星新一の隠れた名作『声の網』と芦田愛菜ちゃんの凄さと今の時代
今日は里山ガーデンから離れ、
ずっとご紹介したいと思っていた、星新一の異色作のご紹介です。
------------------------
遅ればせながら昨日、はじめてチャットGPTを使いました。これは便利。長文を瞬時に要約してくれます。
「150字に要約して」の指示で一瞬で要約してくれたあと、「100字で要約して」と再指示。
150字で要約してくれた文章のどのセンテンスを削除するのかなあと思っていたら、
また、一瞬で現れた文章は。150字の文章からどこかを削除したのではなく、改めて違う言葉で表現しなおしていたのでした。
おそれいりました~。
10代の時にチャッピーに出会ってしまったら、読書感想文もいろんなことも頼ってしまいそう・・・。
AI技術、すごい。けどこわい。
数年前のことですが、電話で生身の人間が話す音声を瞬時に相手に別の声色で伝えることができるというニュースをみました。
ボイスチェンジャーとはまた違うもののようです。
NTTのHPの
「声と話し方を好みのスタイルに一瞬で変える」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2024/06/17/240617a.html
カスハラ対策ほかに活用できる技術とのことです。
このニュースを見た時、あらためて
「星新一の先見性すごいな。どんどん『声の網』の世界になるな」と思ったのでした。
『声の網』というのは星新一の超名作で私が人生のベスト10冊の中の1冊と思う本。
中学時代に読んだ衝撃は今でも体に残っています。
↑ 年季がはいった本なのがはずかしいですが、マイお宝『声の網』。
背景はこれまた字が汚くてはずかしいのですが、中学2年の時の『声の網』の感想ノート。
以来、筋がわかっているのに、何度も何度も繰り返し読んで愉しんでいます。
この小説の魅力は3つ。
①連作による長篇小説
星新一というとショートショートが有名ですが、『声の網』は12の中編がつながる長篇小説なんです。
第一章は1月。メロンマンションの1階の住人の話。
第二章は2月。メロンマンションの2階の住人の話。
それぞれが、完結しながらもラストに向かって物語が進みます。
②抒情性
星新一の魅力は奇想天外やユーモアあるストーリーとともに無駄な装飾のない、簡潔な文体。
けっして、
「なんとかかんとかはどうのこうのしましたけど、
それはおそらくなんとかで、でもだからこそなんとかかんとかであり、
なんとかかんとかとともになんとかかんとかをしたあとで、
なんとかかんとかだったのです」みたいな
長ったらしい、まどろっこしい文章は書きません。
図形の証明問題の模範解答とまでは言いませんが、
AはBである。CはDであった。みたいに、主語述語が明解。
3行以上続くような文章は書いていないのでは(推測)。
だからといって、抒情がないわけではなく、
特に『声の網』では季節感の描写が印象的です。
たとえば、1月の章では寒風の描写で
『葉の落ちた街路樹の枝をふるわせ、公園の池の氷をひとなでごとに厚くし、
時には薄い雲からのかすかな粉雪を仲間に加えたりもする』
2月では
『晴れた日の午後で日光が降り注いではいるが、
大地のつめたさを追い払う力を持つには至っていない』
3月では雨の日の描写で
『少し前まであたりに残っていた冬のなごり、寒さとか乾燥とか、
とげとげしさとか、人の動きをにぶくするなにかとか、
そういうものをやわらかく消している』
『声の網』のメインは無機質な世界なのですが、だからこそ、
対照的な季節感、色、においを鮮やかに描いているのが印象的です。
ごく短い分量で。
③先見性
『声の網』はなるべく前情報なしで読んでいただきたいので、本筋の言及は避けますが、
文明社会、人類の未来をここまで見据えて書ききるとは。
私は50年ほど前に読んでびっくりしました。
「SFだけど、こんな未来が来るのかなあ」と。
でも、以来、読み返すたびに、
どんどん、『声の網』で書かれていることが実現していって、おののきます。
--------------------------------------------------------
さて、『声の網』。私は最高傑作!と思うのですが、割と隠れた名作扱いです。
少なくとも20年ぐらい前までは。
そのころ、縁のあった大学図書館や学校図書館で所蔵を調べたのですが、なかったでした。
たくさんの星新一の著書を所蔵している図書館でも置いていなかったでした。
そんな中、お一人、縁のある司書さんに『声の網』の凄さを力説いたしましたところ、
すごく響いてくださったようで、早速、その学校図書館に受け入れしてくださいました。
でも、それは、角川から出版されたもので表紙がラブリー系だったのです。
「真鍋博の無機質なイラストだからこそ、引き立つ名作なんです」と申し上げると、
司書さんも同じことを思われて、利用者のみなさんに真鍋博の挿絵版を読んでもらいたいと思われ、
中古で講談社文庫版ををみつけて入手。所蔵されました。
『声の網』を所蔵する図書館が当時少なかったのは、
あまり知られていなかっただけではなく、講談社文庫版が入手困難だったからかもしれません。
(となると、表紙がラブリーなのは不満がありますが、角川が出版してくれるだけでもありがたい)
ところが、あることをきっかけに『声の網』の認知は高まったと思います。
それは芦田愛菜ちゃん!
読書家の彼女は、2019年に出版した『まなの本棚』の中で『声の網』を紹介しているのです。
愛菜ちゃん、すごい!とエア握手したくなりました。
というわけで、
『声の網』を未読で、このブログでご興味を持ってくださった方は
ぜひ、できる限り前情報を遮断して読んでいただきたいです。
そして、一度読まれた方も、もし角川版でお読みになったのでしたら、
ぜひ、講談社文庫、真鍋博の挿絵版で再度お読みいただきたいです。
さきほど、全国の公共図書館を検索しますと、
『声の網』講談社文庫版を所蔵しているところはいくつもみつかりました。
お近くの図書館になくても、取り寄せできるのではと思います。
私の手元にあるのは1973年版ですが、
講談社文庫であれば、その後の刷りのものでも同じ真鍋博のさしえではないかと推察します。
(取り寄せの場合は念のため、お確かめくださいませ)
これからもAIやチャッピーの話題に触れたり、自分が使うたびに、
星新一の先見性を再認識していくんだな~って思います。































































最近のコメント