この2月、しびれたTVドラマ。「エマージェンシーコール」第4話と「雲切仁左衛門ファイナル」の最終回。
今まで物心ついてから数多くのTVドラマに夢中になりましたが、
私のテレビドラマ視聴史上、一番の神回、神シーンと言っても過言ではないのが、
フジテレビ「エマージェンシーコール」第4話です。
放映から2週間経っていますが、4回以上録画を見直しています。
最初見た時は号泣~。
今なお、見なおすたびにうるっと来ますし、
一ノ瀬楓くん、すごいすごいすごい、と思ってしまいます。
以下ネタバレ含みます。
何がすごいって、月9、ゴールデンタイムのテレビドラマで長回し(でしょうか)。
同じシーンで、ほぼ一人を映すのみ。
妻の父が倒れたという119通報を受ける一ノ瀬くん。
AEDを用意するよう電話口で指示し、
妻が戻ってくると妻に父親の心臓マッサージをするように指示します。
その場面。倒れた父親とかの画面に切り替わらないのです。
ずっと一ノ瀬くんの顔しか映りません。
なので一ノ瀬くんと同様、私たちも電話だけで相手の様子を想像するという追体験をすることになるのです。
途中、119通報を受けるほかの管制官たちが一瞬一瞬、映る場面はありますが、
ほぼ、一ノ瀬くんの顔のアップ。しかも目元だったり。
革命的というくらい。深夜ドラマなら実験的に、また映画ならありえるでしょうが、
テレビドラマで8分超、ほぼ一人の役者の顔を映すだけ、なんて今までかつてあったでしょうか。
ここでの一ノ瀬くん(役名は余呉くん)、
本当にリアリティがあります。
電話越に、一緒にマッサージをやるため、
「1,2・・・」と掛け声をかけます。
父親のマッサージをする女性が途中、「1,2・・・」の掛け声をせず、
父親に意識を取り戻してほしくて、いろんな呼びかけをしてしまうので(ドラマとわかっていても切迫感すごいです)、
掛け声がずれたりすると、
一ノ瀬くんの方がそれに合わせなおしたり。
最後の方は、あきらめかける女性に、
「イチニ、イチニ」と声をかけ続け、励ましつづける一ノ瀬くん。
そのひたむきさに涙腺決壊。
ずっとずっと、「イチニ」が続く緊迫感。
もうドラマを超えていました。
父親の呼吸が戻ったとわかった時、
「そうしたら、もうね、心臓マッサージやめてもらって大丈夫ですから」。
と言うのですが、
この「もうね」とかがセリフを超えているといいますか、
本当に一ノ瀬くんが「役になり切っている」ということを超えて
ピンチにいる人を救って、安心させてあげる人そのものになっているんです!
(全然うまく説明できなくてすみません)。
録画を3回ぐらい見直していた時は毎回、ストーリー展開はわかっているのに、すごいすごいと感動して、
4回めぐらいからは、どんな風に撮影しているのかが気になりはじめました。
電話口の相手は実際に目の前に役者がいて、それでやりとりをしている?
それともやはり、別の場所にいて、声だけで合わせている?
この8分、相手の役者は人気のある声優さんのようですが、
みんながこの長丁場をうまくできないと成立しないのですよね。
五輪でバドミントンのものすごく続くラリーのように。
相手が失敗したら、続けられない。
途中で編集が入っているのかいないのかわからないのですが、
一ノ瀬くん、相手、カメラの人。
すべてがゾーンに入っていたとしか思えない8分。
この8分超は、私が役者だったら、どんなおいしいドラマの主役よりも、
「私がやりたかった」って嫉妬するくらいの伝説の8分だと思います。
うまく書けなかったので、近日、少し手直しします。
さて、この神回のあと、NHKのドキュメントの「エマージェンシーコール」京都編を見ました。
こちらは119通報を受ける本物の指令管制員の現場を取材した番組。
通報者の個人情報の部分をカットしながら、放映したものです。
フジテレビのドラマの「エマージェンシーコール」の管制員たちの語り口とすごく共通していて。
いかにこのドラマが、本物を取材して再現しているのかがわかりました。
また、フジテレビのドラマ「エマージェンシーコール」を見て、
『通報で一番大事なのは、どこからかけているのか場所をすぐに特定する』ことと知りましたが、
NHKドキュメントの京都編も、女性スタッフ(北海道出身だったと思います)が
オフの日に街を歩いて、新しいお店などをチェックするとコメントしていました。
そして、実際にパン屋さんから通報があった時、
「あのカフェが併設されているところね?」と身に着けた土地勘が役に立っているところが放映されました。
以前見た番組でもエマージェンシーコールを受ける人の大事な役割が紹介されたのを覚えています。
火災の通報があった時に、電話で、ベランダに出て、隣の家との境の壁を壊すことを指示。
壊せないという女性に、こうやったら力が入るからと、蹴るコツを教え、電話口で掛け声をあわせて蹴らせたり。
山で遭難して通報をしてきた人の元へヘリを飛ばしているけれど、上空から発見できない、という時には
スマホで空を映させると同時にヘリを旋回させ、遭難者のスマホ画面にヘリが映るのを見て場所を特定させた、
というような機転を働かせて、救助の手助けをしていることが紹介されていました。
まだ私は、119通報をしたことがないのですが、もし、することになったら、場所を正しくすぐに伝えられるよう
心がけたいと思いました。
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さて、もう一つこの2月にすごいなあと思ったテレビドラマは「雲切仁左衛門」。
中学時代からの親友が面白い!とすすめてくれて、原田美枝子のシーズンから見ているのですが。
本当に面白いし、かっこいいし、音楽もいいし。
以下ネタバレです。
シーズンファイナルの最終回のほぼラストの場面。
安部式部と雲切の直接対決(決闘)の1年後。
安部式部が、さっき、道端で刀を並べていた男は雲切だったのかと気づく場面。
國村隼の表情がいいんです。すごいです。ものすごいです。
セリフはなくて、ため息のような笑い声のようなを発するだけのシーンなのですが。
さっきの男は雲切だったのか、ちゃんと生きていたのか、
とまるでよろこぶような顔になったり、
さっき、気づけば捕まえられたのに、と残念がるようなトホホというような顔になったり、
でも、また、まだこれからも二人の勝負は続くのだとうれしさがこみあげるような顔になったり。
わずかな時間ではありますが、顔の表情だけで、雲切へのいろんな想いが読み取れます。
すごい芸だと思いました!
盗みをする雲霧。彼を絶対捕まえようとする安部式部。
安部式部は自分の体調が悪くなっても、雲切を捕らえることに執念を燃やしているわけですが、
まるでルパンと銭形警部。
捕まえたいけど、生きていていつまでも対決させてほしいと心のどこかで思っていたんだなあ。
みたいな心の内が、まったく語られていませんが読み取れる場面でした。
「雲切仁左衛門」が終わってしまったのは残念ですが、
幸い、私は見逃しているシーズンがいっぱいあるので、まだまだ知らない雲切のお話に会えると思うとうれしいです。
この2つのドラマの神シーン。永遠に保存したいです。
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