しびれる『葬送のフリーレン』(その2)第10話。アウラとの対決に忠臣蔵を思い出しました
以下ネタバレになります。
第11話はまだ視ていないのですが、第10話にぐっときました。
(うまく文章を要約できなくて、だらだら書いています。少し時間をおいて整理しようと思います)
師匠なフランメがフリーレンに教えたことは、一生をかけて体外に放出する魔力を制限すること。
魔族に対して、強くない魔法使いだと誤認させること。
フランメが魔法をリスペクトしているというのが端々から伝わってきます。
この戦い方を「誇り高き魔法を愚弄した卑怯で最低な戦い方だ」とフリーレンに語り、
「だから魔法を愚弄するような卑怯者は私たちだけでいい」と語るところからも。
フランメは人間の場合をこう語ります。
「地位や財産で偉いやつがきまる。人の偉さはわかりづらい。だから着飾って見た目でわかるようにする」
はっとさせられる言葉です。
魔族が自分の魔力を制限できないときくと、制限すればいいのにと思いますが、
魔族にとっては魔力が強いものが偉い。人間にとっての地位や財産と同じく、尊厳そのもの。
地位や財産のある人間が一時的におしのびでみすぼらしいなりをして城下町に降りることもあっても、
すすんで、地位や財産を捨てようと思わないのと同じことだ、と言われるとなるほどと思います。
なるほど、魔族はおろかだ。と思うと同時に、なるほど人間はおろかだと思わせられます。
フランメは、魔族は誰よりも魔法が好きなのにおのれの魔力に縛られている、と哀れみます。
アウラとフリーレンが対峙する場面が圧巻。
フリーレンがアウラがいかに鍛錬をしてきたかを認めるのもいいなと思いました。
「あふれだすアウラの魔力から伝わってくる。アウラが500年以上生きた大魔族であること。
その生涯を鍛錬に費やしたこと」
アウラはフリーレンが放出する魔力の小ささに、フリーレンがだらだら生きてきたと思います。
私の勝ちよ。と歩み寄るアウラ。
だが、その時、二人の魂を乗せた天秤はフリーレンの方に傾き始め・・・。
フリーレンは
「私は生きてきた時間のほとんどを魔力を制限して過ごした」とアウラに淡々と語り始めます。
アウラは「私は500年以上生きた大魔族だ!」と剣を抜くのですが、
ここからの映像が圧巻。
「アウラ。お前の前にいるのは千年以上生きた魔法使いだ!」
普段はゆらゆらとフリーレンの体のまわりに立ち上っていただけの陽炎のような弱い魔力が
白い火柱のようにアウラのまわりを取り囲む。
長い年月って1000年以上だったの?と私はびっくり。
フリーレンこそ、気が遠くなる年月をいかに鍛錬をしてきたのかがわかる場面です。
このあと、アウラが服従の天秤のせいでもあるのでしょうけれど、「自害しろ」のフリーレンの言葉に従って自害。
けっして、「だからって何。魔力が強い方が勝ちなわけじゃない」とかルールを撤回したり開き直ったりはしません。
フランメやフリーレンが魔法を大切に思い、それを鍛錬する過酷さがわかっているのと同時に、
アウラも不器用にも正攻法であり続ける。その描き方が秀逸だと思いました。
そして、ふと『忠臣蔵』を思い出しました。
昔日本テレビで放映された大石内蔵助(里見浩太朗)の『忠臣蔵』がとりわけ好きなのですが。
赤穂浪士たちは、ずっと機が熟するのを待っています。
それまでは、まわりからなんで仇討ちをしない。昼行燈とばかにされ、なじられても。
目的達成のためには鍛錬を続ける。長い月日を根気強く待つ。そのあいだはどんなに過小評価されてもブレない。
そんな姿が重なります。
だからこそ、フリーレンが封印を解いて1000年の魔法使いの本当の魔力をアウラに見せたシーンや、赤穂浪士が討ち入りを果たした場面に共通のカタルシスを感じるんだと思います。
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コメント
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emi♪さん
葬送のフリーレン、私も見てます。
“静か”なんですよね。。フリーレン。
淡々として。。。
本当に強い人で、静かで淡々としている方、いらっしゃいますよね。
先日、キツネが静かに佇んでる写真を、北海道の友人が撮って送って
くれたのですが
獲物を狙ってる時だったんです。
私、ビックリして。。相手に気づかれないよう気配を消す
と言われれば、それまでですが、人間の私の目からは
獲物を狙ってるようには見えず、フリーレンと似てるな
と思いました。
投稿: おんぽたんぽ | 2023年12月11日 (月) 11:33
おんぽたんぽさん。
コメントをお寄せくださってありがとうございます♪
おんぽたんぽさんもご覧になっていらしたのですね!
フリーレン、淡々としていて、まさに、静か ですよね。
静かにたたずんでいる狐が実は獲物を狙っている時だった。
というお話はとても興味深いです。
狐の目とフリーレンのまなざしがかさなりました。
白いコスチュームに水色のマフラー。
そのフリーレンのいでたちも、静かさを感じさせますね。
いつもいろんな発見をくださり、ありがとうございます。
投稿: emi | 2023年12月11日 (月) 18:30