星のささやきシリーズ(その24)極地研のイベントで平沢尚彦氏の「星のささやき」体験をうかがいました
シベリアなどの極寒の地でマイナス40度を下回った時、
吐く息が凍ってかすかに音がする。
それを現地の人たちは「星のささやき」と呼ぶ。
という現象に惹かれ、
現地の言葉ではなんと呼ぶんだろう。
調べ者魂に火がつき、いろんな文献を調べ、
「星のささやき」シリーズとしてこのブログでご紹介してきました。
ですが、私自身はその後も極寒の地に行ったことも、実際に「星のささやき」体験をしたこともないまま。
気象の研究家平沢尚彦博士が「星のささやき」シリーズを拝読してくださり、
ご自身が南極で「星のささやき」を体験されたことをありがたくも教えてくださりました。
9月27日のイベント「極地研探検2025」
『映像とトークのSHOW TIME! ~南極の観測とロマン~』
で、平沢氏がご自身の星のささやき体験もお話されるとうかがい
一昨日、立川の極地研究所に行ってきました。
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さて、「星のささやき」。
文献ではどんな音と表現されているかといいますと。
ササ、ササ。さらさら。ざわめき。カサカサ。
パチパチ(暖炉の火が燃えたり、氷が割れてきしむ時に使う擬音)。
穀物を注ぐ(ばらまく)時の音。
風が木の枝から乾いた雪を払い落とすような音
шуршит、потрескивает
rustle、clacking noise、Shhhhhhhhhh などなど。
「星のささやき」を実際に聴いた方から直接、その方自身が感じた「音」をうかがうのははじめて。
さて、平沢氏はどんな音と表現されたでしょうか。
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サイダーを注いだ時の音でした!
サイダーを注いだ時より、もっとかすかな、さやかな音だそうですが、
南極の極寒の中、吐いた息が耳元に流れるわずかな時間、
「星のささやき」が聞こえたそうです。
一昨日の講演でも、器にサイダーを注いで実演してくださいました。
シュワー、パチパチというおなじみの音を聞きながら、私もイメージが広がりました。
あらためて、今まで、文献に書かれていた表現を振り返ると。
SHからはじまるような擬音だったり、
パチパチという弾けた様子も表現していたり。
まさに、サイダーを注いだ時の音と重なります。
昔の人はサイダーを知らないから「サイダーを注いだ時のような」とは表現できなかったけれど
当時の感覚でできるかぎり表現していたのですね!
また、ここが重要なのですが、
平沢氏によりますと、
多くの文献が、この音の正体を
「息が凍った時の音」「凍った粒と粒がぶつかりあった時の音」と称していますが、
それは違うのではないか、とのことです。
難しいので、極地研のウェブマガジンから引用させていただきます。
平沢尚彦氏の連載「ドームふじの特別な気象のはなし」の
「星のささやき(2025.6.23)」
https://kyoku.nipr.ac.jp/article/4429より。
引用部分は青文字。
人間の吐息に関して
その水蒸気のほとんどは口から出て低温の外気と混合した途端に氷の結晶に変わります。
このとき水蒸気が占めていた体積は約1700分の1になります。
ドームふじの地上気圧は約600 hPaですから、局所的に大気圧が10%ほど急激に減ります。
そこに周囲の空気が一斉に押し寄せます。
そして、今度は圧力過多になりまた戻ります。この空気の行き来は繰り返し、周囲に疎密波として広がるはずです。それは音波に他なりません。
炭酸水では表面に上がってきた泡の中の気圧は液体の表面張力の分だけ大気圧より高くなっています。
泡が割れると一気に空気を押しのけて周囲に広がり今度は圧力が減り過ぎて元に戻ります。同じシュワ―という音です。
素人の私がきちんと理解できているか自信がないのですが、
単純に「息が凍るから音がする」とか、「凍った粒がぶつかりあうから音が出る」のではなく。
水蒸気が氷に変わった時に生じる急激な圧力の変化による音波がなせる現象なのですね。
炭酸水がシュワーパチパチというのは原理は違うけれど、
こちらも圧力が急激に変わったことによって生じる音。
原理は違うけれど、圧力がらみという共通項で
「星のささやき」と炭酸水が似た音になるのが興味深いと思いました。
また、急激な変化で生まれる音だからこそ、一つ一つの音が継続ではなく、一瞬一瞬で
よけい、ささやきっぽくなるのかなあなんて想像しました。
さっそく、炭酸水を買って、音を聴いてみました♪
お気に入りの今右衛門の雪華盃に炭酸水を注ぐと。
シュワ~。パチパチパチ![]()
氷点下の極寒でなく、快適な部屋の中で「星のささやき」追体験♪
このあと、深いカップに注ぐとさらに音がよく聞こえました。
なんなら、量が減ったサイダーのペットボトルをちゃんと蓋をして振って、
動作を止めると(決して蓋は開けず)。
シュワシュワパチパチ
たっぷり楽しめました。
※星のささやきシリーズ(その25)であらためて「星のささやき」日本語文献として上記の平沢氏の連載をご紹介いたします。
※「星のささやき」の寄稿の中で、私のブログもご紹介くださり、ありがたいです
******
(2025.10.26追記)
この「星のささやき」シリーズに興味を持ってくださり、
「星のささやき」検定があったら1級合格ではと思える方から、
原理は少し違うかもしれないけれど、熱湯に氷を入れてもパチパチ、音がしますねと
教えていただきました。
さっそく試してみました。
水を沸かしたフライパンに氷を入れると。
パチパチ!![]()
炭酸水のパチパチに似た音がしました~。
パチパチ音を聴きたくなった時、
炭酸水は買わないと試せないけど、
熱湯と氷ならいつでも自宅で手軽に試せて便利~。
ただし、熱湯は危険ですし、
耐熱グラスなどですと急激な温度変化はよくないと思いますし、
試される時はどうぞやけど等にお気をつけくださいませ。
突沸という現象がありますよね。
水やコーヒー、みそ汁などを煮立たせた時に、砂糖などを加えたことで
激しく噴き出す現象。
それが、熱湯に氷でも起きるのかわかりませんが、
どうぞお気をつけください。
ともあれ、マイナス40度以下で起こるパチパチ音
↓
炭酸水で疑似体験
↓
炭酸水のパチパチ音を熱湯&氷で疑似体験
が興味深いです。
考えてみましたら、
「星のささやき」は、マイナス40度以下の中の吐く息で80度ぐらい温度差ありますが、
「熱湯に氷」も100度の温度差があるのですよね。
氷の中の気泡にとっては、(>_<)キャ~!!
って叫びたいくらいの衝撃。
その悲鳴がパチパチ音なのかな~と。![]()
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