に同じ
ご来迎
①来迎の尊敬語
②玩具の1つ(以下の説明は私による略)
③高山の日出、日没時に前面に霧がたちこめる時、
陽光を背に立つと自分の影が霧に投影され、
影のまわりに色のついた光の輪が浮かび出る現象。
弥陀が光背を負って来迎するのになぞらえていう。
ヨーロッパでブロッケン現象、または
ブロッケンの妖怪などと称するもの。
ご来迎③も興味深いです。
日本では弥陀が光背を背負って来迎、と神々しく感じている現象がヨーロッパでは妖怪なのですから。
太陽が東の空から顔を出す。
太古から繰り返される当たり前の日課。
それだけなのにありがたみを感じる私たち。
↑ 山の上でもなくごく普通の住宅街。
元日でもなくただの普通の日。
地平線や水平線ではなく、東の建物の上。
であっても朝日の光の放射は「ご来光」と呼びたい神々しさ。
昨日までがリセットされて、新たなキャンバスに向かうみたいに、
「新しい一日を頑張ろう」っていう気持ちになるから不思議です。
※ちなみに。
◆太陽や太陽光を愛でる言葉はみつけられていませんが、高緯度の地域の人々にとって太陽は特別なもの。
冬が厳寒で夜が長く太陽光が乏しいからです。
冬至は太陽の復活を表し、その喜びは格別。
ロシアでは2月にマースレニッツァという太陽の復活を喜ぶ祝祭がおこなわれます。
◆1990年頃に読んだ本の知識なのですが、
日本の缶詰のメーカーが砂漠の国に輸出する時、トレードマークの朝日の絵を缶詰に印刷しない別バージョンを作っていたとか。
砂漠では太陽は過酷な環境をもたらすものの象徴で、太陽の絵はよろこばれないからだとか。
現在もそうなのかは不明ですが、
灼熱すぎて、太陽光をありがたいものと思えないという環境ゆえに、太陽光を愛でる言葉がない、というお国もあるのだろうと思います。
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